「Think different 」(田辺vs堺)

「Think different 」
田辺誠一さんのオフィシャルサイトtanave.com、
9月14日のwordの最後に、
「最近思い出した好きな言葉。Think Different」と書かれていて、
何となく「人と違ったことをやる」とか「違った観点を持つ」って意味かなぁ
と思っていたのですが、
昨日、この部分がリンクされているのに気づいて、リンク先に飛んでみたら・・

 

実は、この「Think Different」というフレーズは、
アップルコンピューター(現アップル)社が、
Apple-Stile」として打ち出した1997年の広告スローガンらしく、
CMでは、ジャック・ケルアックアメリカの小説家)の「路上」から引用された
一文が使われていて・・

 

それを読んでいたら、唐突に、
田辺誠一という人のクリエーターとしての原点は'ここ'にあるんじゃないか
という思いに囚(とら)われて、何だか頭の中がいっぱいになってしまって。

 

そういう私の、あいかわらず妄想入りまくりwの視点から見ると、
映画監督やデジタルクリエーターとして よりも、
ここ数年は特に、俳優としての田辺誠一の方がずっと、
既成概念をぶち壊すようなクリエーターとしてのスタイルを
築き始めているような気がして。

田辺さんに与えられる役が、ものすごく多岐にわたり、
にもかかわらず(というか、だからこそ?)、田辺さんに対する評価が、
同年代の他の俳優さんたちのようにしっかり定まらないのは、
彼の、役に対する自由な想像力と創造力、
さらに、彼の芯にある、反骨精神、のようなものが、
既成のワクに納まることを避けようとしているからではないか・・
と思われてならないのです。

 

今、私が、田辺さん以外の俳優さんで一番興味のあるのは、
堺雅人さんなんですが、
彼は、ものすごく柔軟な発想で役作りをするので、
いろんな役を実に幅広く演じることが出来る。
中でも、私が強烈に印象に残ったのは『篤姫』の家定で、
びっくりするような作り方をして来るんだけど、
決して視聴者を裏切るところまでは跳んで行かないんですよね。
「ここまでは大丈夫」というラインを、ちゃんと読んで演じることが出来る。
そういう'読み'が常に的確だから、
どんな役も、本当に安心して観ていられる。

 

一方の田辺さんは、時に、
こちらの驚きの範疇(はんちゅう)のさらに外まで飛び出してしまうような、
とんでもない役作りをして、視聴者をドン引きさせたりするw。
だから、次はどんな役作りをして来るか不安になって、
気持ちが落ち着かないことがある。

 

堺さんの確実性、と、田辺さんの不確実性・・
俳優としての一般的な評価は、
あきらかに堺さんの方が上だろうと思うのですが・・
で、私は、どんな時も安心して観ていられる堺さんが好きですが・・
その一方で、田辺さんの、
「大丈夫」のラインを引かない、どこに行ってしまうのか予想出来ない、
俳優としての、自由で身軽な'役の捉え方'というのもまた、
ものすごく興味深く感じられるのです。

 

「Think different」・・・
この精神が、田辺誠一の内にある限り、
彼は、より一層、自由に、
私たちが想像もつかないような「新しい俳優像」への道筋を、
切り拓いて行ってくれるかもしれない・・

そんな突拍子もない妄想を抱くことも、
今の俳優・田辺誠一なら許してくれるのではないか、と、
そんなことを考えた、味わい深い言葉でした。


★tanave.com-word