『鋼鉄番長』休演に思うこと。

『鋼鉄番長』休演に思うこと。
池袋サンシャイン劇場で絶賛公演中だった『鋼鉄番長』が、
主演・橋本じゅんさんの体調不良のため、
昨日・今日の二日間休演になった。
明日以降の上演についても、流動的だという。
(同時に、池田成志さんの怪我による降板のお知らせも)

★劇団☆新感線『鋼鉄番長』公式サイト


劇団☆新感線の公式サイトの告知を読んで、
なんとも言いがたい切ない気持ちになった。


二日間3公演のチケットを持っていた人は、延べ約2500人。
この日のために、上司や同僚に頭を下げ、必死に仕事のやりくりをして、
遠くから飛行機や新幹線に乗ってやって来た人も、
または、そういう予定を立てていた人も、少なからずいたに違いない。


もし自分が、休演にぶつかってしまったとしたら・・
半年も前から楽しみにして、
新幹線や電車を乗り継ぎ、福島からやって来て、
劇場の前で、その舞台が観られないことを知らされたら・・
と思うと、なんだか昨日は、ずっと胸が痛かった。


TVドラマや映画と違い、舞台はライブだ。
客席にいる自分の何m・何十m先で、
本物の橋本じゅんや、池田成志や、古田新太や、
田辺誠一や、坂井真紀が、
汗だくになって、たった800人あまりの観客のために、
自分の「今」を、全身全力でさらけ出す。

観客は、その「彼らの今」を受け止めて、笑いはじけて返す。
『鋼鉄番長』は、その、舞台と客席との「ぶつかり感」が
すごく面白くて、楽しいのだけれど・・


今回のことで、橋本さんや、池田さんや、他の出演者全員が、
生身の人間である、という当たり前のことを、
つくづく思い知らされた。
病気や怪我を、本人の自己管理不足だと言うのはたやすい。
けれど、実は、舞台の上で演じている彼らが、
常に、そういうリスクを いくつもいくつも背負いながら、
日々舞台の上で奮闘し、
自分の肉体的な限界を手探りしながら演じているのだ、ということを、
私たちは、もう一度、しっかりと胸に刻みつけなければならない、
とも思うのだ。

この時、この瞬間、舞台上の彼らの無事な姿を観られることは、
ほんの一握りの人間に与えられた僥倖(ぎょうこう)であり、
それは決して簡単に成し得ているのではない、ということ。


チケットを持っている幸運な人たちは、
再開されたら、それを心の隅にちょっとだけ留めながら、
遠慮なくバカ笑いをしに、劇場に足を運んでほしい。
橋本じゅん、あいかわらずバカだな〜、くっだらね〜、って思えたら最高。
それが、この公演に携わるすべての人たちの、
一番の望みなんじゃないかと思う。


橋本じゅんさん、池田成志さんの、一日も早い回復を心から祈り、
池田さんに代わる河野まさとさん、河野さんの代役の西川瑞さんが、
このピンチをチャンスに替え、他の出演者たちと力を合わせて、
なお一層面白い舞台を作り上げてくれることを願って・・・