『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第8話)感想

『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第8話)感想

このドラマはいつも、1回観ただけじゃピンと来ないんですよね。
今回も、二度観てようやく面白いと思えるようになった。
で、3回・・4回・・と繰り返すうち、どんどん面白さが増して来る・・
スルメみたいなドラマだと思いますw。
(以前もスルメって書いたなぁ、と思ったら、
『853〜刑事加茂伸之介』の武藤係長(@田辺)に対して、だったw)


今回は、温水洋一さんがゲスト。
ネタ満載の爆笑編になるんじゃないか、と思ってたのですが、
意外にも人情系でまとめられてました。


温水さんというと、私は、
ヤマトナデシコ七変化』の久留米役が印象深くて、
あれだけ嘘っぽいストーリーなのに、感情にリアリティがあって、
遅ればせながら この俳優さんの面白さを知った、って感じだったんですが
今回も、人物的にはかなり浅くしか描かれていないのに、
温水さん演じる誠実(まことみのるw)には、
観ているこちら側に伝わって来るものがしっかりとあって、
いい俳優さんだなぁ、と改めて思いました。


今回の中五郎(田辺誠一)は、あっさりと殺されることもなく、
ちゃんと真剣に事件に取り組んでましたね〜。
(いや、中五郎はいつも彼なりには真剣なんだけど、
今まで 自信なさげ〜だったw)

初めからそういう流れで作られているんだと思うんだけど、
中五郎の探偵としての推理力が、
徐々にレベルアップしているような気がする・・
というか、一生懸命自力で解決しようと努力するようになって来てる。
まぁ、小学生レベルから中学生レベルぐらいに、という、
低次元の話ではあるんだけど。
しかも、電脳君からちゃっかりヒントはもらってるしw。

それでも、
この物語が中五郎の成長譚(探偵としての)である、
というのは、間違いないようで。


で、その成長に何かと絡(から)む怪人20面相(片桐仁)。
でもね〜どうなんだろう、
彼が、結果的に中五郎を助けるようなことになるとしても、
あくまで結果として、であって、
本人の気持ちとしては、どこまでも中五郎をライバル視している、
だから、何やかやとちょっかい出して来る、
だけど、偉そうにタカピーな態度取ってても、
結局は中五郎のバカさ加減、ゆるさ加減と どっこいどっこい、
そういう人間じゃないのかなぁ、三代目怪人って。
いや、そういう人間であって欲しいんですよね〜私は。
20面相には、まちがっても、
「正しいことを説く人・導く人」にはなって欲しくない、というか。


だから、今回、20面相の口から、
「きみの負け犬根性を盗みに来た」という言葉が出て来たことに、
最初は何だか違和感があった、
それを中五郎のためにやってくれているとしたら、
20面相はただの「道徳的で親切な いい人」ってことになるじゃないか、と。

でも、再見した時に、
20面相としては、「きみの弱点は私が取り除いてやったぞ」
「だから早く私のレベルまで這い上がって来たまえ」的な、
自信・・と言うより、うぬぼれから来た言葉なのかなぁと思うようになって、
何となく、納得したんですが・・(そういう解釈でいいんだろうか?)


さっき、中五郎の成長譚、と書いたけど、
それは、彼が、いわゆる(分別くさい)「大人」になることじゃない、
と思うんですよね。
中五郎が、自分の非力さと向き合うことで、謎を解いて行く、
優しい気持ちを抱いたまま、逃げない人間になって行く、
懸命に誰かのために役に立とうとすることで
「人」として成長して行く・・ように、
怪人20面相も、
相当ゆるゆるで子供っぽいところもありつつ、
存分に中2臭を振り撒きつつw、
奥底には怪人としてのかすかな誇りを持ち続けて、
最後には、自分らしい姿で、中五郎と正面から対峙し、闘おうとする、
そういう20面相であって欲しい、と思うのです。


やっぱり、「明智」と言うからには、
最終的には、「明智中五郎vs怪人20面相」
のバトル(どういう形でではあれ)になってもらいたいですし、
真剣勝負(彼らなりのゆるさアホさ加減でいいからw)であって欲しいし、
どちらが勝っても負けても、
そこから大切な何かを得る対決であって欲しいです、
中五郎だけでなく、20面相にとっても。


・・・ま、私にとっての今後の理想の展開はそんな感じかな、と。
(探偵じゃないんで、ハズれてもいっこうに構いませんがw)



まったく別な角度からのお話になりますが・・
今回は、会話の切り方、被(かぶ)せ方、というのが、すごく面白かったです。
コントのようなやりとり、と言ったらいいか、
観ている側が裏切られるような切り方をしてるんですよね。
で、つっこもうとすると、もう、チャッチャと先に進んでる、みたいな。
レッドシアターみたいなシチュエーションコント等では、
よく使われる手法だと思うんですが、
そういうコントネタを、実際のドラマでやってしまう、
しかも、それが十分に通用し、十分面白い、というのは、
なかなか新鮮な発見でした、私にとっては。


と言うか、これはもう、コメディ的な面では、
レッドシアターや、笑う犬や、あべ一座のロングバージョン
という捉え方をしてもいいのかな、とw。
もしくは、こてこてじゃない吉本新喜劇、って言ったらいいか。
(いや新喜劇 ちゃんと観たことないから分かんないけどw)


瞬間的なお笑いと、ストーリーのあるドラマの融合、という点では、
かなり冒険的な興味深い仕上がりになっているようにも思いました。
まぁ、このゆるゆる加減は、深夜帯ならでは。
たとえば「プライムタイムでやりたい」と言って、許可されるかどうか、
ってのは疑問だけれどもw。


で、来週のゲストは、戸田恵子さんと橋本じゅんさん。
またまた はっちゃけそうだな〜楽しみ!