『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第6話)感想

『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第6話)感想
今回は、コメディというより、猟奇的な方向にベクトルが振れていて、
これまでより 乱歩色が濃かったような気がします。
もちろん、あいかわらずのゆる〜いタッチではあるんだけど、
かなり彩度を落としている、という感じがしました。


そんな中、
ひとりだけビビットな色味を振り撒いてくれた小林少女(小池里奈)、
いやはやお疲れさまです。
めんどくさ〜いアラフォー(しかも中身は中2w)の男どもの相手は、
あなたみたいにしっかりした、しかも心の柔軟な乙女じゃなきゃ
つとまらない・・のかもしれないw。


二十面相(片桐仁)が、かなり前面に出て来ましたね〜。
虚勢張ってても、どこか自信のない感じなので、
簡単に小林少女に突っ込まれてる、
そこがおかしいんだけど、心の底からは笑えなくて。
それは、二十面相の滑稽な淋しさが伝わって来るから、なんだろうなぁ。


前回までは、この役にあんまり魅力を感じなかったんだけど、
今回、かなり存在感が増した気がしました。
もちろん、おいおい〜中学生じゃないんだからそんなことで〜
みたいな、これが怪人二十面相の三代目なのかぁ?的な残念感w
(中五郎とはまた違った)はあるんだけど、
他人(例えば小林少女)から見れば「そんなこと」でも、
本人にしたら大問題なわけで。
その薄い殻がどうしても割れなくてウジウジこだわってる、
それもまた人間なんじゃないか、とも思えて。


で、そういうところを見せられて、ようやく、
だからこそ、この役は片桐仁なんだよなぁ、と合点が行きました。

そして、二十面相は、明智の対極にいるのではなく、
同じところに背を向けて立っているんじゃないか、とも思いました。



全体的に、あいかわらずくだらないんだけど、
そんな中、今回は何と言っても、
蝋人形にしか心を開けない向島くん(今野浩喜)が、切なかった。


中五郎(田辺誠一)は、こういう人たちの気持ちをこそすくい取れる人だ、
と勝手に思い込んでいたので、
「人間やめてやる!」と言ってロウをかぶっちゃった向島くんを
そのまま見捨てて逃げちゃう、って、
三代目とか探偵とか言う前に、人としてどうなんだろうね、明智くん
・・と、ついつい突っ込みたくなってしまった。(泣笑)

これはゆる〜いコメディで、細かいことに拘っちゃいけない・・
毎回死んでしまう中五郎を見慣れてるから、向島が死んでも平気・・
とは割り切れなかったです。
だって、中五郎は生き返るって分かってるけど、
向島くんは、いろんなものを抱えたままロウをかぶっちゃったわけで、
まったく救いがないじゃないですか。

せめて、あれはロウじゃなかった(それを中五郎は知っていた)
というようなオチがあって欲しかったです。


これ以上(中五郎以外の)人の命をアバウトに描くと、息苦しさが増して、
笑いたくても笑えない状態になってしまうかもしれない、
今回がギリギリのところだったような気がしました。



さて田辺誠一さんですが。
いや〜どんどん影が薄くなって来てる・・
というか、このドラマの空気に馴染んで、溶け込んでしまってる、
って感じがします、いい意味でw。


今回観ていて気づいたこと。
私は、田辺さんが演じている明智中五郎が好きなんだな〜。

・・あ、何を今さら・・ですか?w
でもね、こんなに優しい気持ちで田辺さんが演じている姿を観るのは、
本当に久しぶりのような気がするので。(爆)

何だろう、もうほんとに自然に言葉が耳に馴染み、
動きが眼に馴染む、というか・・


いつもだと、ああ田辺さん頑張ってるなぁ、
と思いながら観ることが多いんですが、
今回は、まったくそういう肩の力が入らないんです、観ていて。
なめらかにすべらかにスルンと心に入って来る・・
何だかそのことが、すごく興味深く感じられるんですよね。

もちろん、明智中五郎という役自体、
どこか田辺さん自身を投影しているようなところがあって、
だからこそ出来たこと、かもしれないんだけど・・
でも、ひょっとしたら違うかもしれない。
田辺さんは、また新しい「伝える手段」を見出したのかもしれない・・
なんて。


もしそうだとしたら、
たとえば遠峰一青とか仙道アラタみたいな役も、
まったく違うアプローチで役作りが可能なんだろうか・・とか。
・・・いや、もちろん、いつもの妄想と思ってもらっていいんだけどw。


すみません、理屈っぽい話になってしまいました。
だけど、田辺さんの中五郎を観ていて、
今までとは違う、不思議な心地よい感覚があったので、
それをどうにかして一度言葉にしてみたかった、ということで。

あいかわらずの翔的妄想の世界にお付き合いいただき、
ありがとうございました。w


次回は、もっとまともな感想が書けるといいんですが・・(苦笑)