『壊れた脳 生存する知』感想

『壊れた脳 生存する知』感想(CX 1/19 金曜プレステージ
『相棒 元旦SP〜バベルの塔』が非常に面白くて、
水谷豊さんや寺脇康文さんらレギュラー陣はもちろん、
ゲストの大塚寧々さんやココリコ遠藤章造さんの演技にも
とても惹かれたのですが、
今回の作品では さらに、予告を観て、
女優・大塚寧々の「本気」みたいなものを感じて、
こういう重い内容の、しかも実話を基にしたドラマは苦手にもかかわらず、
観てみることにしました。


闘病もの、というのは、どうしても、暗く重くなりがちなのですが、
このドラマの主人公の女性は、
非常に過酷な病気にも拘らず、前向きで、明るく、たくましくて、
そういうキャラクターを、あのとても線の細い寧々さんが演じている、
ということで、どこかに違和感が出てくるのではないか、
と思ったのですが、まったくそんなことはなくて、
むしろ、病気のナマな部分(足をひきずる、言葉がうまく出ない、
よだれをたらす等々)を、
いやらしくなく、変な言い方ですが美しく演じていて、
かと言って嘘っぽい感じはなくて、
観ていて、素直に病気を抱えた彼女を受け入れることが出来、
いつのまにか、実在の人物であるこの女性(山田規畝子さん)に
親近感を覚えている自分がいました。


あまり多くの作品を観ていないせいかもしれませんが、
私は今まで、寧々さんに対して、
役と距離を取って演じている 独特の空気感を持った女優さん、
という観方をしていたので、
こういう役を、
演技的にも心情的にも、表面的ではなくきっちりと掘り下げて、
しかも、どこか品のある人物に仕上げてきた彼女に、
私の大塚寧々像は、良い意味で、随分と覆された気がします。


また、『相棒』の時にも思ったのですが、
彼女は、子供を持った母親、という役になると、
すごくリアリティが増す気がします。
スタイリッシュな人なのに、母親役がすごく似合うんですよね。
当日、番宣で「笑っていいとも!」に出演していた彼女は、
大袈裟でなく、女神のように美しくて、
その透明な美しさと、母親を演じることで染め上げられる色彩と、
両方を持ち合わせた、というか、
おそらく、時間をかけてそういうふうに変化してきたであろう彼女を、
女優としても、ひとりの女性としても、すごく素敵だなぁ、と思いました。