『恋のから騒ぎドラマスペシャル3』感想:2

『恋のから騒ぎドラマスペシャル3』感想:2
恋のから騒ぎドラマスペシャル3〜十億の女』(再見)
ほんといい奴だよなぁ、和男(田辺誠一)って。
素朴だし、優しいし、頼りがいありそうだし、
一生、豚飼って、キャベツ作って、仲間とわいわいやりながら、
地に足つけて生きて行くんだろうなぁ、きっと。
――そういう、日焼けの似合うたくましい男を、田辺さんが演じている。


風変わりな女・静香(ともさかりえ)を一直線に好きになって、
社長だろうが何だろうが、俺と一緒にここで暮らそう、と、
自分の劣等感なんか簡単に打ち負かして、堂々とプロポーズして。
結局、フラれてしまうんだけど、
それでも、静香を一途に想う気持ちは真剣で。
彼女を想って心揺れたことも、去られる痛みも、
ちゃんといつかその傷を、自分で塞ぐことが出来るんだろう、きっと。
――そういう、強くて軸のブレない、男らしい男を、
田辺さんが演じている。


それは、本当に嬉しいことだった。
そういう、ひとりの男としての当たり前の強さを、
普通に田辺さんが演じていることに、素直に感動している自分がいた。

そういう嬉しい想いに、一度しっかりピリオド打った後で――――


正直、私はちょっと淋しくもなる。
アルマーニも、行天晴彦も、
和男を演じる田辺さんには必要のないものに思えて。

馬鹿だなぁ、と、自分でも思う。
あれは「和男」という役を演じてるだけなんだ、
田辺さんは、求められれば、ちゃんと「そこ」に戻って来るんだ、と、
信じている自分がいるのに。


あれだけ「心が かっこいい」和男を見せてもらったのに、
私はいつまで、俳優としての彼に「見た目のかっこよさ」を
求め続けるんだろう。
あれだけ「たくましくて芯のしっかりした」和男を見せてもらったのに、
私はいつまで、俳優としての彼に「繊細な切なさ・痛さ」を
求め続けるんだろう。

ひょっとしたら、
本当の彼の魅力は もうそこにはないのかもしれないのに‥‥


私は、俳優・田辺に、いつまでも「少年」でいて欲しいのかもしれない。
綺麗なままで、純粋なままで、ナイーブなままで、
ポツンと、ひとりで、草原の真ん中に立ってて欲しいのかもしれない。

それじゃ、何ら成長も上達も出来ないじゃないか、
と言われるかもしれないけど、
そうじゃないんだよ、そういうことじゃないんだよ。
俳優として成長して、上達して、その先にあるものが、
あの、普通にまっとうに生活してる、
平凡だけどあったかい平田和男であることが‥
それを認めてしまうことが‥私はきっとイヤなんだ、と思う。

まるで駄々っ子みたいだな私。いつになったら大人になれるんだろう。
ああ、そうだよ、
ファンなんて、どうしようもなくワガママな子供みたいなものなんだ。
また駄々こねてるよ、と、どうぞ笑ってやって下さい、皆々様。