オレを覚えていてほしい(奥山貴宏さん)

 昨夜再放送された「ETV特集」を、午前中に観終わりました。
素晴らしかった、感動した、と言うのは簡単なのだけれど・・・・

正直、奥山貴宏さん自身が綴った文章から受ける、あのトゲトゲしさ、
自分の渦に他人(ひと)を巻き込ませずにはおかない、あの激しさ、
刻々追い込まれて行く、あの厳しさ、
それらすべてをひっくるめての、彼が持ってる「ロック」なマグマが、
十分に伝わり切ってないように感じました。

それは結局、この映像を作っているのが、奥山さん本人ではない、
からなのかもしれないし、
最初から、映像として伝えたかったものは、文章とは違ったもの、
だったのかもしれない。

 

どちらにしても、彼を被写体として撮る、というのは、
ミヨPの言葉を借りるまでもなく、とても辛い作業であったに違いない、
ある意味、彼と刺し違える覚悟がないと、とても耐えられない、
近しい人間ならなおのこと・・・ということだったんだろうと思います。
それはおそらく、「当事者」ではない人間が踏み込めるひとつの限界、
を現わしてもいるんだろうな、と。

その辺の、周囲の人間の「躊躇」みたいなものもまた、
(全体に流れる「やさしさ」のようなもの、も含め)
逆に、奥山さんの「何か」を伝えているようにも思えたり。

 

奥山さんに関して書かれた、いくつかのブログ。
その中で、一番印象に残った東良美季さんの文章。
生きた証(あかし)として「死」への軌跡を文章で残そうとする
若い作家に対して・・
いいえ、すべての「作る人間」に対して、
それを受け取る側の、受け取る姿勢、というものを、
深く考えさせられました。