『砦なき者』/『新選組!』感想

 砦なき者』。
TV朝日45周年記念ドラマスペシャル、として、
今月2日に放送されました。
まず、役所広司妻夫木聡鈴木京香内野聖陽・・という
キャストに惹かれ、
次に、鶴橋康夫という演出家に惹かれ、
TVキャスターへの復讐、という内容に惹かれて観たのですが、
観終わった後、しばらく茫然としてしまいました、
あまりにもすごいドラマだったので。

よく練れた脚本(野沢尚)と、きめ細かい演出と、
それぞれの持ち場で力を発揮したスタッフと、
意図を汲み取って、完璧に近い演技を見せた俳優陣と・・・
どこにも甘さがない、きりきりと張り詰めた緊張感漂う2時間の
最上質の作品。

感想は、人それぞれでしょうが、
少なくとも私は、これほど濃密な、どこにも破綻のないドラマを観たのは、
本当に久しぶり、という気がしました。

TVは、まだ、自己批判するだけの理性を持っている、
これだけのメッセージを伝え得るドラマを作ることが出来る、
そしてまた、
今の世の中を包み込みつつある、
言葉や形に出来ない不確かで不安な翳(かげ)を
ここまで活写することが出来るのだ、と、
打ちのめされた頭で、心で、そんなことを考えたりしたのでした。

このドラマが、「今」作られたことの意味に想いをはせると、
なおさら興味深く、
いつまでも余韻に浸らされてしまうドラマだったなぁ、と。

 

新選組!』。
いよいよ京へ向けて出発しました。
このところ、正直、ちょっと中だるみかなぁ、と思っていたのですが、
今回は、非常に面白かった。

 

私、「新選組」の「組織」の部分にすごく興味があって、
特に、主要メンバーの配置の妙、みたいなものに惹かれているんですが、
今回、その「組織」が出来上がって行く過程、というか、
メンバーそれぞれが、
組織内の、自分に見合ったポジションに付くまでの過程、
みたいなものが、丁寧に描かれていて、とても嬉しかったです。

 

特に、土方の、
「各々が持っているものと持っていないもの」の「見極めの才能」、
みたいなものが、開花しつつあって、
「ああ、やっぱり土方歳三って、優秀な中間管理職だよなぁ」と・・・・(笑)
少なくとも、脚本の三谷さんには、そう見えてる、ということが、
私には、すごく嬉しいことでした。