『半落ち』と『解夏』:1

半落ち』と『解夏』〜氷の心 投稿日: 2004年2月 5日(木)roji
解夏』の評判が良くて、興業収入が10億円を越える勢いである、
という芸能ニュースを、昨日だったか、TVでやってました。
ネットで、いろいろな人の感想を読んでみても、
総じて、好評のようですし。

ならば、どうして私は、この映画を観て、素直に泣けなかったのだろう・・・・

 

「現実の病気」は、時に過酷で、時に壮絶です。
半落ち』や『解夏』で、その部分がきちんと表現されていたか、
そこに少しでも近づけようとしていたか、というと、
私には、そうは思えない。
愛する妻の記憶がなくなって行く、視力が失われて行く・・
その辛さ、痛み、を、
映画は、現実になるべく近づけて描こうとはしていなかった、
ような気がするのです。(あえて、そうしたのかもしれませんが)
だから、昨年父を亡くし、今年仲間を失って、
現実に「死への痛み」を体験した私には、
特に『解夏』は、どうしても、現実離れした物語にしか
感じられなかったのかもしれません。

 

しかし・・・・
「映画という娯楽」で、
そんなふうに、現実に近い病気や死と直面させられることが、
果たして観ている者にとって、素直に感動させられるものなのかどうか、
というと、
うーーん・・やっぱり映画で表現される病気との闘いは、
「美しいもの」でなければならないのかなぁ、という気もしますね。

藤林の父親の場面ばかり見せられたら、さぞしんどいだろう、とも思う。
でも、あの家族のエピソードで、
私なんかは、逆に救われた気分になったのも確かで、
その辺のサジ加減、というのが、少なくとも私の場合は、
半落ち』の方が、まだしも納得が行った、ということはありますが。

 

隆之のように、
葛藤の末、静かに病気を受け入れられたら、幸せだろうな・・・・
ある意味、理想の形を映像にした・・のかもしれないですね。

 

病気で闘うすべての人に、必ず「解夏」が訪れたらいいのに・・・・・・