今さら 『デート〜恋とはどんなものかしら』 感想
9月末にSP版が放送されましたが、
それに合わせて福島では1月に放送された連ドラの再放送がありまして、
これはその連ドラの感想になります。
たまたま初回の放送時間に家にいて観始めて、
あまりの面白さに3話からは録画、
家にいる時は欠かさず観る、いない時は翌日録画したのを観る、
という楽しみを最終回まで貫き通して味わった、
久しぶりに熱を入れて観た連続ドラマになりました。
まぁ、まず脚本の古沢良太さんがあいかわらずうまいですよね。
幼稚園の頃から13回も「君には心がない」と言われ続けた依子(杏)と、
自称高等遊民、その実 母親に寄生し続けている巧(長谷川博己)という、
どこからどう見ても結婚不適合者の二人が、
超不器用ながらも徐々に自分のカラを壊し、相手を受け入れて行く。
そこまでの道筋には紆余曲折があって、
決して安直な予定調和には流れて行かないから、とにかく観ごたえがある。
久しぶりにガツンとぶつかって来る恋愛ドラマに出会えたことが
嬉しかったです。
『リーガルハイ』などでも思ったことだけれど、
古沢さんの描く登場人物は、とにかくキャラがきっちり立っている。
よくもまぁこういうとんでもない設定の登場人物を作り出せるものだと、
そこからもう感心することしきり。
そんな‘とんでもない’依子や巧の 本来なら欠点として捉えられる個性が、
観て行くにつれどんどん魅力的に感じられるのは、
ありえないと思われる二人の言動に、
どこか、自分を投影出来る要素が含まれていて、
「おいおい〜」と思いながらも、どこかで「分かる〜」と思うところもあって、
だから、どうしようもないこの二人が嫌いになれないし、
あきれ返りながらも、つい応援したくなってしまう…
…というのは、私だけの感じ方なのかなぁ。(爆)
自分の中に間違いなく依子も巧もいる気がしてしまったので、
あきらめずに根気よく手を差し伸べてくれる鷲尾(中島裕翔)や
佳織(国仲涼子)や宗太郎(松尾諭)といった周囲の人たちに
ほんとに感謝したい気持ちになってしまったんだけど。w
思いっきり振り切れたマンガ的展開の中、わははと笑っているうちに、
「結婚の意味」とか「幸せの意味」とか、
思いがけず深いテーマがじんわりと浮き彫りになって来て、
観る側がいろんなことを考えさせられる、というのも、
このドラマの興味深いところ。
人はなぜ結婚するのだろう。
誰かと一緒に暮らすようになれば、
いろんな束縛もぶつかり合いも増えて行くだろうし、
苦労することも今よりもっと多くなるかもしれない。
だけど、それは決して不幸なことじゃない――
「苦労」は「不幸」とは違う。
むしろ、苦労してこそ本当の幸せを掴まえられるんじゃないか、と、
だから苦労することから逃げるな、と、
このドラマは、結婚することに及び腰になっている人たちに
(あるいは生きることに内向きになっているすべての人たちに)
そう言って背中を押してくれているように思えたし、
だからこそ、
安定した幸せを得られそうな相手ではなく、
より苦労しそうな相手を選んだ依子や巧に幸あれ、と、
心から願わずにはいられなかったです。
依子は杏さん。巧は長谷川博己さん。このキャスティングが良かった!
遊び心満載な役の輪郭の中に、
かたくななものを抱えてしまった人間の面倒くささや
息苦しさや切なさを見事に共存させて、
似たようなものを抱えている私のような人間が
心置きなく共感出来るキャラクターを作ってくれた。
依子の父(松重豊)、依子にだけ見える死んだ母(和久井映見)、
巧の母(風吹ジュン)、絶縁状態の父(平田満)、
そして、愛すべきお節介やきの面々(国仲涼子・松尾諭・中島裕翔)も、
それぞれに魅力的でした。
鷲尾(中島)や佳織(国仲)が、ただの当て馬や邪魔者じゃなく、
依子や巧にギリギリのところまで迫ったところも良かったです。
中島くんがジャニーズらしからぬ空気感を醸し出していて、
惹かれました。
そして、最終回、
依子と巧にりんごを手渡す謎の老婦人・白石加代子さん。
依子と巧が実は昔(子供の頃)出逢っていた、というラストシーン、
そのおとぎ話めいた空気の中に観る者がすんなりと入って行けたのは、
この人が、まるで魔法使いのごとく
先にバスの中の二人にからんでいたのが大きかったように思います。
1シーンの出ながら、すごく印象深かった。さすがでした。
あ、それから、
忘れちゃならない、これはぜひとも書いておかないと。
中盤(5話だったかな)、
巧と依子が「サイボーグ009」のコスプレで出てくるシーンがあるのですが、
まぁこのコスプレした二人の出来が素晴らしい!完成度が半端ないです。
二人が向かい合うシーンでマフラーが風になびくところなんか、
気が付いたら私 口ぱっくり開けて見惚れてました。
こういうところに力を入れるスタッフ、私は好きです。
SP版も、こういう真剣な遊び心が削がれてないことを祈ります。
『デート〜恋とはどんなものかしら』
放送日時:2015年1月-3月 毎週月曜21:00 -(フジテレビ系)
脚本:古沢良太 演出:武内英樹、石川淳一、洞功二
音楽:住友紀人 主題歌:chay「あなたに恋をしてみました」
挿入歌(オープニング):ザ・ピーナッツ「ふりむかないで」
編成企画:成河広明、狩野雄太 プロデュース:山崎淳子
制作:フジテレビ 制作著作:共同テレビ
キャスト:杏 長谷川博己/国仲涼子 中島裕翔 松尾諭
和久井映見 平田満 風吹ジュン 松重豊 他
公式サイト