今さら『ギフテッドSeason2』感想
2023年10月からWOWOWで放送された連続ドラマ。今さらながらの感想です。
同年6月からフジテレビで『Season1』が放送されており、そちらは 四鬼神流古武術の惣領(当主)である高校生・四鬼夕也(浮所飛貴)がメインになっていました。
『Season2』は、夕也とバディを組む 警視庁捜査一課7係の天草那月(増田貴久)がメイン。
卓越した推理力を持つ那月が、殺人犯を見抜く眼を持つ夕也の力を借りて事件を解決して行くのですが、彼らが扱う事件は最初から最後まですべて繋がっていて、1話完結の形を取ることの多い他の刑事ドラマとはちょっと違った味わいになっています。
四鬼神流古武術については『1』で詳しく語られていますが、武術以外に 夕也には人を殺めた人間の周囲に黒い影が見える、という特殊能力が備わっていて、それが事件を解くヒントになったりもします。
さらに、『2』で重要なのは、事件の鍵を握る人物が 裏四鬼神流当主の八雲穂積(中山優馬)である、ということでした。
八雲は探偵を名乗り、夕也の周辺をうろつき始めます。
四鬼家の蔵にあった奥伝書を見た夕也は、裏四鬼神流に一子相伝で伝えられる一種の催眠術によって、怒りや憎しみといった負の感情を持った人を操り 人を殺させることが出来ること、裏四鬼神流の当主は自分では手を汚さない だから夕也の‘鬼の眼’でも黒い影は見えないことを知ります。
一方、那月は、連続する「殺意なき惨殺事件」に 父親・恒河(田辺誠一)が絡んでいることを知ります。恒河は元刑事で、那月の上司・鷲巣(小出伸也)とは同僚で友人。
2年前、突然失踪した彼は、極秘にこの事件を追っていたのでした。
息子・那月が同じ事件を追い始めたことを知り、恒河は那月にヒントとなるQRコードを送りますが、読み取りエラーに。新聞記者の山田(高橋努)から同僚の高牧(宮本茉由)経由で那月に届いたもう一つのQRコードも同じく。
那月は、7係と兼任で神原室長(高橋克典)が指揮を執る特命チームに配属され、「殺意なき惨殺事件」を本格的に調査することに。
事故現場近くの防犯カメラを見て、高牧が殺された現場にいたことで殺人の疑いをかけられた恒河が 去り際に防犯カメラに向かって「オールブラック」と呟いたことに気づいた那月は、恒河と謎解きをした子供の頃を思い出し、2つのQRコードを重ねることを思い立ちます。するとそこには、すでに殺された人たちの名前が。
このあたりの恒河と那月の連携プレーに説得力があり、親子であり刑事でもある二人の独特の関係性が見えて来て、じんわり来ます。
失踪する直前の鷲巣と恒河の会話。「那月のことを頼む。いつかはこの事件にたどり着き、興味を持つ時が来るだろう、だがあいつはまだ若い。この巨大な事件はまだ手に負えない」「おまえなら解決できると?」「捨て身ならきっと」「そういうところだ おまえに勝てないのは」と言われた時の恒河の表情が良かった。鷲巣に対しても、那月に対しても、単純ではないさまざまな感情が含まれているようで、好きでした。
情報を得るため、那月の相棒である竜崎刑事(泉里香)が八雲と接触。
さらに八雲は夕也にも会い、手を組まないか、と。しかし夕也は表の当主として絶対に逃げない、と。
八雲に見つめられ揺らぐ夕也。八雲の目力がすごい。ちょっと試しただけ、と言うけど、かなり力がある感じですね。
二人の戦い。そこに那月と恒河も駆けつけ、八雲を追います。
閉館した博物館に追い詰めながら、八雲は手先にすぎない、黒幕がいるはず‥と自らの推理を那月に話す恒河。
緊迫した中での那月と恒河のバディ感、良かった。「オールブラック」(那月が恒河のヒントに気づく)の時もそうだったけれど、この二人は、父と子というより、もうちょっと距離がある感じがします。でも、気持ちの奥ではちゃんと繋がってる‥尊敬と信頼に裏打ちされたものがしっかりとある、みたいな。
突然、仲間であるはずの竜崎に背後から撃たれる恒河。うわっそう来たか!と観ているこちらもびっくり。竜崎が八雲に操られていたことを恥じて自ら死のうとするところを恒河が阻止。
那月に手帳を託し、恒河は那月の腕の中で息絶えます。
う~ここ 私としては一番の見どころでした。
父と子としての二人の微妙な距離感が一気に融けて、刑事ではなく親子に戻ったというか。
父さん!父さん!という那月の絶叫が哀しい・・
「父さんを殺したのは竜崎刑事じゃない、八雲穂積‥かならず見つけます」と誓う那月。
そして夕也に、八雲の背後にいる黒幕を必ず見つける、と。‥この時の那月の眼が暗くて重くて強くて、惹かれました。
恒河から託されたリストの意味‥全員ガーランド国務副長官と関わりがあった、と気づく那月。
那月は、恒河を撃って捕らえられた竜崎と会います。「どうして操られてしまったのか、私の中にも闇があった‥」と竜崎。彼女の闇というのは具体的には描かれてはいないのだけど、何となく伝わって来ました、事件の芯に自分だけがたどり着けないあせりと言うか、那月への一種の劣等感というか‥
「それでも君は悪くない。僕が君を信じるんだ、相棒だからね」と言う那月の、全幅の信頼を含んだ優しさが心地よい。
リストの最後の一人を狙う八雲。警護していた神原が八雲を撃ち、八雲は意識不明の重体に。
恒河から預かった血まみれの手帳の解析。
ガーランドの息子が神原の妻子の交通事故死に関わっている、つまり、神原にはガーランドを狙う動機があることを突き止める那月。
ガーランドは裏でアジアの麻薬市場を牛耳る元締めであることが判明、鷲巣らによって神原の計画は止められました。
「こんなやり方でなく正しい方法でガーランドを糾弾すべきだった。1000人を救うために10人の犠牲が必要だったとしても、彼らの命を奪う権利は誰にもない。あなたは家族を奪われた怒りや悲しみから目をそらすために他人を犠牲にしたんだ」と那月。
「天草さんもその苦しみは知ってる」と夕也。「でも天草さんは間違えなかった」
病院から逃走した八雲に撃たれ、裁かれるべきは‥と言葉を残して死ぬ神原。
八雲は再び行方知れずとなります。
「殺意なき惨殺事件」の終結‥
‥うーん、裏四鬼神流の八雲を絡めたところはいいとしても、神原に関しては、事件との関連性に深みがあまり感じられなかったのが残念。妻子の死への無念が、もうちょっと強く観る側に訴えるものであり、共感を得るものであって欲しかった気がします。
那月は「闇の眼に操られた者たちは全員心身喪失が認められるだろうって」と言います。竜崎は「ここを出たら警察を辞める。天草が私を責めないのは分かってる。でも、私自身が自分を許せない」と。
「なら、竜崎刑事の分まで僕が許す。だから一人で背負わないでよ。竜崎刑事が相棒じゃないと嫌なんだ。戻って来るのを待ってるよ」と那月。
これは私個人の好みかもしれませんが、最後まで二人の関係が同僚のままで、甘ったるくならなかったのがとても良かった。
依然足取りが掴めない八雲の存在が不穏。
どこかから聞こえてくる口笛。消える。歩き出す那月。その後ろに八雲の姿。なんか‥ぞくぞくしました。危ういんだよなぁ‥警察の人間だろうと、主人公だろうと、那月はあくまで普通の人間なので、八雲の催眠術に掛かってしまう可能性はゼロじゃない。那月がこれから先も負の感情を持つことがないように‥と祈りたい気持ちになりました。
四鬼家。「誰かを信じるってことは、傷つくリスクと隣り合わせだ。急に裏切られるかもしれないし、ある日突然いなくなるかもしれない。それでも僕は信じることを諦めたくない」と言う那月。それを聞いて、「あんた相変わらずだな」と夕也。
次の事件に向かう二人。那月が明るく言います、「やっぱり僕たちは最高のコンビだね」——
―――最初は、天草那月というキャラになかなか馴染めなかったのですが、恒河との繋がりが見えてきたあたりからラストにかけて、どこかリアルじゃないジュブナイル的少年っぽさみたいなものが那月の姿に重なるようになって、しっくり来るようになったような気がします。それは、増田さんの持ち味がうまく役に沁み込んで来たからじゃないか、と私には思えました。(私なりの解釈ですが)
一方、四鬼夕也の浮所さん。全体的に少し硬かったかな。もう少しセリフに感情が乗ってもよかったかも。でも、逆にその硬さが、那月の人当たりの柔らかさと‘対’になっていたとも思える‥難しいところです。
四鬼家のセットについて。
那月は四鬼家に居候しているのですが、この屋敷がなかなか味わい深くて、照明も自然光に近いほの昏い感じをうまく出していて、独特の世界観に引き込むことに成功しています。実在する建物かと思ったら、どうやらセットらしい。驚きました。
お手伝いさん役で竹原芳子さんが出ていたせいか、『探偵・由利麟太郎』を思い出してしまった。
そのあたりのレトロ感みたいなものは、四鬼家だけでなく作品全体から感じられるものでもありました。
そういう空気にしっくり馴染む田辺誠一さん、うん、好きだな~やっぱり。
『ギフテッドSeason2』
放送: 2023年10月14日 – 12月2日 WOWOW毎週土曜 22:00 - 22:30
原作:天樹征丸(原作)雨宮理真(漫画)
脚本:木江恭 継田淳 三浦駿斗
音楽:信澤宣明 主題歌:NEWS「ギフテッド」
演出:池澤辰也 室井岳人 最知由暁斗 室井岳人
チーフ・プロデューサー:市野直親(東海テレビ) 青木泰憲(WOWOW)
プロデューサー:河角直樹(東海テレビ) 小林祐介(WOWOW)
黒沢淳(テレパック) 近見哲平(テレパック) 野田健太(テレパック)
制作:テレパック(協力) 製作:東海テレビ WOWOW
出演:増田貴久 浮所飛貴
泉里香 小手伸也 中山優馬 田辺誠一 高橋克典 他