『リーガル・ハイ』(第11話=最終回)感想

リーガル・ハイ』(第11話=最終回)感想
古美門研介(堺雅人)の外見からしてマンガチックだったので、
単純にコメディと思って観始めたのですが、
観続けるごとに、どんどんテーマが深まって来て、
にも関わらず、それを、ドラマとして重く見せない手法が秀逸で・・
ビビットでスパイシー、甘さも緩(ゆる)さも徹底的に排除してるのに、
喜怒哀楽のバランスが絶妙で・・
それらが、最終回になって よりパワーアップした形で集約されて・・
私にとっては、回を追ってどんどん面白くなって来たドラマでした。


古美門の周囲の人間たち(新垣結衣生瀬勝久小池栄子
田口淳之介里見浩太朗ら)が魅力的だったことも大きかったし、
元妻(鈴木京香)や父親(中村敦夫)が出て来て、
古美門の過去が明るみに出たあたりから、
ますます彼のキャラクターに深みが増して来たのも大きい。


金を搾り取れる訴訟じゃないと本気を出さない性悪弁護士ではあるんだけど
そればかりとは言えない古美門の内面を知ってしまってるので、
どうしても嫌いになれないし、
思いがけないところにふいに正論が挟み込まれるので、
彼の主張を間違いとは言い切れないし。


何より、古美門のセリフは、聞いていてスカッとするんですよね。
それは、彼の言葉に上滑りなところがない、
ある意味、人間の本音を突いているからで、
そういうセリフを彼に吐かせた脚本・古沢良太さんによる力が
すごく大きいんだけど。


それと同時に、
やはり、堺雅人さんの徹底した役作りの凄さ、
セリフの明瞭さ・明解さには、驚嘆しないわけにはいかない。
あの おちゃらけマンガキャラに 確実に「人間らしさ」を注入し、
観る者を古美門ワールドに引きずり込んで、
コメディとしてもシリアスとしても抜群の説得力で、
強引に納得させてしまう・・
それは、本当に実力のある役者でなければ出来ない役作り。


そこまで徹底的に、完璧に、
古美門という人間を作り上げてしまった堺雅人さんに、
やはり今回も脱帽せざるを得なかったのが、嬉しいような、
でも、ちょっと悔しいような・・
私は何度彼の前にひれ伏さなきゃならないんだろう、
なんてことを考えて。(苦笑)


で・・
そういう とんでもない堺さんに、
いつか田辺さんと共演して欲しい、と思うわけです。
出来れば、探偵(田辺)vs犯人(堺)、という対峙の仕方で。


ちなみに・・
田辺誠一は、時に、羽をひろげ、フワリと自由に高みに浮く。
堺雅人は、飛べる羽を持ちながら、あえてそれをたたみ地上に留まる。
・・それが、今、私が感じている二人の俳優のイメージ・・
はたして、正解か否か。