中村勘三郎さん逝く。

中村勘三郎さん逝く。
歌舞伎役者・中村勘三郎さんが、今朝、亡くなった。
享年57歳。
同年代の人の死は、とりわけ心に刺さるものがある。


私は歌舞伎の詳しいことはほとんど知らないし、
彼の舞台も、最近のものを何作かWOWOWの中継で観ただけなので、
一家言出来るほどのものを持っているわけではないが、
コクーン歌舞伎平成中村座・海外公演・・等々の業績を思うと、
彼の発想力や実行力が、類稀(たぐいまれ)なるものだった、
ということは、はっきりと言えると思う。


彼は、歌舞伎以外の仕事も精力的にこなした。
彼の年代で、彼ほどTV番組に数多く、
しかも幅広いジャンルに出演した歌舞伎役者を私は他に知らない。
(現在若手が多くTV出演しているのも、
彼が先鞭をつけてくれたからのように思う)
しかし、それは、彼が、
自身の興味や満足のためだけにやっていたのではない気がする。
すべて歌舞伎のために、
歌舞伎を少しでも多くの人に理解し愛してもらうために、
あえて、広告塔になっていた部分もあったのではないだろうか。


中村勘三郎さんの死は、
単に、勘三郎個人の「至宝の芸」を失った、ということだけに留まらない。
歌舞伎界は、
歌舞伎に関心のない大衆と歌舞伎とを あらゆる手段を使って繋ごうとした、
かけがえのない大きな架け橋を失い、
歌舞伎の未来を見据えて思い切った発想をし、
それを着実に行動に移す、名プロデューサーを失った。


誰かがそれを継いで行かなければならない。
いいや、誰か、ではなく、歌舞伎界全体で担わなければならない。
特に若い人たちに頑張ってもらいたい、
自分なりのやり方で積極的に牽引して行ってほしい、と、
歌舞伎ファンの末席に座らせてもらったばかりの素人ながら、切に願う。
そうして、勘三郎さんが歌舞伎という老砧木に刺した接木(つぎき)に、
青々とした美しい葉をたくさん茂らせてくださらんことを・・。


勘三郎さんのあまりにも早い死を惜しみつつ・・

合掌。



歌舞伎ファンの皆様、生意気な書き込み ひらにご容赦。