『神の雫』(第7話)感想

神の雫』(第7話)感想
田辺誠一&遠峰一青ファンとしては、
一青が第五の使徒に辿り着くまでの過程が あっさりし過ぎていて、
物足りなく感じられましたが、
神咲雫(亀梨和也)側から観ると、ピースがだいぶ埋まって来て、
興味深い展開になって来たように思います。


父・豊多香(古谷一行)が抱えていた闇(孤独)の原因が、
自分にあったのではないか、と思い悩む雫。
しかし、父には支えてくれた女性がいた。
その人への父の感謝の気持ちが、第五の使徒として表現される。


6本のうちの1本を割(さ)いてまで霧生に言及する、というのは、
雫と一青の対決、という使徒ワインの意味合いから
はずれるんじゃないか、とも思うけれど、
6本の使徒が、二人の息子の「父への真の理解」への道標(みちしるべ)
として用意されたものであるなら、
これもまた、意味のある1本ということになるのでしょうね。


霧生が、途中で第五の使徒の遺言状を読むのを止めてしまったのは、
このワインが、おそらく自分を指している、にもかかわらず、
「愛という言葉では言い表せない・・」
つまり、豊多香の自分への想いが「愛情」ではない、という記述に、
予想していながらもショックを受け、
その先が、怖くて読めなくなった、ということだと思うのですが、
雫が、使徒を探すうち、霧生の存在に思い至り、
使徒の記述に足りないものを感じて、続きがあるのではないか、
と考える、という展開は、多少強引ではあるけれど、
納得出来るものになっていたように思います。


何より、今回は、霧生涼子役の戸田菜穂さんが素晴らしかった!
一青を演じている田辺さんに対しても思ったことだけれど、
役を演じる、って、その役の人生を背負って生きるってことなんだなぁ、と、
改めてそんなことを考えさせられる、
深みと重みと存在感のある演技だったように思います。
回想シーンでの、豊多香の前に座る霧生の美しさは、
絶品でございました。

何だかねぇ、たった1話の中だけど、こういう描き方をしてもらえる、
今までの伏線が全部生きるような描き方をしてもらえる、
それを演技として表現出来る場を与えてもらえる、って、
俳優(女優)として、こんなに幸せなことはないんじゃないか、って、
戸田さんの涙を観ながら、そんなことを考えてしまいました。


第五の使徒の重要なキーワードに「感謝」という言葉があるんですが、
今回、雫はみやび(仲里依紗)に
何度も「ありがとう」って言ってるんですよね。
豊多香も霧生に言ってますが。
それは、いわゆる(男女間の)「愛」というものとは
ちょっと違うのかもしれない。
だけど、とてもとても大切な感情には違いない。
「ありがとう」と言える人がいつも近くにいる、って、
すごく心強くて、すごく励みになって、すごく元気になれることなんだ、と、
そんなことも思いました。


うん、実は私、男と女がいると、すぐLOVEに発展しちゃう
安易な展開のドラマがあまり好きではなくて。(笑)
たとえば、木村拓哉さんが総理を演じた『CHANGE』にしても、
深津絵里さんとの信頼関係がすごく好きだったのに、
最後に、取ってつけたように「きみが好きだ」
みたいな終わり方になってしまったのが、すごく残念で。

雫とみやびはどうでしょうね。
何だか、私は、この二人を観てるとすごく幸せな気分になれるし、
今の二人の距離感がすごく好きなので、
簡単に「愛してる」なんて告白する展開には なって欲しくないけど。(笑)


戸田さんも素晴らしかったけれど、
今回は、亀梨くんと仲さんも、とても良かったです。
仲・みやびの、懐の深い温かさ、
みたいなものは元々伝わって来ていたけれど、
少しずつ雫への気持ちが深まって行ってる感じが、とてもいい。


それと、何と言っても亀梨くん!
いや〜、やられてしまいましたね、今回は。(笑)
先週「田辺さんに軍配」と書いたけど・・田辺ファンの私だけど・・
はい、今週は間違いなく亀梨くんに軍配。(笑)
今までの、どこかフワフワしていた雫に、しっかりと一本芯が通った感じ。
遠慮がちでお客様っぽかった以前に比べ、
事業部の面々とも、すっかり打ち解けた様子だし、
みやびに対しても、心を許す、というより、心を預ける感じになって来たし、
使徒対決の場での霧生への気遣いなどは、
ちょっとした風格さえ出て来て・・
いやはや、大人になったもんだね〜、亀梨・雫くん。(笑)

うーん、雫としても、亀梨和也としても、
今後がほんとに楽しみになって来たなぁ!
あと2回、「隠れ亀梨ファン」の私の「隠れ」が取れるような雫を
見せて欲しいぞ、亀梨和也〜!(と、遠〜〜くの方から挑発してみる。笑)


さて、今回、すっかり分が悪かった田辺・一青。
ワインに向かって「貴様は神か悪魔か・・」なんて、
あいかわらずシェークスピア劇まがいの言いにくいセリフを
言わされてますが。
まぁ、そういうところは観ていて辛いこともあるんですが、
それでも、登場シーンにはまったくそつがなくて。


再び闇の中に沈んだ一青。彼を救えるのは誰なのか。
セーラか、マキか・・・いや・・たぶん、雫なんでしょうね。
部屋を訪ねて来た雫に、眼の見えなくなりつつある一青が、光を感じる・・
あのシーンを観ていて、
結局、一青を救えるのは彼だけなんだろうな、と、そう思いました。
今までの雫なら、到底支え切れなかっただろうけど、
今の雫なら、何となく、一青を支えてあげられそうな気がする・・
そんな力強さと確かさが、
亀梨・雫の中に育ち始めてるように感じられるので。
・・まぁ、どういう展開になって行くのかは解かりませんが。


どんな少年漫画(あるいはドラマ)でもそうだけど、
男vs男の闘いの面白さは、お互いに対する敵対心と共に、
どこかで「背中合わせの友情」みたいなものが育って行くところ
にあるような気がします。
良きライバルって、自分の度量と相手の度量をしっかり見比べられる
「公平な眼」みたいなものを持っている者同士のことを
言うんじゃないでしょうか。
お互いが、お互いの力をしっかりと認めている・・
だからこそ、自信と不安とが綯い交ぜ(ないまぜ)になりながらも、
こいつだけには負けたくない!って思える・・

今回の使徒対決の場は、霧生と雫に持って行かれた感じだけど、
田辺さんは田辺さんなりに、
そのあたりの一青の気持ちを表現しようとしていたんじゃないかなぁ、と、
あの場面の田辺さんを観ながら思いました。


ここまで、一青の2勝1敗1引き分け。
雫を甘く見て、油断のあった第1の使徒の敗戦があったとはいえ、
実力で一青が勝っているのは間違いないし、
前回は、闘いの場に戻って来てくれた雫に対して、
兄として、対戦者として、嬉しい気持ちもあったかもしれないけど、
今回の一青は、完全に対戦モードで。


そんな中、自分が闇と格闘してようやく見つけ出したワインと同じものを、
豊多香や霧生の気持ちを汲む、という形で言い当てた雫に、
一青は、初めて、手ごわい、と感じたんじゃないか、と思うのです。
そのあたりの、雫の言葉にかすかに反応する一青、というのを、
田辺さんはちゃんと表現していたように見えたのですが、
画面ではあまり映っていなかったのが、すごく勿体ない気がしました。
いや、もちろん、あの場面は霧生中心で正解だろう、
とは納得してるんですが・・


豊多香の闇の謎(もちろん雫が原因ではない)が解ければ、
一青の闇の謎も解けるはず。
(まぁ正直、一青の闇の正体が明らかになることで、
豊多香の闇の謎も明かされる、という展開がベストなわけですが)
そこにマキがどう絡んで来るか・・
あと2回でどれだけ描けるのか、正直不安だらけですが(苦笑)
田辺・一青ファンとしては、今回、眼が見えなくなりつつある原因が
「精神的ストレス」だった、ということと、
ロベール(竹中直人)の
「一青が、絶望の暗闇に眼を向けてしまうとはな・・」
という言葉にひたすら 縋(すが)って(苦笑)
とりあえずは、一青メインになるらしい展開の来週を、
楽しみに待ちたい、と思います。


予告を観ていて思ったこと・1。
予告の階段落ちは、どうやら22日の夜に撮影されたようです。
放送のわずか2日前だったと思うと、
まるでライブで見ているような感覚に陥って、胸が痛かった・・
でも、背中からふわ〜っと落ちて行く あの落ち方には萌えてしまった・・(笑)


予告を観ていて思ったこと・2。
さっき、良きライバル、ということを書きましたが、
雫と一青には、さらに「兄弟である」という離れられない繋がりもあって、
闘いながらも、力を合わせて共通の克服すべき山(父・豊多香)に
立ち向かう、という、ライバルでありながら協力者でもある、
すごく興味深い関係になってるんだな〜、と、予告の二人を観ていて、
改めてそんなことも思いました。