『NANA2』感想:2

『NANA2』感想:2(登場人物編)
NANA2』(主な登場人物について)
★ナナ(中島美嘉さん)
市川由衣さんも言ってたけど、あいかわらず「男前」だなぁ♪(笑)
今回の『NANA2』では、レンとの関係がしっかり描かれなかった分、
「女」としての部分が弱まって、
なおさら男ぶりが上がったような気がします。
で、彼女のその辺のアンドロジナス的な(両性を持つ)感じが、
今回のストーリーには、とても有効だったんじゃないだろうか、
とも思います。
正直なところ、タクミにハチを奪われる、という痛みが、
前回の、ブラストにレンを奪われる、という痛み同様、
非常にきれいではあっても、
こちらの気持ちを絞り切るほど強く描けていなかった、
というのは残念ですが、
逆に、そのあたりをどこまでもナマっぽく描いてしまうと、
あの独特の、少女マンガに根ざした空気感を漂わせることは出来なかった、
という気がしないでもありません。

 

★ハチ(市川由衣さん)
前回の宮﨑あおいさんが、とても華やかで明るかったのに比べると、
いささか地味な感じは否めませんが、
タクミと出逢って、自宅に誘われた時のモノローグが、
今回のハチのキャラクターを一気に市川色に染め上げた感じがして、
以後は、まったく違和感なく観ることが出来ました。
「いつまでもナナやみんなと一緒にいたい」という控え目な願いが、
すんなりと、観ているこちらの気持ちにシンクロした、と言えばいいか。
彼女が醸し出した独特の「いじらしさ」みたいなものは、
ひょっとしたら、宮﨑さんでさえ出せなかったものかもしれない、などと。
また、前回のハチが持っていた
(宮﨑さんが演技で原作のキャラを見事に踏襲していた)
「わがままさ」は、市川ハチにはそぐわない気がするし、
今回のハチには必要のないものでもあったので、
その部分をきれいにカットしてくれて良かった、とも思いました。

 

★タクミ(玉山鉄二さん)
彼は、ちゃんとした大人になるための大事なステップを踏まずに
いきなりビッグになってしまった、という感じがして、
あの冗談みたいなお城のような自宅が、その象徴のような気がしました。
タクミのあの空虚な感じ、熱がない感じ、というのは、
監督が狙っていたものなのだと思うのですが、
玉山さんがクールに演じたことで、より浮き出て来たようにも思えます。

 

★レン(姜暢雄さん)
前回の松田龍平くんに比べると、
あまりにも見せ所がなくて、気の毒でした。
ナナとの関係がほとんど描けていないので、
「いい友達」ぐらいにしか感じられなかったのが残念でしたが、
でも、彼の優しさは、ナナにとってと同じように、
私にとっても(笑)救いだったです。

 

★ヤス(丸山智己さん)
この人が、この映画に出てくる主要メンバーの中では、
最も大人なんだろうな。
控え目だけど、押さえるところはちゃんと押さえてて。
ひたすら惚れた女を支え守って、しかしそれを彼女に気取(けど)られもせず、
みたいなこういう役が、とても好きです、私。(笑)

 

★シン(本郷奏多くん)
テニプリテニスの王子様)でリョーマを演じた人、と聞いていたので、
注目していました。
前回の松山ケンイチくんが、本当にちょっとだけの出番しかなくて、
もったいないなぁ、と思っていたのですが、
今回は、少しだけど見せ場があったし、
何よりあのビジュアルは感動ものでした♪(笑)
原作を読んだ時、
シンが、主要メンバーの中で一番、社会の荒波をくぐって生きてる、
という感じがしたのですが、
今回のシンは、
わずかですが、その片鱗を見せてくれたような気もしました。

 

★ノブ(成宮寛貴さん)
実は、このノブの視線が、一番、観てる私たちに近い感じがしました。
『NANA』というおとぎ話と、現実に私たちがいる世界との、
橋渡し的な役割を担っていたような。
ヤスあたりは、自分が入って行かなくてもいい、と、
ある部分であきらめている、というか、達観してるように思えるのですが、
ノブは、そこまで客観的になれずに、
すごくあがいてあがいて、自分で傷ついてしまっている、
みたいなところがあって、
その、「普通の人間」の泥臭い「熱」を、
成宮くんが、すごく自然に演じていて、
それが、ハチを挟んで向こう側にいるタクミと、
とてもいいコントラストになっていたようにも思いました。
彼が生きている空間は、本当に普通なんですよね。
アパートの雑然とした感じ、彼が歩く商店街の人くささ、
そういうものが、この、あえて絵空事を描くことに執着している物語を、
いくらか「こちら側」に近づけている感じがして、
そういう役まわりを成宮くんがしっかりと担ってくれたことが、
とても嬉しかったです。

 

★川野(田辺誠一さん)
最初にライブハウスに現れた時に、ものすごく違和感があって。(笑)
それは、徐々に弱まっては行くけど、最後まで続いてて。(笑)
どうしてだろう、と思ったら、
彼はちゃんとした「大人」だから(見た目や着ている物も含めて)
なんだな、と。
居心地のいい「子供」という繭玉に、
スパッと切れ目を入れて、侵入して来た大人。
けれども、その侵入者は、
けっして子供たちに害をもたらす だけ のものであってはいけない。
彼らを優しく見つめつつ、愛しつつ、
一方で、大人社会に立った彼らへの最初の「風」として、
現実を直視し、立ち向かうための強さを、
植えつけてやらなければならない。
そういう役割を担った川野を、田辺さんが演じている、
というか、田辺さんが演じているから、
優しいだけじゃない、かと言って、打算的なだけでもない、
両面を持っている川野になったようにも感じられた――というのは、
私が田辺ファンだから、なんだろうか。(笑)
もうちょっと出番が多いと、
彼とブラストの関係がどんなものになって行くのか、
もっとちゃんと描けただろうし、
田辺さんとしても、何かやりようがあったんだろうけれど、
そこまで描いてもらえるほど大事なキャラじゃなかったから、
まぁ、仕方ない、ということでしょうか。
でも、これからのブラストに欠かすことの出来ない人間に
なってくれそうで(そこまで映画は続いてはくれないけど)
何だかほんわりと嬉しく思いました。
ひとり勝手に、ですけど。(笑)