『荒神〜AraJinn〜』感想:4

 ☆特殊効果。
これはすごく面白かったですね。
「手のひらから発する攻撃光」としてレーザーが使われてるのですが、
そのレーザー光と、同時に発する攻撃音と、爆発煙が、
絶妙のタイミングで飛び交うのです。
でも、縦横無尽のように見えるのは、観客がダマされているから。
実は、攻撃する側の立ち位置と、攻撃される側の立ち位置が、
きちんと決められていて、そこにきちんと立つことで、
地を這う光線とか、標的になった者への爆破煙とかが、
計ったように繰り出されるのです。
きっちりタイミングを計って光線スイッチとか爆破スイッチ入れてる
スタッフは、きっと毎回冷や汗ものなんじゃないか、と。(笑)
お稽古の時間があまりなかった、とも聞いていますが、
このタイミングがまったくズレれてないのだけ取っても、
きちんと形にするまでの苦労は、半端じゃなかったと推察します。
新感線の皆さん、慣れてらっしゃるとはいえ。

 

☆衣装。
色のイメージが固定されているメンバーが、やはり印象に残ります。
ジンの赤、更紗姫の白、風左衛門の黒。
特に更紗姫は、純白の衣装で、とてもきれい。
ジンや更紗姫は、プリーツが入ってるところが薄手の生地なので、
とても軽やかそうに見えます。
風左衛門の衣装は、三国志あたりの雰囲気。
あれで、白羽扇持って黙って(爆)立ってたら、まんま、諸葛孔明。(笑)

 

☆小道具。
ジンの持ってる剣は、普段は50㎝ぐらいの短さ。
サヤから出すと伸びるしかけになってて、
森田剛くんが自在にあやつります。
でも、しまう時が、ちょっと大変そう。(笑)
笑えるのが、空から降ってくる牛。
POTOと同じ牛?とも思いましたが、模様が微妙に違うような・・・・(笑)
レーザー使わないで素手で戦う時、
ジンの握りこぶしが巨大になるのも楽しかった。
ほんと、マンガそのまんま。

 

☆音楽。
基本はロックミュージックですが、とても心地良かった。
ロックコンサートでは往々に、バックの音のボリュームが高すぎて、
肝心のボーカルの声が聞こえないってこともあるのですが、
今回は、ちょうどよい感じで、邪魔にならず、舞台を盛り上げてました。

 

☆舞台。
特に大仕掛けというのではないのですが、
舞台奥から手前にかけて、かなり急な坂(やおや舞台)になっていて、
あそこで大立ち回りをする森田くんや新感線のメンバーは、
さぞ大変だろう、と。

 

内容も含め、全体に肩の凝らない、あまり重みのないものになっていたのは
やはり「少年少女向け」というのを意識したからでしょうか。
新感線のファンの中には、
そこが物足りない、と思われる方も大勢いるんだろうけれど、
私は、それはそれで面白い、と思いました。

手抜きなし、きっちりと作られた、新感線入門編。
新感線初体験の私には、
ちょうど身の丈に合った作品だったように思います。