『恋人はスナイパー』<劇場版>感想:2

恋人はスナイパー<劇場版>感想:2 04年4月22日(木)showm
まず私は、『恋人はスナイパー』というタイトルに偽りあり!と思ってる、
ということを宣言しておきますが。(笑)

 

「1」の時からずっと、私には、
王ときなこのお互いへの気持ちが「恋愛」だとは思えないままなんですよ。
たとえば、抱き合って、キスして・・
たとえば、幸せな家庭を作って、死ぬまで一緒にいて・・という、
そういう繋がりではなかったような気がする。
「恋」というのではない、
もっと、違う形での「魂の結びつき」とでも言ったらいいか。
確かに、今回、ふたりが抱き合うシーンもあるんですが、
私には、どうしても、王(内村光良)がきなこ(水野美紀)の心の傷を
犬のようにペロペロ舐めてやってるようにしか見えなくて。

で、暴言を承知で言わせてもらえるなら、
要するにこれは「きみはペット」ってことなんじゃないか、と。

 

うーんと・・うまく言えるかどうかわかんないですし、
いつものように、私が‘妄想’を爆発・暴走させてる、
と考えて下さって結構なんですが。
(田辺ファンなので、思いきり蓮實・船木に傾倒した見方をしてるのは
ご容赦。笑)

 

スミレ(きみぺ)にしても、きなこにしても、
蓮實や船木では埋められないものを抱えてるんですよね、最初から。
で、その部分を埋めてくれる存在が、モモや王だったんじゃないか。

彼らの存在は、
スミレやきなこの頑(かたく)なな心を溶かし、
彼女たちが行くべきところに行くための道筋をつけてやるために
あったのではないか、と。

もちろん、本来ならばどちらも(蓮實ならモモの部分も、船木なら王の部分も)
ひとりの男性が背負うべきものなのだけれど、
どうしても、ひとりの男性にすべてを委ねることが出来ない女性もいて。

その、ひとりの女性の気持ちを、別な男性と半分ずつ担うことに、
じっと辛抱して、耐えて、
最後まできちんと折り合いをつけることが出来たのが
今回の船木なんじゃないか、と。

 

別な言い方をすると、今回(映画)の恋スナが、
ペット(≒男性として存在していない男)の着地点を、
モモみたいに、人間に昇格(?)させる、
という気持ち悪い形(暴言ご容赦)にしなかった、
つまり、ペットがペットとしての矜持を持ったまま、
ペットとしての役割を終える、という形を取った
(王が最後まで恋愛の対象としてきなこの前に存在しなかった)ことで、
船木(を演じてる田辺さん)は、最初から、遠慮なくきなこを愛し、
しっかりと支える役に徹することが出来たのではないか、
という気もするのです。
(TV版では、この部分が映画ほど明確でなかった気がする)

 

一方、王は、
自分ではきなこを永遠には支えることが出来ないことを知っていて。
船木が、きなこと王の繋がりに立ち入れない、と思ったように、
王もまた、自分はきなこと船木のあいだに入り込めない、
と、思ってもいて。

それは・・・
王ときなこの関係には「今」だけしかない、
きなこの「未来図」を握っているのは、最初から船木で、
自分ではない、ということを、理解していたからじゃないか、と。

最後に、大切な人を誰に託すかを考えた時に、
船木しかいないと確信した王。
でもそれは、恋のライバルに自分の女を譲る、
というたぐいのものではなく、
同じ女性を、違う側面から支えて来た者同士として、
船木なら、きなこを安心して託せる、
傷ついたきなこごと預けるに最も適した人間として、船木を選んだ、
ということなのではないかと思うのです。

 

さて、一番分かりにくいのは、きなこの気持ちなんですが。(笑)
王との関係を通して、彼女の中に目覚めたもののひとつに、
「母性」というものがあるんじゃないか、と私は思ってるのですが。
その「母性の愛」(男か女かは問わずに愛する)が、
やがて「女性の愛」(女として男を愛する)に繋がって行くのかどうか、
それはまだ、これから先の話、という気がします。

 

きなこが船木を好きかどうか、という大いなる疑問(笑)については、
正直、今現在の時点では、私はかなり疑いを持ってます。
まぁ「いい人」止まりかな、と。(笑)

でも、それでも、一番彼女の近くにいて、
一番彼女を理解してくれているのが、船木に違いない、というのは、
彼女も認めているところだと思うし、
「1」から「2」、そして「3」(映画)へと、
船木が、彼女にとって、
徐々にではあるけど確実な存在になりつつあるのは、
確かなことのようにも思えます。

 

映画以後、ぽっかりと空いた彼女の心を、船木が、どう埋めていくか、
これはかなり大変なことだと思う。

王は、ある意味せいせいと行ってしまったかもしれないけど、
あんな形の別れが、一番、
きなこの気持ちをめいっぱい占領してしまうんだよ、ばかやろう!
と思ったのは、私だけじゃないはず。(笑)

それでも、きなこと王との繋がりが、
「特別な事態」=「非日常」の中で生まれ育ったものである、
ということは、きなこ自身ちゃんと理解出来ている、
王とのことが、「特殊な日々」としてパッケージングされて、
少しずつ、「普通の生活」=「日常」に戻って行く、
ような気もするのです。

 

今回のことで、
船木ときなこが、なおさら結婚出来にくい状況になってしまった
のは確かだし、
そもそも、きなこが結婚を望んでいるかどうか、ってのも、
私には疑問だったりしますが、(あ、船木さん、ごめんなさい。笑)
でも、たとえそうであっても、船木のきなこへの気持ちは変わらず。
きなこを深く強く愛しているにも関わらず、
船木はもう、自分の気持ちを押し付けようとは思わなくなっていて。

やがて・・・
ゆるやかな時の流れと、ゆったりと深く穏やかな愛の中で、
きなこは、「誰かを好きになること」が、痛みだけを伴うものではない、
と気づいて行く、気づかされて行く・・・・

その任に、誰よりも適しているのは、あの船木である、
田辺さんが今回演じた、あの船木である、
と、私にはそう信じられるような気がするのです。

 

・・・・・
少なくとも、近い未来に、ふたりの結婚はない。
けれど、船木の愛は、途絶えることなく尽きることなくきなこに注がれ、
その想いは、やがて、きなこにも伝わって・・・
さまざまな事件や出来事をふたりで乗り越えて行くうち、
きなこにとっても、船木は、
本当の意味で「掛け替えのない人」になっていき・・・
5年後、「結婚」とは違った形、違った絆で結ばれた
「警視庁の最強カップル♪」が誕生し・・・

そして10年後・・・・・・
な〜んて『続・恋スナ』のストーリーを真剣に考えてる私。(笑)

 

・・・・そう、この映画は、
船木ときなこの長い長い物語の、プロローグでもある、なんて言ったら、
みんなから「いいかげんにせい!」って どつかれそうだよね。(笑)