『半落ち』感想:1

半落ち』感想:1 投稿日:2004年1月21日(水)roji
感想を一言で言えば・・・非常に面白かったです。
ミステリーとしては、確かに食い足りない部分はあったし、
出て来る人間たち(特に上司たち)の描き方が平板だった、
というきらいはあるけれど、
最初は、寺尾聡×柴田恭兵のやりとりを、
後半は、寺尾聡×吉岡秀隆のぶつかり合いを、非常に面白く・・
いや、興味深く・・
いや・・何と言ったらいいだろう・・・非常に重く、と言ったらいいか、
そういう感じで受け止めました。
特に、吉岡さん演じる判事の想いというのはねぇ・・
私は「人間の命」とか「尊厳」とかを、すごく考えさせられましたね。

國村隼さんも良いと思いましたが、
とりあえず、この映画の寺尾・柴田・吉岡を観られたことは、
私にとって、すごく幸せなことに思えました。

 

さて、この映画を観るきっかけを与えてくれた、肝心の田辺誠一さん。
梶(寺尾)との出会いで、
この男の内でもまた間違いなく変わって行ったものがあったはず。
その変化を見せ得るのは、裁判を傍聴していた時の表情しかないのに・・・
あとせめて一色(ひといろ)、ほんのわずかでいい、
変化を感じさせて欲しかった、と思うのはぜいたくでしょうか。

とはいえ、こういう配役、こういう映画の中で、
浮き上がらず、ぎりぎり踏み止まった意味は大きいかな、
「あつもの」の時を思えば。

 

もし、田辺さんが吉岡さんの役をやったら・・・・
いや、出来るだろうか、彼に・・・・
ああいう役が出来ないからこそ「田辺」なのか・・
ああいう役をこなしても「田辺らしさ」は残るのか・・はて??