『きみはペット』(最終回)感想:2

きみはペット(第10話=最終回)感想:2 :2003年6月24日(火)showm
私は、スミレにとって安らぎが必要だ、というのは、
とてもよく判るんですよ。
スミレは普段頑張ってるんだから、
人と付き合うのまで「努力」してたんじゃ、とてもしんどいと思うし。
(それで別れる、というのが、蓮實ファンとして辛くはありましたけど)

 

私が違和感があったのは、スミレじゃなく、武志の方なんですよね。
踊ることが好きで、本場のオーディションに受かるぐらいの実力があって、
なのに、それをあっさり捨ててしまう、というのが、
すごく、腑に落ちない感じがしたんです。

もちろん、それを選ぶ選ばない、は、武志の自由ではあるんだけど、
そんなにあっさり捨てられたんじゃ、
たとえば順平とか、オーディションに落ちた連中とか、
彼が今まで踏みつけて来た、「努力しても手が届かなかった人達」に対して、
ものすごく失礼なことしてるんじゃないか、と。

 

私は、『あつもの』(映画)の黒瀬を思い浮かべたんだけど、
あの天才にとって、あつものがそれほど重要なものではなかった、
と分かった時、
追いつこうと頑張って頑張って、
それでも追いつけなかった杢平のやりきれなさ、って、
ものすごく大きなものだったと思うんですよね。

勝った者は、負けた者の想いを背負わなければならない、
それが、勝った者の義務(あるいは宿命)なんじゃないか、とか。
(それを背負ったばっかりに、名人滝川@月下の棋士は苦しんだわけで)

 

もちろん、そんなところまで掘り下げて行ったら、
ドラマが膨大になってしまうのは判るんだけど、
どうも、胸のつかえが取れない感じがして。

 

ただ、武志側に立ってみて、なぜ飛行機に乗らなかったか、を考えた時、
たぶん、武志の中で「なぜ踊るのか」の答えが出てしまってたのかな、
という気もしました。

武志ママ(夏木マリ)に「あなたは私の誇りよ」と言われること。
そのことこそが、彼を踊らせていた、最大の原動力だったのかな、と。
だから、その言葉を得た今は、
少しダンスから離れても、彼の気持ちとしては、
問題なかったのかもしれない、とも。

最終回ラストは、やっぱり、「休暇の延長届け」という意味合いですよね。
休暇である限りは、どこかでそれが終わる、というのも、
間違いないことだ、と、やっぱり私は思うので、
人生の中でぬるま湯に漬かって湯治するような、そんなひと時――
を充分味わった後のふたり、というのも、知りたかったりします。