『きみはペット』(第6話)感想:3

きみはペット』(第6話)感想:3 投稿日: 2003年5月25日(日)roji
スミレは、実際に心傷つくような出来事にぶつかるずっとずっと前に、
危険を察知して、心に防護壁をはりめぐらす。
(その辺が、私がスミレを「弱い」という根拠になってる)

 

でも、この、肝心なところから逃避するくせは、
実は、武志にもあるんじゃないでしょうか。
自分の才能と夢、両親との確執。
順平(瑛太)が、彼に放った「逃げるなよ!」という言葉は、
るみ(石原さとみ)のことばかりを指してるんじゃない、という気がする。

才能を持った人間が、その才能の果てを見極めるのは、
ものすごく怖いこと、なのかもしれない。
ドイツ留学の話が、武志の中で薄れて行ってるのは、
そのせいでもあるのかと。

家を出て、友達のところを点々として、傷ついて、そしてスミレに拾われて。

このままペットとしてそこにいれば、
少なくとも、「自分の才能は限りない」と信じていられる。
それって、ものすごく「甘い誘惑」で。

だけど、心の奥の奥では、闘わなければならない、
と承知している自分もいて。
その焦燥が、時に爆発して、周りを傷つける、
そういう一面もあるんじゃないか、と。

 

武志の荒々しさ、みたいなものって、
ただ、スミレの気持ちを掴み切れないためだけに
生み出されているわけじゃない、という気がするので。

「飛び込む勇気」を未だ持てない、というのが、
スミレと武志の共通点かと。