恋人はスナイパー・2(talk)

2002・12・24放送(テレビ朝日系)
★このトークは、あくまで、翔と夢の主観・私見によるものです。

  夢:01年10月に放送された『恋人はスナイパー』の続編。
  翔:ほんとに作っちゃったんだね。(笑)
  夢:(笑) あの続き、って、どうするんだよぉ、と思ったら、こう来たか、ってな展開で。 これはこれで、あたしは面白いと思って観たけど。
  翔:でも、はっきり言って、初編ほどのストーリー性はなかった。 今回は、ウッチャンがなぜスナイパーになったか、等々の説明をする必要がなかったから、観ていて、肩がこらなくてよかった、というのはあったけれど。
  夢:あたしは、初編のストーリー、とういうのが、あんまり好きじゃなくて、母をたずねて何千里、みたいなところがイヤだったから、かえって、王(ウォン=ウッチャン)ときなこ(水野美紀)のアクション重視!みたいな単純な作り方をしてる今回の方が、いいと思った。
  翔:ストーリーらしいストーリーもなくて、だから、これは、初編の長~いエピローグか、はたまたこの後公開される劇場版の大いなる助走か、という気にもなったんだけど。(笑)
  夢:はは・・なるほど。
  翔:とりあえず、お笑いウッチャンのシリアス芝居と、女優水野美紀さんの本格アクションが観られて嬉しい、という・・・
  夢:それだけ。(笑)
  翔:はい。(笑) でも、それだけだって、十分観る価値はあるし、そもそも、それが見せたくて出来上がったドラマ、なんだと思うし。 最近、こむずかしいドラマを多く観て来たせいか、「これを見せたい」というのがはっきりしている単純明快なドラマに、なんだか、ホッとしたりして。
  夢:ああ、それはあるかも。(笑)
★    ★    ★
  夢:さて、船木さんのことを話さなくちゃ。
  翔:夢、好きよね、船木さん。
  夢:うんうん。まず、ビジュアル的に好きだし。(笑)
  翔:私、このトークを始める前に、1年前の『恋人はスナイパー』と、今回の『2』の、船木健一登場シーンだけを、続けて観たんだけど。
  夢:うん。
  翔:初編の船木も、すごくいいと思ったんだけど、今回と比べると、まだ硬さみたいなものがあったんだな、と。 田辺さん、今回、さらに滑(なめ)らかになった、というか、役に対する‘構え’が取れて、まろやかになった、というか・・・うまくなっているなぁ・・・と。
  夢:うまくなってる・・か。 
  翔:なんだろう・・・「技術」と言えばいいか。 滑舌が良くなって、言葉が伝わりやすくなっているし、言葉にのせる気持ちにも、ギクシャクしたところがなくて、やっと、気持ちに言葉が追いついて来た感じがして。
  夢:なるほど。
  翔:あと、言葉にならないシーン、表情だけで見せるところなども、ああうまいなぁ、と。 結納の日、きなこが、似合わない着物を着てみんなの前に出て来た時、ほんとに「似合わねぇ」って感じで、見て笑ってしまったんだけど、船木さんだけは、「あ、きれいだ」とか「かわいい」とか思っているんだろうな、という表情をしていて・・・・
  夢:そうそう! あそこはあたしも好きだった。船木さん、すごくいい表情で。
  翔:「不器用な感情」の表現、みたいなものは、もともとうまい人だったのだけど、今回みたいに、「すごくやわらかな感情」の表現も、とってもいいなぁ、と思った。
  夢:うん。
  翔:ストーリー的には、船木さん、今回、すごく微妙な立場で・・・・一人で物語を背負っていたような気もしたんだけど。
  夢:・・・・?・・・・
  翔:突っ走るふたりを、「現実」に引き戻す役だから。 きなこの婚約者、と言っても、視聴者には、船木が絶対に振られるのは分かっているわけだし、彼が出て来ることで、二人(特にきなこ)が現実に戻らなければならない、言ってしまえば、邪魔な役だったわけで・・・・
  夢:・・・・うーーん・・・・
  翔:いや、たとえ振られ役でもいい。 今回みたいに、ちゃんと‘そういうふう’に描かれていれば、まったく不満はないし。 その点、役にブレがなかったので、観ている方も、ちゃんと最後まで感情移入出来たし。
  夢:うんうん。
  翔:俳優なら誰でもそうだと思うけれど、きちんと描かれている役なら、演じる方も、うんと楽だと思う。 純粋に役作りに没頭出来る、で、その人の行動なり心情なりが、無理なくこちら側に伝わって来る・・・少なくとも、船木は、観ているこちらも、すんなり気持ちを預けられる役だった。
  夢:そうだね。
  翔:・・・・・きなこを好きになる、って、すごく大変なことだと思う。(笑)
  夢:(笑)
  翔:きなこが王に惹(ひ)かれてる部分は、船木じゃ埋めようがない。 埋めようがない、と知っていて、埋めようがない部分ごと、きなこを包むように愛そうとしている。 
  主人公たちにとって、ただ 邪魔な役、というだけでない、きちんと船木なりのポジションを掴んで、ちゃんと、いかにも船木らしい「穏やかな愛し方」を成立させているあたりが、すごく良かった。
  夢:ただ単純に嬉しいだけでない、ちょっと複雑な婚約者としての顔を、ものすごくうまく表現していたと思うよね。
  翔:・・・ただ・・・・
  夢:ん?
  翔:本当に、ソフトにきなこを愛している、という感じを、とてもうまく表現している田辺さんなんだけど・・・・なんと言うか、どこか、引いている感じもした。
  夢:引いてる感じ?
  翔:船木は、王ときなこにとって、おじゃま虫的なところがある。 その辺で・・つまり「振られ役」であることで、船木を演じる田辺さんに、知らず知らずに一歩引いてしまう、と言うか、二人への「遠慮」みたいなのはなかったのかな、と。
  夢:遠慮?
  翔:そう。 もちろん、きなこへのハートウォーミングな感じは、とってもいいなぁ、とは思ったんだけど、そう思う一方で、私は、船木が、もっともっと きなこに惚れてもいいんじゃないか、とも思った。
  夢:もっと きなこに惚れて?・・・惚れてなかった?
  翔:惚れていた、とは思う。 きなこを包み込むような、優しい形で惚れていたんだ、と。 さっきも言ったように、その優しい愛し方がとってもいい、とも思ったんだけど。
  夢:・・・・・・・・
  翔:そこで満足している自分というのも、確かにいたんだけど。 でも一方で、私は・・・それだけじゃなくて、もっと溢れるような、こぼれ落ちてしまうような、熱い恋の部分、というものが、もうちょっと見られたら、もっともっと船木が好きになったのに、と、ちょっと残念にも思ったので。
  夢:・・・うーん・・・・・
  翔:そういうふうにしてしまったら、王ときなこvs船木ときなこ のバランスが崩れてしまう、ってことが、ひょっとしたらあったかもしれないし、それも計算に入れて、脚本や演出が、船木の愛に、ある種のブレーキをかけたのかもしれないんだけど。
  でも、それはそれとして・・・制作側の思惑は思惑として、演じる田辺さんまで遠慮する必要はないんじゃないか、と。
  夢:・・・・それ、翔は、どんなところで感じたの?
  翔:きなこが1211に捕まって、それを助けるのに、狙撃班に命令を下す、その決断をする時に、船木の中で、部下を助ける気持ちと、婚約者を助ける気持ちと、どちらが強かったのかな、って。
  夢:・・・・・・・・
  翔:・・・いや、そもそも、あのシーンの緊迫感というのが、演出の段階でうまく描かれていなかった、生きるか死ぬか、というギリギリの感じがなくて、ちょっと温(ぬる)い場面になってしまっていたので、その中で、重要な決断を迫られる、という船木の立場を演じるのは、非常に難しかったんだろうな、とは思うんだけど。
  悩んで決断する、そこに、上司としてより、愛する人を何としても助けたい!という、理性抜きの熱い気持ち、みたいなものが、もっともっと入っていてもよかったんじゃないか、と。
  夢:・・・・・・・・
  翔:・・・・難しいことを要求し過ぎてる?
  夢:・・・・いや・・・・確かに、言いたいことはとても良く分かるんだけど、それを、あの場面で田辺さんに要求するのは、ちょっと酷(こく)なんじゃないかなぁ。 翔も言ってたように、演じる以前の段階で、描き切れていなかったもの、っていうのが、たくさんあったような気がするし。
  翔:そうかなぁ・・・うーん・・・・
  夢:(笑)
  翔:ん?
  夢:いや、いつもの翔なら、「そんなことはない。出来ないのは、田辺さんの責任だ」とか、きっぱり言うのに、今回、突っ込みがソフトだな、と思って。(笑)
  翔:(笑)・・・自分でも、そこまで要求するのは酷だと思っている、ということなのかな・・・・  

以下は、BBSに載せた『恋人はスナイパー・2』の感想です。
う~~ん・・・  投稿日:2002年12月28日(土)
恋人はスナイパー2』やっと観ました。

う~~ん・・・船木さんは好きな役なんですが・・・
表情とか眼のうつろいとか、うまいなぁ、と惚れ直しもしたんですが・・・・
演じてる田辺さんに‘かすかな戸惑い’を感じたのは、
例によって、私の思い込みによるものなのかもしれません。

きなこ(水野美紀)と王(内村光良)のつながりは、
普通の男と女の恋愛、というのと、ちょっと違うと思うんですよ。
王が抱えてる痛みにきなこが共鳴(恋愛、というのでなく)したのは、
王が組織をはみ出したように、きなこも組織に入り切れない何かを抱えてるから、
という気がするんです。

で、そういうきなこと婚約しようとした船木は、
自分では絶対にきなこの‘そういう部分’を埋めることが出来ないと知っている。
それでも、彼女を包むように愛そうとしている。
そういう、ただ嬉しいだけでない、ちょっと複雑な「婚約者」としての顔を、
ものすごくうまく表現していると思う。

でも、そういう複雑な感情を抱いている船木が、
いざ事件が起こった時に、きなこに対して、どういう距離を取ればいいのか、
「上司」として、「婚約者」として、
どういうバランスで感情を顕(あら)わにすればいいのか、という部分で、
田辺さんに、かすかな戸惑いが感じられるような気がしたんです・・が・・・・
うーん、違うかなぁ・・読み違えてるかもしれないし・・・・

うまく言えないのがもどかしいです。
きっと、こんなこと考えてるの、また、私だけだと思うんだけど。

この作品に関しては、今、いろんな想いがグルグル巡ってて、
このまま一気に作品トークに傾(なだ)れ込みたい! みたいな気分です。(笑)

あいかわらず、言葉足らずですみません。

いろいろ・・  投稿日:2004年4月 7日(水)
映画公開前に、なんとか『恋スナ2』のトークをまとめて置きたい、と思って、
先日、ビデオを観直して、その時は気づかなかったのですが、
昨夜、改めて 1 と 2 の船木さん登場シーンを続けて観たら、
田辺さん、格段にうまくなっていて、感激してしまいました。
どう言えばいいだろう・・・しなやかになった・・? まろやかになった・・?
その辺、トークでしっかりお話出来ればよいのですが。