『CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班』感想

『CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班』感想

とても意欲的に作られた作品だと思うし、
作り手の意図というものもある程度伝わっては来たのですが、
回ごとにばらつきがあって、
全話すべて手放しで面白いと思えなかったのがもどかしかったです。
すごくもったいなかったなぁ、という感じ。

肉体を駆使したアクションは
もっとたっぷり見せて欲しい、と思えるくらい
とても見ごたえがあって良かったのですが、
物語の内容としては、回ごとに対峙する相手が変わるせいか、
その相手の怖さがしっかり描き切れていないことが多く、
ラストに向けて特捜班のメンバーが徐々に‘何か’に追い詰められて行く
その緊迫感みたいなものが
こちらにストレートにぶつかって来なかったように感じられたのが、
何とも惜しまれました。

グループとしてはとてもいい顔ぶれだったし、
それぞれの関係性や ポジショニングも良かった。
だからこそ、一人一人の個性をもっと魅力的に見せることも
出来たんじゃないかと思うけれど、
そのあたりが少し消化不良に感じられたのも残念でした。
それぞれが抱える陰影に もうちょっと説得力が欲しかったです。

メンバーの中では、新木優子さんの役がとても新鮮に感じました。
あと、小栗旬さんは陰影の中に自然な可笑しみみたいなものがあって、
それを観るだけでも満足感がありました。
(BORDER2がとても楽しみ)

何となく現実味のない話が多かったので、
こちらとしても事件やその背景に入り込むことが出来ない
ことも多かったのだけれども、
私としては、「平成維新軍」の話と最終回が面白かったです。
最終回は、総理の一言で急に「国家」というものが浮かび上がって来て、
ただ自分の身内への盾として彼らを使ったわけではないところが、
初回とはまったく意味合いが違っていたし、
突き詰めれば、総理もまた彼らと同様に
国家のためのひとつのコマでしかないんじゃないか、
ということに(自分の妄想に過ぎないのですが)思い当たって、
最後に うわ〜っと心の中で勝手に盛り上がってしまいました。

鍛冶(長塚京三)の考えていることが最後まではっきりしなかったのは、
ただ私の読みが浅かったせいなのか、
はたまた今後に含みを持たせたものなのか、
気になるところです。

主題歌がすごくかっこよかったです。


『 CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班 』     
原案・脚本:金城一紀 演出:鈴木浩介 / 白木啓一郎関西テレビ
音楽:澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO 主題歌:Beverly「I need your love」(avex trax
プロデューサー:萩原崇 製作総指揮:笠置高弘(CP)制作局:カンテレ
出演:小栗旬 西島秀俊 田中哲司 野間口徹 新木優子 長塚京三 他
公式サイト