『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第3話)感想

『三代目明智小五郎〜今日も明智が殺される〜』(第3話)感想
今回は、「ライアーゲーム」で「ヤマトナデシコ七変化」で
きみはペット」な『三代目明智小五郎』でした・・
なんてことを考えてるのは、また私だけかもしれないんだけどw。


だって・・ねぇ・・
「禁断の果実ゲーム」なんてカードを田辺さんが見てたら、
そりゃ「ライアーゲーム」への招待状みたいだと思っちゃうでしょう。
大政絢さん演じる梅子は、まるで「ヤマナデ」のスナコみたいなキャラだし、
早川さん(全身整形した梅子)に接する中五郎くんが、
ほんとにやさしくて、天然で、ちょっと甘酸っぱくて、
きみはペット」(ドラマ)の蓮實とかぶってしまったし。


・・・・うはは〜・・ゴホン・・話を戻しますw。


脚本家が変わったせいか、ゲストのキャラの違いか・・
たぶんその両方だと思うんですが、
全体的なテイストが、前2回とはかなり違ってました。
お笑い部分はせいぜい小さなネタどまりで、本筋には影響なく、
思い切った遊びやおふざけのない、結構オーソドックスな作り、というか、
きれいにまとまってた、というか。


で、殺人(未遂)者の心情としては、
今回が一番伝わりやすく描けていたように思います。
土台が「明智」だけに、やり方が猟奇じみてはいたけれど、
梅子に共感出来るところもあったし。
そのあたり、殺す相手が誰でも良かった前2作とは違って、
殺されるのは中五郎でなければならなかった、という必然性があったから、
と言えるかもしれませんが。


その分、「お笑い」と「殺人」という相反するものを強引にくっつけてしまう
このドラマ特有の、いい意味でのばかばかしいほどの思いっきりのよさ、
みたいなものは、薄れてしまったかもしれません。


でも、このテイストもまた、私は面白かったです。
こういう「純愛路線」みたいなものも、中五郎には似合っちゃうんだね〜、
あんなに情けなくて、仕事なくて、ボ〜ッとしてるのに!w


・・いや、演じてるのが田辺さんだから、
こういうのが似合うのは、当然ちゃあ当然なんだけれども。
このドラマの中で、そういう田辺誠一が観られるとは思っていなかったので
(ずっと お笑い路線で行くものだとばかり・・w)
何だかきゅんと胸に来るものがありました。
女はいくつになっても、
こういうロマンチックなものが好きなんだよなぁ、やっぱり。
まぁ、優しすぎ、可愛すぎ、いい人すぎて、
毒気がない、陰影がない、男としての色気がない、
って気がしないでもなかったですが。
(ミもフタもない言い方でごめんw)
ピンクっぽい照明に、タイタニックもどきのBGM、なんてお遊びも、
楽しかったです。(スタッフの皆さん、いい仕事してますね〜)


次回(AKB48大島優子さんがゲスト)も、
同じデービスさんが脚本、ということで、
田辺誠一vsきれいな(かわいい)女の子、という図式が、
今回とどう違えて描かれるのか、楽しみにしたいと思います。



大政絢さん。
ヤマトナデシコ七変化」のスナコの時も思ったんだけど、
今どきの目のぱっちりした可愛い女優さん、っていうんじゃなく、
日本人形のようなヒンヤリ感のある、独特の雰囲気を持っている人。
自分をそっくり他人に作り変えてまで明智くんのそばにいたかった、
というとんでもなく深い想いが、妙に その佇(たたず)まいに合っていて
わずか30分の中で、梅子の哀しさがちゃんと伝わって来ました。


小池里奈さんは、
このドラマにどんどん溶け込んでる感じがします。
基本、田辺さんは、主役としてドーンと前に出て行くタイプではないし、
小林少女と中五郎の関係性から言っても、
彼女が引っ張って行くぐらいで丁度いいんじゃないかと思います。


あと、今回は鎖を噛み切る田中要次さんが良かったですw。
ただ周辺をウロウロする刑事、ってだけじゃもったいないですもん、
やっと存在感発揮!って感じでしたね。


田辺誠一さん。
こんなふうに、まったく陰影がなくて、
芝居っ気なく 純粋に初恋の頃の自分に戻ってドキドキしてる姿って、
今まであんまり観た事がなかったので、何だか新鮮だったし、
今回は特に、中五郎が、田辺さん本人と被って見えて、
高校時代のエピソードなど、
実話を基にしたんじゃないか、と思えるほどでしたw。

まぁ、もちろんそんなことはないんだろうけど、
このドラマを観ていると、なんとなく、
俳優として役を演じている田辺誠一、というより、
実際の素の田辺さんを見せられているような気分になってしまって、
どことなくツイッター@tanabe1969に近い匂いがするような気もして。


それは、確かに とても興味深いことではあるし、
そういう「自分そのもの」のようなドラマを与えてもらえる、作って行ける
しかもそれが、こんなにゆる〜い面白さを持つドラマになる、って、
ファンとして楽しい嬉しい誇らしい気持ちもあるには違いないんだけど・・

その一方で、演じることで役の上に重ねられる「深み」
みたいなものがあまり感じられなくて、
ちょっぴり物足りなくも思ったりするんですよね〜。
まぁ、そのあたり、今のところあえてこのくらい浅いところでセーブしている
って感じもするんですけど・・本当のところはどうでしょうか。


3話まで観て、ドラマ全体として好きなのは、
事件を通して、明智中五郎がどんな人間なのか、というのが、
少しずつ炙り出されて来ているところ。
こんなふうに丁寧に描いてもらえるって、なかなかないので。
(そのあたり、ワキの立場にいる役が多く、
十分に納得出来るキャラを作らせてもらえないことも多々あった人だけに、
ファンとしては感無量のものがあります・・)


で、それは怪人二十面相も同じで。
彼の正体が、少しずつ小出しにされて来て、
だんだん輪郭が見え、人となりが読めて来てるのが、
ワクワク感があって楽しいです。

演じている人が片桐仁さんだけに、そして相手が田辺さんだけに、
ただの敵対関係ではない、
今まで映像化・舞台化された明智vs怪人とは違った、
おかしくて、哀しくて、新しい形の関係性が見えて来るのでは・・と、
そのあたりへの期待が、どんどん膨らんでいます。