名探偵コナンドラマSP『工藤新一の復活!黒の組織との対決』感想

名探偵コナンドラマSP                                工藤新一の復活!黒の組織との対決』感想
小栗旬くんが工藤新一を演じるコナン実写シリーズ第2弾です。
いや、これ面白かったです〜!
何と言っても、今回、
野志保(=灰原哀はいばらあい)が登場したことが大きい。
彼女が工藤に絡むことによって、
名探偵コナン』の根底に流れる最も切ない部分が浮き彫りになり、
切ないドラマ大好き人間である私としては、
とても面白く観ることが出来ました。


それにしても、コナンの設定というのは、うまく出来ているなぁ、
と改めて思う。
黒の組織の秘密を知ったために殺されかけ、
その時に飲まされた薬のせいで小学1年生の身体になってしまった新一、
組織に加担させられ、そこから逃れるために同じ薬を飲んだ志保、
ふたりを追う黒の組織のジンたち、
何も知らず、新一の帰りを待つ毛利蘭、
彼女のすぐ傍にいながら、自分の正体を明かせないコナン(=新一)・・・

まぁ、荒唐無稽と言えばその通りで、
マンガやアニメならともかく、実写にするにはどうだろう、
という不安もあったし、
実際、前回は、あまりにもマンガのビジュアルに近づけようとし過ぎて、
無理があったキャラもあったのだけど、
今回は、原作の絶妙な設定を生かしつつ、人気のアニメの力も借りて、
それほどの違和感もなく実写化出来ていたことに、
正直びっくりしました。


小学生のコナンや哀の声を、おなじみのアニメのメンバーが吹き替えたり
アニメと同じ場面を取り入れることで、
実写をアニメにうまく溶け込ませたり、と、
一種のコラボレーションのような味わいになっていたことも、
アニメのファンでもある私としては、嬉しかったです。


さて、工藤新一役の小栗旬くん。
うーん、この人の役の捉え方、というのは、
どうしていつも押し付けがましい感じがしないんだろう。
小栗旬が演じている、には間違いないんだけれど、
小栗旬自身が前面に出ているのではなく、
あくまで、彼が作り上げた工藤新一というキャラの印象の方が
強いんですよね。
それは、キャラ自体が魅力的だから、ということも
あるかもしれないけれど、
小栗くんの演じ方が、どこか俯瞰(ふかん)的で、
冷静な視線で役を見ているから、という気が、私にはするのですが、
本当のところはどうなのでしょうか。


野志保を演じた香椎由宇さん。
これも、思った以上のはまり役で、
灰原哀ファンの私としては嬉しかった。(笑)
この役が嘘っぽいと、ドラマ自体が成り立たなかった、
新一と同じくらい重要な役だったと思うのですが、
香椎さんのミステリアスな部分がうまく出ていて、
とても良かったと思います。


黒の組織に追われる志保、彼女を守ろうとする新一、
そのふたりの親密さに、やきもちを焼いてしまう蘭(黒川智花)―――
この3人の関係がとても良く書けていて、
まぁ よくあるパターン、お決まりの流れ、ではあるのだけれど、
エレベーターに隠れようとした新一の指先だけを見て
彼と判断出来るほど、蘭は新一が好きなんだなぁ、とか、
蘭に危険を及ぼさないために、
秘密を守り通さなければならない新一の苦悩、みたいなシーンを
見せられると、ついつい感情移入してしまうわけで。(笑)

推理ドラマとしては、
残念ながら、取り立てて目新しくもなく、
文句なく面白い、と言い切ることは出来なかったのだけれども、
新一と志穂と蘭の、それぞれを想う気持ちの切なさに、
おおいに酔い、楽しんだ2時間でありました。


最後に、ジン役を引き受けてくれた佐々木蔵之介さんに拍手。


余談。
「ばーろー」(ばかやろう)は、
小栗くんより高山みなみさんの方が好きだ。(笑)
好きな人の傍にいながら、正体を打ち明けられない・・って、
コナンはまるで速水真澄のようね、と思った、
ガラスの仮面ファンの私。(笑)