『最後のレストラン』(第8話〔最終回〕/坂本龍馬)感想

最後のレストラン』(第8話〔最終回〕/坂本龍馬)感想 

最後に来て、締まった内容になったように思います。
好みの問題かもしれませんが、
私は、今回や前回(楊貴妃)、あるいは5話(アントワネット)あたりの、
ヘブンズドアの面々(特に園場)が
あまりおちゃらけた笑いを入れ込まない回のほうが好きでした。

いや、絶対にお笑いがダメ、アホやっちゃいけない、というわけではなくて、
たとえばこれが『デカ☆黒川鈴木』みたいなドラマなら、
全編 脱力系のアホな笑いで通すというのも十分にアリだと私は思うので、
あの時、白石という役をあんなふうに演じた田辺さんに対しては
納得行ったんですけどね、好き嫌いは別として。

でも、このドラマは30分しか時間がなく、
お笑い場面が ただ一瞬のものだったり苦笑にしかならなかったりで、
コメディとして練り上げられていないことが多く、
  (途中までは お笑い部分が 徐々に こなれて来るんじゃないか、
  という期待があったのですが、なかなか難しかったみたいですね)
特に、園場にそういう未消化な笑いを入れられてしまうと、
後半、このドラマの肝となる、
死を目前とした偉人たちに園場がふるまう料理の意味、というものが、
どうしてもすんなり受け入れられないことが多くなってしまって、
私としては それがすごく残念でした。

原作ありのドラマは、
基本的に原作を読まないことにしているので、
このドラマのお笑い部分が
原作にどれだけ近づいていたかは分かりませんが、
中途半端に笑いを取ろうとしないで、もうちょっと落ち着いて、
自然な笑いの中で物語が展開していたら、
観る側としても もっとすんなり入って行けたように思うし、
登場人物たちも そのほうがもっと
各々の魅力が伝わりやすかったんじゃないか、という気がしました。
改めてドラマ全体を振り返ってみて、
最初から今回のようなテイストで行った方が良かったんじゃないか、
と (あくまで私個人としての感想ですが) そんなふうに思いました。

でも、最終回となる今回は、なるほどなぁ、という内容で、
「なぜ偉人たちはこの店に来るようになったのか」という基本的なところを
ちゃんと納得させてもらえたのは良かったです。
千恵ちゃんの涙には、観ているこちらとしてもグッと来るものがありました。
ここに残りたいなら自分が作ったこのケーキ以上のものを作ってみろ、
という園場の、毅然とした一言にも、惹かれました。
千恵をもとの世界に戻すために、
園場は面津とともに、自分たちが持っている力をフルに出し切って
あのケーキを作った、だから千恵は心を満たすことが出来た、
もとの世界に戻る勇気を得ることが出来たのですよね。

その時の千恵と周囲の人たち、
特に園場との距離感が私にはすごく心地良かった。
この空気感が、最初から出来上がっていたら‥と、
またつい愚痴が出てしまうのですが(苦笑)
終盤になってようやく、ではあっても、それが味わえたのは嬉しかったです。

(無理な笑いが入らなくなった)前回あたりから、
ようやく私の中で、田辺さんと園場が無理なく繋がるようになり、
人間・園場としての魅力が、薄っぺらなものでなく
感じられるようになって来た‥
そして、またここに戻って来たい と千恵が自然にそう思えるような、
素敵な雰囲気が醸し出されていたように感じられた‥ のですが‥
ファンとしての贔屓目が多分に入っているでしょうか。w


最後のレストラン     
放送日時:2016年4月26日 - 毎週火曜 23:15 - (NHKBSプレミアム)
原作:藤栄道彦最後のレストラン」 脚本:高山直也 谷岡由紀 演出:近藤俊明 音楽:辻陽
制作統括:磯智明(NHKコンテンツ開発センター)、櫻井美恵子(国際放映
制作:NHK 国際放映
キャスト:田辺誠一 木南晴夏 鈴木浩介 石黒英雄 福田麻由子 神保悟志
トリンドル玲奈 大和田獏 
池内万作(ゲスト) 他
公式サイト