今さら『探偵が早すぎるSP』感想

昨年(2019)12月12・19日、24:09から2週連続で読売テレビ日本テレビ)系で放送されたドラマ。今さらながらの感想です。

いや~楽しかったですね、前年7‐9月深夜に放送された連続ドラマの方は観ていないのですが、うわさ通り、千曲川滝藤賢一)+一華(広瀬アリス)+橋田(水野美紀)トリオの破壊力が半端なかったです。
コメディのサジ加減というのはなかなか難しくて、無理矢理笑わせようとすると逆に痛々しく感じて 観るのが切なくなってしまうことも多いのですが、このドラマに関しては、スタッフにしてもキャストにしても「笑い」を作り込み過ぎることなくユル~く遊んでいる感じが伝わって来て、観ている側も心地よくユルユル~な気持ちで楽しむことが出来ました。この良い意味での「自由な遊び感覚」みたいなものは、深夜ドラマの空気感と相性がいい気がします。

何と言っても広瀬さんのコメディエンヌとしての資質の高さは特筆もの。W主演の滝藤さんは、本当にどんな役もこなせる人で、コメディでも何でも役つくりの的確さ・安定感には定評がある人なので、広瀬さんがどんなに突っ走ってもしっかり受け止めて、時には倍返しする余裕さえあるのがすごいと思いました。(時々アドリブ合戦みたいになるのが楽しかったw)
その(ある意味やりたい放題の)二人を後ろからユル~く支えているのが水野さんで、この人演じる橋田の真面目さが程良いブレーキ(暴走気味の一華と千曲川の安全装置)になっていたように思います。(出来れば水野さんの切れのいいアクションがもうちょっと観たかったけど‥)
本編で練り上げられたトリオの魅力が、SPでも揺るぎなく継承出来ていた、ということなんでしょうね。

さて、そんな出来上がった空気感の中に「特別出演」の田辺誠一さん。
マジシャン@田辺というと『キレイ~神様と待ち合わせした女』を思い出しますが、全体の色味としては『ライアーゲーム』に近い感じがしました。
そう、ゲーム‥なんですよね。女の子(麗華)か一華かどちらかの命を奪う、というのもゲームの範疇(はんちゅう)。奇術師である桝田(田辺誠一)は、殺意に繋がるような憎しみとか恨みとかを二人に対して抱いているわけではなく、純粋に千曲川と勝負したかっただけなので、観る側としても桝田に嫌な思いを抱かなくて済んだし、何と言っても「誰も死なない!事件を起こさせない!犯罪防御率100%!」の千曲川が付いてるなら、彼女たちのどちらかが命を落としたり大怪我したり、というシリアスな展開には絶対にならない、というのがお約束でもあったので(そのあたりの笑いの中のシリアスのバランスがけっこう大事だった気がする)安心して コメディとして割り切って観ていられた気がします。

田辺さんとしては、絶対に「あっち(トリオ)側」に行きたかったと思うんだけどな~。で、一緒に遊びたくて何かやろうとしていたのも感じられたのですが、見事にカット(フレーム外)w。後編は特にトリオのおふざけもほどほどに抑えられていて案外真面目な話の流れになっていたこともあり、田辺さんも遊びようがなかった気がします。
でも、ま、今回のところは、桝田の立場としては、それで正解だったんじゃないでしょうか。マジシャン・桝田があまり遊びに走らないことで、逆に千曲川たちが思いっきり遊べていたように思うので。

桝田の最後の表情、かすかに微笑むところが良かったなぁ、余韻があって。
千曲川も桝田も お互いに対して「相手にとって不足なし」と感じていたように思うので、また機会があったら出演可能‥なんじゃない?
で、その時はもうちょっと遊んでもいい‥んじゃない?w


『探偵が早すぎるSP』    
放送:2019年12月12月12・19日 24:09-読売テレビ日本テレビ)系
原作:井上真偽『探偵が早すぎる』 脚本:宇田学 監督:瑠東東一郎
音楽:イケガミキヨシ 主題歌:edda「フラワーステップ」
チーフプロデューサー:前西和成 プロデューサー:中山喬詞 河野美里(ホリプロ
制作協力:ホリプロ 制作著作:読売テレビ
出演:滝藤賢一  広瀬アリス  水野美紀
大和田伸也  矢野聖人 小林涼子 野澤しおり 田辺誠一(特別出演)他
公式サイト