『最後のレストラン』(第4話/土方歳三)感想

最後のレストラン』(第4話/土方歳三)感想 

園場の「生きるとはどういうことか」という話がなかなか深くて、
聞き入ってしまいました。
「生きるって、つらくても自分の役目を果たすことなんじゃないか。
このホタルイカはもう光を放てない、姿かたちもない、
でもこの料理の中でしっかりと味を残して、食べた人の血となり肉となる、
ちゃんと最後の役目を果たしている」
と言う園場(田辺誠一)に、
「たとえ死んでも、その者の想いを継ぐ者がいる限り
その死は無駄にならない、ということか」
と悟る土方(松田悟志)。
「継いでくれる人がいるって嬉しいじゃないですか」
という園場の言葉は、そのまま今の彼の立場にも被(かぶ)る。

前回、なぜか戻って来てしまったジャンヌダルクトリンドル玲奈)が、
園場を「神様」と崇拝し続けている、
その「自分へのまっすぐな想い」を受け取ることで、
彼の内にある卑屈さや気弱さが緩やかに溶けて行く‥
土方やジャンヌだけじゃない、クレオパトラや信長も同じ、
歴史上の人々との出逢いから、いろんなものを感じ受け止めることで、
園場は少しずつ大切なものを掴みつつあるように思えます。

コメディ部分に関しては、
面津(鈴木浩介)の存在がますます大きくなって来たように思われました。
なんだろう、園場みたいに不安定に浮いてないんですよね。
で、シリアスなところでもしっかり支えてくれているので、
観ていてものすごく安心感がある。
天然(石黒英雄)の頭をバシッと叩いたところなど本気モードで、
ほんとに「根は優しくていい人」な空気感があって、
でも 残念ながら料理の腕だけは二流(そこだけ園場に負けてるw)、
という人物の骨格みたいなものが揺るぎないから、
安心して観ていられるのかもしれない。
浩介さん、さすがです。

石黒くんも、今回 陰影が出て、魅力的になりました。
この人も笑いとシリアスとをうまく使い分け出来ているから、
ふざけたことしても、観ていて素直に笑える気がします。

結局、(お笑い部分で)一番不安定なのは、園場なんだよねw。
一応主役なのにそれでいいのか?とも思うけど、
たぶんそれでいいんでしょうね、田辺さんの場合は。

浩介さんが面津という役を抑え気味に演じてくれていることで、
田辺さんがフワ〜ンとしてても大丈夫、というか、
宙に浮いてるのが自然というか、
むしろ、あえてつっこまれる立場にいるその不安定感が、
この人独特のお笑いへのアプローチの仕方と言えるんじゃないか‥
そういう見方をすると、
コント場面では、鈴木・石黒・田辺という3人の
いい意味でコントラストが出来上がって来つつあるように、
私には感じられました。

4話が終わって、ドラマも折り返し。
あと4話、過去の偉人たちが園場に何を残してくれるのか、
園場、面津、天然トリオが そこにどんなコントをかぶせて来るのか、
(出来れば すべらない方向でよろしくお願いto園場w)
過度に期待し過ぎずw気軽に楽しみたいと思います。


最後のレストラン     
放送日時:2016年4月26日 - 毎週火曜 23:15 - (NHKBSプレミアム)
原作:藤栄道彦最後のレストラン」 脚本:高山直也 演出:近藤俊明 音楽:辻陽
制作統括:磯智明(NHKコンテンツ開発センター)、櫻井美恵子(国際放映
制作:NHK 国際放映
キャスト:田辺誠一 木南晴夏 鈴木浩介 石黒英雄 福田麻由子 トリンドル玲奈 大和田獏 
松田悟志(ゲスト) 他
公式サイト