『夫のカノジョ』感想まとめ

夫のカノジョ』感想まとめ

夫のカノジョ DVD-BOX
4月にDVD-BOXが発売になりました。感想をまとめておきます。

夫のカノジョ
放送日時:2013年10月24日(木)21:00-(TBS系)
脚本:江頭美智留 横田理恵/演出:二宮崇 三木康一郎 塚本連平
原作:垣谷美雨夫のカノジョ
編成:加藤新/プロデュース:井上竜太ホリプロ
キャスト:川口春奈 鈴木砂羽鈴木福 古川雄輝 大友花恋
柳沢慎吾 山村紅葉渡辺えり片平なぎさ田辺誠一 他 

『夫のカノジョ』公式サイト


夫のカノジョ』(第1話)感想

最初から最後まで物語が緩(ゆる)むことなくスピーディに進み、
あれよあれよという間に終わってしまいました。
二人の身体が入れ替わる、というとんでもない展開も、
最終的に(クリスマスには)元に戻る、ということが約束されているので、
安心して観ていられたし、
コメディとして、もともとシチュエーションの妙味がある上に、
俳優さんたちがドラマの世界観に無理なく溶け込んでいるので、
無理矢理 笑わせられているような痛々しさもなく、
笑いの中に、伝えたいことを分かりやすく噛み砕いて入れ込む等、
ドラマとして あきさせない、うまい作りにもなっていて、面白かったです。
物語を構成する骨組みがしっかり出来ているように思いました。


まず、主人公の二人が魅力的でした。
夫の浮気を心配する妄想癖のある菱子に鈴木砂羽さん。
その夫が勤める会社の派遣OL星見に川口春奈さん。
性格から何からまったく正反対の二人を演じ分ける、というのは、
なかなか大変なんじゃないかと思うのですが、
二人ともオーバーアクトになることなく素直に演じていて、
その空気が伝わって来たせいか、
こちらとしても、肩の力を抜いて楽しく観ることが出来ました。


菱子と星見と周囲の人たちの、3ヶ月限定の成長物語、
というコンセプトがしっかり見えているということは、
二人が入れ替わることによって、さまざまな困難を切り拓いて行く、
そうするうちに 、自分にとって大切なものが見えて来る、
最後には元の身体に戻ってめでたしめでたし・・
といった、これからの進路や辿り着く先が ある程度予想出来るわけで、
観る側としては、
登場人物の心の中を深く掘り下げて読む必要がないので、
(そのあたりは「半沢直樹」に通じるような気もしますが)
単純明快・勧善懲悪なストーリーに素直に乗っかってしまえば、
ドタバタな展開になっても、彼女たちを愛せそうな気がするし、
今後、彼女たちや周囲がどう変わって行くのか、
余裕を持って楽しんで観続けられるんじゃないか、と思いました。


田辺誠一さん。
菱子(鈴木砂羽)の夫で、星見(川口春奈)の上司でもある麦太郎。
ほとんど添え物扱いだった前回(山内弘高@斉藤さん2)に比べると、
今回は、コメディではあっても、彼独特の‘軽さ’だけでは演じきれない
なかなか重要な役になりそうな予感がします。
星見(中身は菱子)に徐々に惹かれて行ったりしないだろうか・・
菱子(中身は星見)に違和感を持ち始めたりしないだろうか・・
心が入れ替わった菱子や星見と接することによって、
麦太郎自身はどう変化して行くんだろうか・・
その折々の素直な感情を、田辺さんはどう演じてくれるのか・・
それもまた、楽しみにしたいと思います。

脚本:江頭美智留 演出:二宮崇



夫のカノジョ』(第2話)感想

今回も、あっという間に終わってしまいました。
面白かったですが、凄くテンポが速いので、
正直、50過ぎのおばさん(私)は追いかけるのがやっと。w
もう少し 全体の流れに緩急をつけてくれると、
さらに余裕を持って物語に入り込めるんじゃないかと思うのですが、
まぁ、ありえない設定に観る側を引き込むために、
あえてスピーディな展開にしている、とも思えるし、
そのリズム感がいい、とも言えるわけで。
これから徐々に落ち着いた場面も出て来るかもしれないので、
それを待ってみたいと思います。


それと、音楽(BGM)が、私にはちょっと気になりました。
いや、曲自体はとても魅力的なんですが、
あまりにも頻繁に使い過ぎるし、音が大き過ぎるように思うし、
セリフに被(かぶ)ってしまうことも多いので、
時々うっとおしく感じられるのが、なんとも もったいない。
もう少し、使うシーンを絞り込んで欲しいと思いました。


前回、「シチュエーションの妙味」と書きましたが、
それは今回も活(い)きていました。
身体が入れ替わる、というのは、決して目新しい話ではないのですが、
同級生の男女、とか、父親と娘、とか、ではなく、
同性の、しかも夫の(不倫相手と妻が誤解している)部下と
その妻の身体が入れ替わる、というシチュエーションにしたことで、
他の入れ替わり作品同様「ありえない話」ではありながらも、
チェンジしたことで二人が‘経験’して得るものが、より現実味を帯びた、
観る者が共感出来るようなものになっている気がします。


星見(川口春奈)は、菱子の専業主婦としての柵(しがらみ)をぶちこわし、
菱子(鈴木砂羽)は、自分の経験値を生かして
星見を OLとしても女性としても一人前にして行く・・
長所が相手の短所を補って、お互いが魅力的な女性になって行く・・
そのステップがそれぞれの場で見え始めたことが、興味深かったです。


そんな彼女たちの妨げとなる人たち・・
たとえば、商品開発部・杉下(石倉三郎)にしても、
PTA会長・相川千代乃(山村紅葉)にしても、
根はいい人、という雰囲気が感じられて、なかなかの好印象。


杉下は、星見(中身は菱子)に
開発部としてのメンツをつぶされたはずなのに、
相手のいいところはちゃんと認めているし、
星見の料理のアイデアをそのままそっくり貰っちゃおうというほど、
ずるくもないし、適当に仕事をしているわけでもない、
コメディとはいえ、ちゃんとした大人の部分がある。


相川は、なかなかやっかいな相手ではあるけれど、
どこかチャーミングなところがあって、憎めない。
トラブルメーカーには違いないけれど、
こういうメリハリのはっきりしたドラマ(特にコメディ)には、
彼女のような、単純明快なヒール(悪役)が必要なのかな、とも思います。


田辺誠一さん。
たとえば、実(11人いる!)とか、白石(デカ☆黒川鈴木)とか、
弘高(斉藤さん2)とか、と同じように、
完全にコメディ仕様の演技になってしまうのかな、と思ったら、
そこまで浮きっぱなしの感じはなく、少しだけ重みを加えてあって、
そこが興味深かったです。
もう少しシリアスの色味を足してくれると、
もっともっと役に深みが出るような気がしますが、
田辺さんにしてみれば、そのあたりは全体の調和を鑑(かんが)みて・・
ということなのかもしれません。


二人のチェンジに気づかない麦太郎は鈍感、という
第1話の感想も散見しましたが、
そもそも誰かの身体がチェンジするなんてありえない話ですからね〜
多少性格が変わっても、外見が菱子であれば愛し続ける(らしい)、
一方、中身が菱子の星見にも惚れてしまう(らしい)、
・・とすれば、結局どっちに転んでも菱子を愛してるには違いないわけで、
菱子への愛が揺るがないムギムギ、なかなかいい男じゃないか、
なんて、私なんかは思い始めているわけですが。w


さて、菱子が いつ そのこと(麦太郎の揺るぎない愛)に気づくのか、
そこに至るまで、麦太郎の「外見が星見で内面が菱子」への想いが、
どのように表現されるのか・・
まずは脚本、頭なでなでぐらいじゃ満足出来ない田辺ファンの
溜飲を下げるようなシーンをどうかプリーズ、江頭さん。


   余計なことですが、田辺さん、顔がちょっと赤いのが気になりました。
   風邪でも引いてたんでしょうか。


脚本:江頭美智留 演出:二宮崇



夫のカノジョ』(第3話)感想

今回一番好きだったシーンは、
帰りのバスの中、取り巻き母親たちとPTA会長・相川(山村紅葉)が、
お互いにちょっと気まずくてギクシャクしつつも、
それとな〜く、またいつものポジションに戻って行くところ。
結局、彼女たち誰も(相川を含め)が、悪意を持っていない、
愛すべき人たちだったことが伝わって来て、
さりげないシーンだったんだけど、何だかとても「いいなぁ」と思ったし、
その様子を見ていた菱子(中身は星見/鈴木砂羽)の、
ホッとしたような微笑にも、ほっこりさせられました。


一方、星見(中身は菱子/川口春奈)のことが
何だか気になる麦太郎(田辺誠一)。
前回「中身が菱子の星見にも惚れてしまう(らしい)」と書きましたが、
今回、星見の頭をポンポンしている麦太郎を観ていて、
ひょっとしたら、それは、恋愛感情じゃなくて、
家族愛なんじゃないか、という気がして来ました。
つまり、麦太郎は、
星見のことを娘のように思って心配しているんじゃないか、と。
これから物語がどう進んで行くか分かりませんが、
今のところ、私には、そんなふうに感じられたりもして。


考えてみたら、麦太郎は、菱子と星見が入れ替わる前から、
菱子に対して、ひとりの女性としてではなく、
パートナー(妻であり子どもたちの母親でもある)としての
愛し方をしていたような気がします。


田辺さんの演じ方としては、
(中身は菱子である)星見を好きになってしまうのか、
娘のように思って接するだけなのか、どっちに展開しても大丈夫なように、
まだ麦太郎の感情にしっかりした芯を持たせていない感じですが、
それが これからどう変わって行くか・・
恋愛感情を抱いてしまうのか、娘のような感覚のままなのか、
そのあたりを田辺さんがどう演じてくれるのか・・
というあたりも、楽しみにしたいと思います。


脚本:横田理恵/演出:三木康一郎



夫のカノジョ』(第4話)感想

あいかわらず重さがなく、いい意味で切実な痛みがないので、
肩肘張らずに楽に観ていられます。
コメディで この軽さを持続するのは、けっこう大変だと思うのですが、
深刻にならないような設定と、俳優さんたちのリズム感が、
うまく作用しているように思います。
特に、鈴木砂羽さんは、
独特の軽み(かろみ)があり、中身は20歳という設定に違和感がなく、
サバサバした感じが 役に合って、とても魅力的。
(病院まで全力疾走、病室の前で息切らしてる姿に笑)
一方の川口春奈さんは、動きもあまりなく、発散することも出来ず、
すごく難しいことに挑戦しているのですが、
気持ちの作り方が自然なのか、
涙がぽろりとこぼれるシーンなどに惹かれるものがあります。


ただ、 「軽い面白さ」として見せるのも、長く続くと飽きて来るのも事実で、
確かに面白いけど、
夫の麦太郎が星見と浮気してる、という菱子の勘違いだけでは、
いつまでも物語を引っ張っては行けないだろう・・
と思ったら、今回でその誤解も解け、今後、ドラマは新展開に!
・・・・で、どうやら、誤解の輪が広がって行くらしい。w


そりゃ、あの状況(見つめ合う星見と麦太郎)を見たら、
実花(大友花恋)や石黒(古川雄輝)だって誤解するでしょうよ。
(見詰め合ってる時間長過ぎるしw)
まぁ、それは分かるとして、
予告を観ると、どうやら麦太郎まで菱子の浮気を疑ってしまうらしい。
え?なんで?と思ったら、
確かに、最近、菱子の様子がヘンですもんね。
一緒のベッドで寝てくれないわ、
病院に見舞いに来てもすぐ帰っちゃうわ、
しょっちゅう誰か(実は星見)と電話で話してるわ、
なのに自分が電話するとそっけないわ、
こりゃもしかして・・と勘違いしても仕方ない状況てんこもり。w
(外見は菱子でも中身は星見だからしょうがないんだけど)


お〜なるほど そう来たか。これはちょっと先が読めなくなって来たぞ。
・・いやいや、菱子を疑う前に、
あなたと星見の見つめ合うシーンは どういう意味があったのか、
来週ちゃんと説明して下さい、ムギさん。w


それにしても、麦太郎は本当にいい人。
星見(川口春奈)のいいところをちゃんと理解してくれている。
前回の、飲み会での、
部下ひとりひとりのいいところを名指しで褒めたことといい、
こんな上司なら、頑張れる要素たっぷり。
と思えば、ネガティブ思考の菱子(鈴木砂羽)を気遣う優しさもあり。
それをイヤミなく演じる田辺誠一さん、
何となく『奥さまは魔女』のダーリン(ディック・ヨークだ、懐かしい)
を彷彿としてしまう私は、古いでしょうか?w


脚本:江頭美智留/演出:三木康一郎



夫のカノジョ』(第5話)感想

いやー、なんだか今回が 今までで一番屈託なく笑った気がする。w
特に、石黒(古川雄輝)の妄想&勘違いには大受けしました。
古川くん、ようやく前に出て来た感じがします。


実花(大友花恋)の勘違いも可愛かった。
父親と星見(川口春奈)の あんな見つめ合いシーン見たら、
そりゃあ誤解しちゃいますよね。
それにしても、「いびきうるさいし、朝トイレ長いし、お風呂で寝ちゃうし」と、
ムギパパ(田辺誠一)、娘からさんざんな言われよう。w
でも、何だかそれって、思春期の女の子が抱きがちな感情だし、
田辺さんが そんなダメパパだということに 妙に説得力があったりもして、
(そのあたり『11人もいる!』のお父さん役の影響が大きいかも)
確かに実花ちゃんの言いたいことも分かる気がしたり、
でも、ムギパパだって かっこいいところもたくさんあるんだよ・・と、
実花ちゃんにちょっと反論したくもなったり。w


前回の、麦太郎の 星見に対する視線の意味・・
奥さんに似ている、と感じたためで、
そのことを星見に話し、それを聞いた星見(中身は菱子)が喜ぶ、
という、結果ラブラブな夫婦の会話に、ほっこり。
(この時の川口さんが可愛かった〜)


実花の誤解も解けたようだし、あと問題なのは石黒の妄想だけね・・
と思ったら、前回の予感が当たったみたいで、
菱子(鈴木砂羽)が浮気してるんじゃないか、と、
麦太郎が 誤解をしてしまった様子。
「菱子」と名前で呼ぶ、それは彼女を、パートナーとしてではなく、
一人の女性として見ている、ということ。
麦太郎の嫉妬・・
こういう「男」の部分が出て来ないままドラマが終わってしまうのか、
と、なかば諦めかけていただけに、ちょっと嬉しかった。


二人が入れ替わっていることを誰かに話したら元に戻れない、
という設定が、こうなると、非常に効いて来るわけで、
星見と石黒、菱子と麦太郎、双方の関係がややこしくなって、
ますます面白くなって行きそう・・
次回どう転がって行くのか、楽しみです。


脚本:横田理恵/演出:二宮崇



夫のカノジョ』(第6話)感想

パパとママのデートにこっそりついて行く真人くん(鈴木福)の変装が、
初回の菱子(鈴木砂羽)とそっくりで、
さすが親子だ!と思わず笑ってしまいました。
それにしても、真人、リュックの中にどれだけ変装グッズ入れてるんだ?w


「麦太郎(田辺誠一)のドスコイ大作戦」という感じの今回。
(【ド】=努力・【ス】=スキンシップ・【コ】=言葉・【イ】=いつも一緒)
その作戦を指南する部長(柳沢慎吾)とのやりとりも、
菱子にデートを申し込むところも、
やっと手を繋いで、照れながら喜ぶところも、
結婚記念日のプレゼントも、
不良グループにからまれて、啖呵(たんか)を切るところも、
緊張の糸が切れて へたりこんじゃうところも、
特別 女性あしらいがうまいわけでも、喧嘩が強いわけでもない、
ごく普通の夫であり、普通のおとうさんである、というところから
はみ出さない麦太郎で、かえって良かった。


部長と同じようにスキンシップするなんて、照れくさくて出来ない、
それでも、何とかしてやってみようとする・・
家族に危険が迫ったら、身体を張って護ろうとする・・
素直で、ちょっと不器用な麦太郎の、妻や子どもたちに対する愛情が、
等身大の範疇(はんちゅう)で、少しだけかっこよく描かれているから、
「あんな夫だったら・・おとうさんだったら・・いいなぁ」と、
視聴者に 引っ掛かりなく受け入れられているのかもしれない。
そりゃ、麦太郎(演じている田辺さんも含め)への好感度も
上がるというものです。w


子どもからお年寄りまで、家族全員で安心して観られる、ということが、
ドラマのコンセプトとしてあると思うのですが、
確かに、出て来る人たち全員悪意がないし、悪人もいないので、
(今回のチンピラたちにも悪役としての深みはない)
このまますんなりストーリーが進んでくれてもいいかな、なんて・・
石黒くん(古川雄輝)は帰国子女だから、きっと実家は○○で、
星見と△△になって、パティスリーフミコが□□になって・・なんて・・
何となく、残り2回の穏やかなストーリーを自分なりに空想していたのに。


なんと、来週は橋本じゅんさんと高岡早紀さんがゲストで登場するらしい。
うわー、ラスト2話にして強烈なカンフル剤投入、ってことですか!?
(どっちも好きだから嬉しいけどw)
楽しくて軽くて優しいコメディに、不穏な風が巻き起こるかのような予告。
はたして、二人の登場が功を奏するか否か、
「家族全員で安心して観られる」ドラマであり続けられるか否かw
次回を乞うご期待。


脚本:江頭美智留/演出:塚本連平



夫のカノジョ』(第7話)感想

うーん、今回はちょっと心が痛かったです。
橋本じゅんさん(麦太郎の同期で上司)と
高岡早紀さん(真人の学級に転校して来た子のおかあさん)という、
かなり強烈なキャラを二人同時に唐突に登場させたことで、
心地良い緩(ゆる)み加減だったドラマに、キュッと力(りき)みが入って、
観ていてちょっと不安定な気持ちになってしまった。


特に、新部長・立花については、
バックボーンが何も描かれない中で、ひたすら憎まれ役に徹しているので、
じゅんさんファンとしては、観ていてちょっと辛いものがあります。
立花の言動は、悪意からのものではないことを祈りたいですし、
最終回で、麦太郎(田辺誠一)と、
どんな形でもいいから、何らかの和解が出来て欲しいです。


今回新たに出て来たエピソードも含め、
あと1回でまとめ上げるのはかなり大変なんじゃないか、と思うのですが、
でも、逆に、どうオトシマエをつけてくれるんだろう?と、
何だかちょっと楽しみになって来たりもして。w
どんな(大人の)事情があるにしても、
ここまで築いて来た『夫のカノジョ』ワールドを崩すことなく、
スタッフの皆さん、キャストの皆さんが、
このドラマを楽しみに観続けて来た人たちが納得の行く結末を
用意してくれていることを期待しつつ、
最終回を待ちたいと思います。


ゲスト:橋本じゅん 高岡早紀/脚本:横田理恵/演出:二宮崇



夫のカノジョ』(第8話=最終回)感想

前回、立花(橋本じゅん)と間宮(高岡早紀)の登場で、
ちょっとヒリヒリした気分になってしまい、
あと1回でどういうふうに話をまとめるんだろう、と、不安になったのですが、
時間がない中、かなり はしょって足早になったところはあったにしても、
エピソードをほぼ落ちこぼれなくまとめた上に、
菱子と星見も なかなかいいタイミングで元に戻って、
すべて「めでたしめでたし」というところに収まって、良かったと思います。


真人(鈴木福)のいじめ問題、は、
「子どもを心配するあまり、親が先回りして問題を解決するんじゃなく、
何があっても お母さんはあなたの味方だから、安心して喧嘩しておいで、
って、そう言えればいいんじゃないですか」
という菱子(鈴木砂羽)の言葉で、すべてが収束。
このシーンは、とても大事なことを伝えていたように思います。


真人たちの思いやりを
自分の娘への いじめ としか捉えられなかった間宮は、
最後まで高飛車な女としてしか描かれないんじゃないかと思ったのですが、
自分が間違っていると思ったらちゃんと謝罪出来る人でよかったです。
高岡さんが落ち着いて演じていて、何だかホッとしました。


一方、大東製粉では・・
麦太郎(田辺誠一)と星見との不倫疑惑を強引にからませて、
麦太郎を大阪に転勤させようとする立花に、
星見(川口春奈)・石黒(古川雄輝)以下営業部全員が
「会社辞めます」発言。
いくら何でも軽率過ぎないか、とも思いましたが、
でも、その発言って、(星見以外の)営業部の人たちにとっては、
麦太郎にずっと自分の上司でいて欲しいから、というだけのことでは
ないのかもしれない。 
つまり、立花に対して反旗を翻(ひるがえ)した、ということなんじゃないか、と。
「あんたの下では働けない!」というシュプレヒコール、と言ったらいいか。


気まずい雰囲気の中 登場した久米部長(柳沢慎吾)の、
「売り上げを上げなきゃならないのは当然だ。
しかし、部下をうまくコントロールするのも上司の大事な仕事だろう。
おまえならそれが出来るよ」という一言が効きました。
何より、立花にもいいところがある、と認めているのがいい。
そうなんですよね、強面(こわもて)だし、一方的にガミガミ怒鳴るし、
どうしたって悪役タイプなんだけど、
彼の言っていることは、ある程度正論でもある。
仲良しこよしで楽しい職場、ってだけじゃ会社は成り立たない、
売り上げばかり重視して部下の気持ちを顧(かえり)みない立花も悪いけど、
業績を伸ばせない麦太郎にも問題はあるわけで。


そのあたり・・同期でもある二人の言動に もうちょっと時間をかけて、
ぶつかりあった上での成長を描いて欲しかった。
麦太郎と立花、それぞれが、相手のいいところを見出して、
自分の中に取り込んで行ったら、
最強の営業マンになれたのではないか、と・・
・・ああそうか、
いっそのこと、麦太郎と立花の身体が入れ替わってしまえばいいんだ。
ということで、『夫のジョウシ(上司)』というタイトルで、
入れ替わった二人の尽力で大東製粉が業界トップになるまでの
スピンオフドラマをぜひ!(爆)


・・いやいや、冗談はさておき。w
星見と母親・史子(片平なぎさ).の確執も解け、
喧嘩出来るまで二人の距離が縮まったのも微笑ましかったですし、
真人が菱子(鈴木砂羽)に「お帰りなさい」と言ったのも、
何だかほのぼのしました。
謎の老婆(渡辺えり)は「二人が入れ替わっていることを誰かに話したら
元に戻れない」と言ったけれど、
言われなくても感づいていた人がいた、ということですね。


最後に、
星見に「私たちが見えなかったものって何だったんだろう」と尋ねられ、
菱子が「愛されている、ってことじゃないでしょうか」と言っていたけれど、
私は、「家族の本当の姿を知ること、その上で信じること、
それが より深い愛情に繋がって行くということ、を二人が知ったから」
でもあったのではないか、という気がします。


最終回まで、
非常にテンポよく楽しく安心して観ていられたドラマでした。
出演者の皆さんも、元気があって、明るくて、
こういうドラマがもっとあってもいいのに、と思いました。
終盤、駆け足になってしまったことで、
はしょられてしまったであろうエピソードがどんなものだったのか・・
それを観られなかったのが とても残念です。


ゲスト:橋本じゅん 高岡早紀/脚本:江頭美智留/演出:三木康一郎