『ネオ・ウルトラQ』(第1話)感想

ネオ・ウルトラQ(第1話/クオ・ヴァディス)感想
円谷プロ×WOWOW共同プロジェクト。
40数年前に放送された『ウルトラQ』のセカンドシーズン、
という位置づけのドラマ。
画面のタッチが限りなくモノトーンに近く、
登場人物にしても、背景にしても、
オマージュとしての色合いが濃く出ており、
半世紀前の『ウルトラQ』をかなり意識した丁寧な作りで、
私の年代には懐かしくも嬉しい空気感。


他のウルトラシリーズと違い、
怪獣が、人間にとっての明らかな「敵」としては存在しない、
通常の人間世界に不自然なく入り込んでいる、
という「ウルトラQ」独特の世界観に関する詳しい説明がないので、
戸惑いを感じた人も多かったかもしれないし、
詳しい事情が語られないまま、いきなり怪獣が登場するので、
初めて観た人には、ちょっと不親切な作りになっているかもしれない。


しかしそれは、今回は あえて、
「怪獣とは、いったい何なのか?」という問いの答えへの、
ほんのひとつの扉を開けただけ、に とどめているからのようにも思えます。
したがって、この回だけで判断するのは早計、
12話すべて終わって初めて、
ネオ・ウルトラQ』が表現しようとする全体像が見えて来るのではないか、
という気がします。


感想は、人さまざまだと思いますが、
私は面白く・・というか、興味深く観ることが出来ました。
今回、おそらくあえて「答え」を明確にしなかった、
出来事・人・言葉・文字・・
1話で撒かれた、そして次回からも撒かれるであろう
たくさんの「Q(クエスチョン)の種(たね)」・・
今後、それらがどう結びついて「怪獣」という概念を具体化して行くのか、
私たちをどこに辿り着かせようとするのか、
楽しみに観続けたいと思います。


登場人物。
主要3人(田辺誠一高梨臨・尾上寛之)は、
まだ、人となりが断片的にしか描かれていないので、
キャラがきっちりと掴み切れない感じですが、
演じている俳優さんたちは、いい意味での「懐古的(昭和的)ウルトラQ色」を
もともと持ち合わせている人たちのように思います。
他の出演者(島田雅彦さん、辰巳蒼生さん、滝藤賢一さん、
品川徹さん)もしかり。
中でも、屋島教授役の島田さんが、私のツボに入りまくりwでした。


さて、田辺誠一さん。
怪獣に家族を殺された小林(滝藤賢一)へのカウンセリングで見せた、
どこか痛ましげな表情が印象的でした。
それは、家族を失った小林の心の痛みへの同調と共に、
小林の内にある「怪獣への憎しみ」に対して密かに抱いた感情
でもあるような気がします。
今のところ傍観者という立場にとどまっている南風原仁は、
最終回にどんな表情を見せるのか・・
いったい何者なのか・・ (と言ったらさすがに妄想働かせ過ぎかw)
もまた、楽しみです。


監督:石井岳龍  
脚本:いながききよたか
出演:田辺誠一南風原仁) 高梨臨(渡良瀬絵美子) 尾上寛之(白山正平)
 / 島田雅彦屋島教授) 辰巳蒼生(丹下准教授) /
 / 滝藤賢一(小林達也) 品川徹(井草六郎)/ ニルワニエ