『熊沢パンキース03』感想:1

『熊沢パンキース03』感想:1 投稿日:2003年 8月10日(日)showm
まず、興味深かったのは、
大人計画」という劇団の色が、ものすごく明確である、ということでした。
ごちゃまぜというか、グロテスクというか、何でもありというか。(笑)
そして、めちゃくちゃ暑くて、熱くて、テンションが高くて。(笑)

 

松尾スズキさん以下の「大人計画」軍団と、
今回客演している 佐藤隆太くん、田辺誠一さんとの境目がはっきりしていて
それが、この作品内におけるふたり(荻野=隆太、五十嵐=田辺)と、
他のメンバーとの「違い」にも繋がっている、と、そんなことを思いました。

 

荻野(佐藤隆太)と五十嵐(田辺誠一)の立ち位置にも違いがあって、
荻野は、パンキースのメンバーでありながら、
決定的に相容れないものを持ち、
五十嵐は、よそ者であるにもかかわらず、いつのまにか、
すーっと受け入れられている。

その辺の位置関係・距離関係みたいなものが、すごく面白かった。

そこにもうひとり、宮藤官九郎さん扮する内藤が絡むのですが、
彼は、最初から最後まで異世界の人で、
登場するたび、外世界の風を運んで来たりする。

 

この3人の、三様の、パンキース(大人計画)へのかかわり方が、
仲間内でノリノリ状態のパンキースメンバーに、
さまざまな「揺さぶり」をかけることになる・・・というか、
荻野と五十嵐は、逆に、
メンバーから「揺さぶり」をかけられてもいるんですが。(笑)

中でも、五十嵐の存在は、病気にかかわる重大なキーパーソンでもあり、
ほとんど出ずっぱりのこの役を、田辺さんが演じておられる、ということに、
ものすごく感動、というか、感無量、と言ったほうがいいか、
そういう想いを強く持ちました。

 

それにしても「大人計画」、
特に、松尾スズキさんの存在は、ものすご〜く強烈でしたね。(笑)
スターのオーラを放つ阿部サダヲさんでさえ、
どれほど頑張っても、あの域に達するのは、難しいんじゃないか、
と思うほど。(いや、阿部さんは大好きだけどさ)
「立ち役」と「二枚目」の違い、でもあるんでしょうが。

劇の芯を握って、牛耳れる人、という意味では、
今回のこの作品では、まさに、松尾スズキが「その人」であった、
と、私にはそんなふうに感じられました。