今さら『刑事7人』(シーズン9)感想

2023年6月からTV朝日系で放送された「シーズン9」の、今さらながらの感想です。

今回は、メンバーそれぞれが専従捜査班で刑事を続けて行くことへの悩みを抱えている、という設定。青山(塚本高史)は英語の勉強を始め、海老沢(田辺誠一)は妻のファンシーショップを手伝い、路敏(小瀧望)は内調への移動を打診され、そして天樹(東山紀之)も「刑事を辞めようと思っている。理由は身体の問題、キャリアの問題‥刑事に没頭する日々は終わりにすると決めた」と日記に記します。

《ポリス浄化ぁ》という警察の内部告発がネットに投稿され、その容疑者の一人に片桐(吉田鋼太郎)の名が。拓海(白洲迅)は、正木主席監察官(山田純大)から片桐の内偵をするよう命じられます。
(捜査班室でのメンバーのわちゃわちゃの会話に和みます。今回は、こういうのが あまりなかったのが ちょっと寂しかった)

江戸川区で殺し。被害者の下松(宮川一朗太)が元刑事だったことが分かります。
解剖後、海老沢(田辺誠一)が堂本(北大路欣也)に刑事を辞めようか相談するんですが、眼がきゅるんきゅるんして、信頼している相手を前にしたワンちゃんみたいでかわいかった。(田辺さん、最近目上の人に絡むようなこういうポジションあまりなかったので何だか新鮮)

10年前、江戸川区の火災で山岡夫妻(山口大地篠原真衣)が死亡、平成最大の殺人鬼と呼ばれ2か月前に死刑執行された鶴見達男(柳憂怜)からその事件の自供を引き出したのが下松元刑事だったことが判明します。
鶴見関連の3件の強殺事件のうちこの事件だけ手口が違うことに疑問を持つメンバーたち。

唐突に挟まれる、地震、がれき、火事の描写‥そして、盲目の望月和沙(山崎紘菜)という女性を片桐が気にかけているのはなぜか‥今のところ謎が多過ぎて、観ているこちらとしてはなかなか思考が追いつかない‥

下松殺しの最も有力な容疑者だった宝来の他殺死体が発見されます。
和沙から電話をもらい、会いに行く天樹。火災事件の時 現場にいた和沙が、それ以後何度か命を狙われたのに警察は取り合ってくれない、と、夫の修斗堀井新太)は不信感を募らせます。
路敏が、《ポリス浄化ぁ》に晒(さら)された動画の4人全員が10年前の火災事件に関わっていることに気づき、片桐がその事件を担当していたことも分かりますが、メンバーは片桐から「事件には近づくな」と釘を刺されます。‥でもまぁ 素直に言うこときいて おとなしくしてる人たちじゃないですよね。

天樹の同期でもある鑑識の岡崎(藤本隆宏)は、当時を思い出し、火災で物証がほとんどない中、何度も現場に足を運んで鶴見の毛髪を見つけた、と。
堂本の解剖により、下松と宝来殺しの犯人は別人、左利きと右利きであることが判明。

下松殺しの犯人は浜崎修斗。下松は10年前の火災事件の犯人を知っているはずで、その話を聞きたかっただけ。もみあって下松が持っていたナイフで刺してしまった、と言う修斗に、天樹は、「あなたはなぜ10年前の事件の真相を知ろうと思ったんですか。《ポリス浄化ぁ》もあなたですよね、どうやって警察内部の情報を手に入れたんですか」と尋ねるも、彼は答えません。

上部からの命によって、新専従捜査班は本件の捜査からはずれることに。
とは言え、あっというまにひとつの殺人事件が解決。早かったですね。
ここまではいつもの『刑事7人』という感じなのですが、実はまだこの先に深い事件の真相が隠されていた、と。捜査班は、捜査をはずされた宝来殺しを最後までずっとひきずることになります。

池添(有薗芳記)という男が自宅庭で殺されます。
ピッキングして盗みに入った近藤という男が疑われますが、証拠がない。実証する物が何もないと言われた鑑識の岡崎がもう一度近藤の家を捜査、被害者の血痕を見つけます。
証拠を突きつけられ、近藤は自分が殺したと自白。しかしその証拠は岡崎によって捏造されたものでした。
「本当に池添さんの血痕はあったのか⁉」と岡崎を問い詰める天樹ですが、「あったからこうして解決したんだ。近藤は自供もした、紛れもない犯人だ。おまえの生ぬるい正義で近藤を捕まえることが出来たのか」と逆に問われ、答えられなくなります。

岡崎が証拠を捏造した、と《ポリス浄化ぁ》に晒されます。あいかわらず警察内部の情報が筒抜けになっています。
そんな折、弁護士の末永(朝倉伸二)が殺される新たな事件が。
8年前の大量毒殺事件(通称・レモネード事件)、岡崎がその証拠を見つけたのですが、犯人とされた福地陽子(須藤理沙)は最後まで否認を続けるも獄中死、その弁護をしていたのが末永でした。
陽子の逮捕以来いじめに遭っていた息子・俊介(深澤嵐)が、殺される直前の末永と会っていました。
「優しくて頑張り屋の母親だったのに、本当のことを誰も報じてはくれなかった。世間は疲れ果てた母を追い詰め、おかしなまねをさせて喜んでいただけだった。《ポリス浄化ぁ》の動画がありもしない証拠をでっちあげた岡崎を告発してくれた。調べると言った末永さんが殺されて、今度は僕が疑われて‥警察は俺を捕まえて岡崎がやったことを見逃すんだろ! 母はもう帰ってこない。せめて母の無実だけは晴らしてやりたい」
俊介の言葉を重く受けとめ、8年前の事件を調べ直すメンバー。走り回って地道に調べるのがいいです。(あいかわらず「地道」が好きな自分)
やがて、恋人との仲を邪魔されたと思い込んで犯行に及んだ真犯人が捕まります。
う~ん、このあたりはちょっとあっさりし過ぎな気もしますが、重要なのは、誰が真犯人かではなく、獄中死した福地陽子が冤罪だったことであり、どのような経緯で彼女に罪がかぶせられたのか、ということなので、仕方ないのかな。

岡崎は天樹に「おまえは悔しい思いをしたことはないか、証拠さえあれば犯人を逮捕出来るのに、犯人はすぐそこにいるのにどうすることも出来ない。だから俺は‥」と言いますが、天樹は「その正義は間違っていた!おまえは取り返しのつかないことをしたんだ!」と糾弾。
天樹は、岡崎の部屋に盗聴器が仕掛けられているのを見つけていました。「おまえは何者かに監視されていた、お前の正義は危険だと判断されていたということだ。10年前の事件も本当に鶴見の仕業だと言えるのか、答えてくれ、岡崎!」しかし無言の岡崎。

岡崎が捏造した証拠は、彼個人の欲や悪意によって生まれたものではない、あくまで真犯人を逃げられない立場に追い込むためのものであり、不正を糺(ただ)したい、という気持ちからのものだった‥だとしても、結果として、8年前の事件で罪のない福地陽子を犯人としてでっちあげ、彼女とその家族を不幸のどん底に陥れることになってしまった。
本来「法律のみが罪を裁くことが出来る」とされる領域に、自分勝手な正義感を振りかざして土足で踏み入った岡崎は、自分もまた、大きな罪を背負うことになったわけです。

――岡崎を観ていて思ったこと。少し話が逸れますが‥
自分の内から湧き出る正義感が、本当に歪(ゆが)みなく正しいものなのかどうか、自分でジャッジするのはとても難しいですね。自分の考えや行動は常に正しい、という自信は、違う角度から見れば、どこかに驕(おご)りの気持ちがある、とも言えるかもしれない。
実際、過去に似たような事件があって、その時の、犯人を過剰に攻め立てるマスコミにも、それに便乗して好き勝手なことを言っていた(自分を含めた)世間の無責任さにも苦い思いがあったのを思い出しました。

今、いつでもどこでも自由に自分の考えや気持ちを発信出来る私たちも、自分は正しい、という考えに常にクエスチョンの気持ちを持たないと危うい気がします。
当事者でない者が公の場で自分の考えを発すること・・そこまでは言論の自由の範囲内であったとしても、そこから自分の想像だけで事実と決めつけたり、まして相手を安易に糾弾し追い詰めることは、正義でも何でもない。
本当の正義=個人が抱く正義感、ではないのですよね。
さまざまな事件ごとに湧き上がる直接関係ない人々の無責任な正義‥SNSやいろんなところで、それは今も続いている‥ここまで何度も繰り返された「正義とは何か」という天樹の問いは、彼自身だけでなく、観ている側にも投げかけられている、重い問いでもある気がします――

岡崎が自殺したと監察官の焼津(泉澤祐希)から上司の正木主席監察官に連絡がもたらされます。正木は、遺書があればすぐ処分しろと焼津に命じます。

鶴見の日記が消えていたことを知るメンバー。
《ポリス浄化ぁ》に名前が晒される片桐。しかし、当の片桐は意に介した様子もなく、痴漢事件を調べるようにと。何か意図があるはず、と関係者を当たるメンバーたち。
すると、痴漢事件で捕まった水島(小松和重)が、利根川開発に勤務していたことが分かります。10年前の事件と関連があるのでは?と疑う天樹たち。
片桐が休暇中に会っていた男、10年前に刑事を辞めた里中(酒向芳)。彼から利根川開発の情報を買う片桐。
天樹は里中と会い、刑事を辞めた理由を聞きます。「触れてはならないものに触れてしまった。誰かにとって水島は不都合な人間だった。それが何かは分からない。10年前の事件をあんたたちに捜査させるわけにいかないのは、あんたたちに調べさせれば俺みたいに飛ばされたり、へたすれば殺される恐れもあるから。あいつなりにあんたたちを守りたいんだよ」と。

10年前の火災事件、捜査本部が解散した矢先、何度も調べたはずの火事の現場で岡崎が鶴見の毛髪を見つけ、鶴見は自供。
里中は納得出来ず疑問を呈しますが、直後に移動の辞令が下ります。里中は辞表を出し、同じ疑問を抱いていた片桐は刑事として留まる覚悟を決めたのだ、と。
片桐から「触れてはいけないものに触れてしまった以上、後戻りは出来ないぞ」とクギを刺される捜査班のメンバーたち。

水島釈放。10年前、火事があった土地の買収の件で、何かあったらしいが詳しいことは分からないと。
片桐は《ポリス浄化ぁ》の首謀者ではなかった。なぜ彼を内偵しなければならないのか、正木に切り込む拓海。しかし、この先も監視を続けろと言われるのみ。

このあたりから、シーズン9全体を貫く一つのドラマに一気に練り上げられていく感覚がありました。
いつもなら、メンバーの誰かがそれぞれメインになる回があって、ちょっと空気が緩むというか、柔らかになるというか、色味の違う空気が生まれていて、観ているこちらもうまく息継ぎが出来ていたように思うのですが、今回のシーズン9は、一貫して緊迫した重い空気に覆われていて、正直しんどかったけれども、いつもと違った観応えもあったように思います。

天樹がある裁判で出会い、自分に似た危うさを持っているようで気になっていた井出孝也(田中樹)が遺体で見つかります。彼は鶴見の裁判を担当した秋下検事(浜田学)と中澤判事(奥田達士)の裁判を傍聴していました。
孝也の出身地・茨城に向かった天樹。12年前の大規模災害でそこには何も残っていませんでしたが、展示されていた写真に手掛かりが。

井出孝也の過去。
災害で母を失い、離婚していた父からは自分を引き取れないと言われ、死のうとした時、傘を差し出してくれた和沙‥
山岡夫妻、望月和沙、浜崎修斗、井出孝也‥彼らは家族を震災でいっぺんに失っており、やまお食堂‥皆そこで出会っていました。
私、実はここで何気なく画面に映り込んで来る一人の少年が気になったのですが‥のちのち関わって来ることに。

「味噌汁、どう?」と尋ねる山岡、家族になれるかどうか問われていると感じた孝也は「おいしい」と。おいしかったけど、お母さんのと全然違う味だった。お母さんの変わりはいない。
‥このあたりは、突然妻と子を失った天樹の喪失感と繋がりがある感じですね。天樹が孝也にシンパシーを感じたのも、むべなるかな。

山岡夫妻が東京に戻るのをきっかけに 和沙・修斗・孝也も上京、山岡の店を手伝いますが、食堂が火事になり、山岡夫妻殺人の犯人として鶴見が死刑に。その2か月後、修斗が下松を殺すという事件が。

報道で事件を知った孝也は、夫妻殺しの裁判を担当した秋下と中澤を追及、しかし、中澤から再審は難しいと言われます。
「死刑が終わってるから?」と尋ねますが、「再審に足るだけの証拠を集めるのが難しい。現場に行けば分かります」と言われ、8年ぶりに現場を訪れると、開発が進んでいて まったく違う場所になっていました。
昔自分がいた場所が分からない。そのことは、今自分がどこにいて何をすべきかも分からなくさせた。無意味に生きるだけの時間は長い‥という言葉が、孝也の行き場のない浮遊感を表しているようで、なんとも切ない。(田中樹さんの全身から伝わる空気の色がずっと ぶれなくて、なおさら苦しかった)

孝也のいた詐欺グループのリーダー三沢を逮捕。しかし、孝也殺害についてはシロ。
迷宮入りになるかもしれないけれど、堂本に まだやるんだろ、と言われる天樹。
「父親には見捨てられ、母親を災害で亡くし、頼った夫婦は殺され、自らはチンピラに落ちて、最後は命さえも奪われた、そんな男に俺はメスを入れた、何のためだ、なんで死ななきゃならなかったのかを知る為だ。なんで死ななきゃならなかったのか、というのは、何のために生きたのかを分かってやるってことなんだ。固く握りしめた掌に深く爪が食い込んでいた、強く奥歯をかみしめた痕があった、最後の最後まで何か強い思いがあった証拠だ、何かを成し遂げたかったと思う証だ。その思いが何だったのか、被害者に寄り添ってそれを探り出し、生かされてきた命の尊さを見つけてやるのが、刑事の仕事なんじゃないのか?」—――堂本のこの言葉が、シーズン9全体を通じた天樹の疑問へのひとつの答えにもなっていた気がします。

《ポリス浄化ぁ》の正体をつきとめる、と正木に宣言した拓海。
出世の最短ルートと言われる内調移動を蹴る路敏。最短ルートなら自分で見つけると。
班全員、警察人生終わるかもしれないリスクを背負い、討ち死に覚悟で事件を追うことに。‥うーん、このあたりはちょっとかっこよすぎたかなぁ・・

3年前、雑踏の中で犯人の声を聞いた、という和沙。
その場に立つ天樹、ラジオの音声。当時の番組を和沙に聞かせると、その声にまちがいないと。
そこから、利根川開発創始者利根川巌(山田明郷)の次男・寛二(阿部進之介)が浮かび上がります。会社は、下松や やまお食堂とも関わりがありました。
寛二に会って任意同行を求めますが、「記憶の中の声‥それって証拠になるんですか。令状あります?」と言われ、引き下がざるをえません。
しかも、亡くなっている父親は、警察上層部とも繋がりがあったことが分かります。

巌の長男・宗一(渡辺大)は、現・利根川開発の社長ですが、巌の妻の連れ子で、巌がかわいがっていたのは寛二の方。寛二は、入社早々やまお食堂があった土地の開発に携わり、リバモ江戸川を建設するため、地権者との交渉をしていました。

≪ポリス浄化ぁ・最終回≫は鶴見の冤罪について。山岡夫妻を殺したのは鶴見じゃない、証拠のノートがある、と。
その頃、和沙を見守るもう一人の人間の存在に気づく天樹。
足で捜査を続けるメンバー‥そこに重なる「永遠に終わらないパズルはない。途方もない作業だと何度心を折られたとしても、その手を止めなければ、ピースはひとつひとつ繋がって行く。完成に近づけば近づくほどその勢いは増して行く」という天樹の声。

地道な捜査によって、利根川開発所有の空き店舗で宝来の遺体から発見されたものと同じ絨毯の毛や孝也が握っていたストライプのビーズが見つかるも、宝来や孝也を寛二が殺したという明確な証拠にはならない、と片桐。

捜査班室に盗聴器をしかけていた焼津に、天樹は逆に罠をかけ、彼をおびき寄せます。
焼津は不当な捜査の監視のため、と言いますが、実際は山岡夫妻の復讐のため情報を集めようとしていました。彼も震災当時両親を失い、やまお食堂を手伝っており、山岡夫妻は恩人でした。
和沙は火事を引き起こしたことで山岡夫妻を自分が殺したのでは、と焼津に相談。
警察官になり、鶴見の日記を手に入れた焼津は、鶴見はあの事件の犯人ではなく、担当していた捜査員の誰かが嘘の供述をするように仕向けた‥と修斗に話し、やがて《ポリス浄化ぁ》が生まれることに。

青山たちは利根川寛二を見つけ、土地買収交渉について尋ねます。 山岡を殴ったことは認めるも、犯人はとっくに捕まって死刑になってる、なんで今さら‥という寛二に、われわれはあなたが犯人だとは思っていない、と。

山岡夫妻を殺したのは寛二の兄・宗一。
寛二の暴力沙汰が公になれば利根川開発の信用は地に落ちる。結果を残さなければならなかった宗一は、やまお食堂に向かった。警察に通報するつもりだった夫妻を殺し放火、すべての罪を寛二になすりつけられると踏んでいた。
父である巌社長は警察の正木に働きかけ、隠蔽に動いた。
利根川の後ろ盾で出世した正木は、自分の観察下にいた下松に、同じ時期に逮捕された鶴見に罪を着せることを命じる。
宗一は、汚れ仕事をさせていた宝来が自分を訪ねて来たことで彼を殺害、孝也も殺した。
和沙の持っていた山岡のリストバンドから宗一の汗が検出。
宗一は寛二も殺すつもりだった。
‥パタパタパタとスピーディに謎が解けて行きます。

「和沙は光を失い、修斗は捕まって孝也は殺された。俺だけが無傷でいいはずがない。この手で親父さんたちを殺した人間を、それを隠蔽した人間の命を奪わないと」と言う焼津に、「孝也さんは丸腰だった。彼が命を賭してまで成し遂げたかったのは、10年もの間復讐に囚われ続けているあなたを止めること。山岡さんや仲間たちが繋いでくれたその命をあなたはもっと大切に生きなきゃいけないんです」と天樹。そうか、孝也は焼津の行動を止めたくて動いていたのか‥

こうして10年越しの事件は解決。
震災が絡んでいるせいか、正直、私には重くてちょっとしんどかった。
特に、孝也が、やまお食堂があった場所に行っても何もなくて、「昔自分がいた場所が分からない。そのことは、今自分がどこにいて何をすべきかも分からなくさせた。無意味に生きるだけの時間は長い‥」というモノローグはズシンと響きました。
でも、ドラマとしてその重み(喪失感)が表現出来ていたのは良かったことだと思うし、単純に悲しいとか辛いとか軽々しく声高に扱ってもらわないで良かった、とも思います。

結局、天樹は刑事を辞め、捜査班のメンバーの前から姿を消します。
そして、畑仕事をする天樹の姿——

最後に来た男は誰なのか‥という疑問は残りますが、この放送以降の東山さんの立場を考えると、軽々に続編を作るとは考えにくいでしょうね。天樹自身は、今後、刑事という重荷を下ろしたことで、逆に何かを掴むことになるのではないか、とも思うのですが、それを見届けることが出来ないのが残念です。
個人的には、天樹不在となった新専従捜査班にアメリカからキャリアアップして帰って来た水田環(倉科カナ)が着任‥なんてことにはならないだろうか、と思ったりもするのですが‥

田辺さんのファンとしては、年を追うごとに、海老沢という役にも、チームにも馴染んで来ていたように思うので、もう少し続けて欲しかったです。子供どころか孫までいる設定だったり、楽しそうな家族でもあったので、そのあたりのエピソードを広げる機会が得られなかったことが心残りでした。
昨年から捜査班に入った路敏の活躍ももっと観たかったし、毎回のエピローグでのみんなとのわちゃわちゃ飲み会も、出来ることならもうちょっと観ていたかったなぁ。


『刑事7人』(シーズン9)    
放送:2023年6月7日 - 8月9日 毎週水曜 21:00 - 21:54 全9話 TV朝日系
脚本:森ハヤシ 吉本昌弘 徳永富彦  
監督:兼﨑涼介 柏木宏紀 星野和成 宗野賢一 
音楽:奈良悠樹
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子テレビ朝日
プロデューサー:山川秀樹(テレビ朝日) 石田奈穂子(テレビ朝日
和佐野健一(東映) 
制作:テレビ朝日 東映
出演:東山紀之 田辺誠一 小瀧望 白洲迅 塚本高史
山田純大 泉澤祐希 山崎紘菜 堀井新太 田中樹 
吉田鋼太郎 北大路欣也 他
公式サイト