今さら『刑事7人』(シーズン5)感想

先月「シーズン6」の放送が終了しましたが、こちらは昨年(2019年)7月からTV朝日系で放送された「シーズン5」の 今さらながらの感想となります。

「刑事資料係」というシールが剥がされ、新たに「専従捜査班」の文字が張られる‥
今回から本格的に専従捜査班が動き出す‥というオープニングが、かっこよかったです。

「‥専従捜査班は未決の事案、いわゆる未解決刑事事件を主に取り扱う部署でありますが、ビッグデータを活用し、過去の捜査情報をもとに未来の犯罪を防ぐため対策を講じます。より高度で複雑化した犯罪に対して迅速に対応し、急増の一途をたどる凶悪事件から都民・国民を守るため設けられたものです。この専従捜査班が出来たことで、警視庁が今以上に信頼のおける捜査機関であると実感していただけることを自信をもってここにお約束致します。専従捜査班にご期待下さい」
警視庁刑事部長の定例会見の最後に専従捜査班について説明があり、それを聞いて、観ているこちらも このチームの立ち位置をサラッとおさらい。

‥って、おさらいするのはいいけれど、最初観た時には、それでもまだ何となくピンと来なくて。う~ん そのあたり「シーズン4」を観た時の 私の個人的な感覚(チームの空気感になかなか馴染めず、すんなりとドラマに入り込めなかった)を引きずっていたのかもしれない。
なぜ馴染めなかったか、というと、たぶん、田辺誠一さん演じる海老沢のキャラがイマイチ掴みどころがなくて、私にはあまり魅力的に感じられなかったから、なんじゃないか という気がしますが。

今回(シーズン5)の海老沢も、最初は なかなかこちらの気持ちにフィットして来なくて、田辺ファンの私としてはちょっと残念な気持ちにもなったのですが、それでも、チーム全体の空気が「4」に比べてだいぶ練れて来たことや、海老沢のキャラの色味が徐々に出て来始めこと、7人の個性がそれぞれバランス良く機能し始めたこともあって、観続けるにつれ、徐々にドラマに入り込んで行けるようになり、各回、楽しみどころを見つけられるようにもなり、事件そのものの面白さにも より気持ちが行き届くようになりました。

たとえば1・2話、一度画面に登場した真犯人が、捜査の流れの中で自然と目立たなくなり埋没して行くが、捜査の終盤になって唐突にフッと浮かんでくる‥とか、7話、のどかな田んぼ道を全速力で走るスーツの男と 派手なシャツの男の死、という、まったく結びつかない2つの出来事が、捜査によって少しずつ絡み合い、やがて意外な全体像が見えて来る‥といったように、各回、事件そのものも 動機も 簡単に読み切れない作りになっていたのは さすがだと思ったし、最近の刑事ドラマによくある、警察内部の上司や同僚を簡単に悪者にする、という話もなくて(最終回は、逆に 自画自賛し過ぎのような気がしないでもなかったけど)良かったです。
正直、事件が突拍子過ぎたり、動機がなかなか納得出来なかったりして 犯人の気持ちに寄り添えない回もありましたが、天樹(東山紀之)たちの捜査に置いてきぼりにされながらもw何とか食らいついて行こうと思える面白さがあったように思います。
特に、地面師サギ(5話)、アポ電サギ(8話)、帝金事件(9話)など、実際の事件を想起させるような回が印象に残りました。

5話は、恒例の チーム非番の一日、でしたが、一人の女性の死から地面師サギに繋がって行く意外性があって、面白かった。 大地康雄さんが嘘っぽくなりがちな空気をしっかり締めてくれていたし、片桐(吉田鋼太郎)を中心に7人のメンバーそれぞれの立ち位置での捜査がきっちり出来上がっていて安心感がありました。天樹を心配する堂本(北大路欣也)が、仕事仲間としてではなく、義父としての顔を見せるところも良かった。
個人的には、佐々岡理事長(上杉祥三)をエビちゃんがとっちめるシーンが嬉しかった。中の人(田辺誠一)が上杉さんをとっちめる日が来るなんて‥と嬉しいやら感慨深いやら、私の頬ゆるみっぱなしでしたw

9話はちょっと色味の違う不思議な内容でしたが、このお話も私は好きでした。
謎解きの面白さ、事件解決までの道筋の面白さ、無理矢理感のなさ‥ドラマを作るにあたって大切にしなければならないことはいろいろあると思うのですが、事件がただのゲームになってしまっていないか、事件を起こしてしまった人々、あるいは事件に巻き込まれてしまった人々の痛みが、きちんと観る側に伝わっているかどうか、というのも大事な気がします。
全10話の中には、正直、そのあたりで、観る側の私がつまづいてしまった作品もあるのですが、この9話は、実際の帝銀事件にプロットを借りて「ファンタジー」と言っていい世界をうまく作り上げ、その空気感を壊さないように犯人と共犯者を優しく包み込んだような感触があって、興味深かったです。
「底におしこめられ、今が続くなら何かが起きて欲しいと望む若者がいるかもしれない。そういう若いやつらが戦争を起こしたらどうする」という片桐の問いに、「殺(あや)めれば‥捕まえるだけです」と応える天樹の真っ直ぐな視線には、いろいろと考えさせられるものがありました。

ドラマの売りでもある 天樹のビッグデータ、今回は、過去ファイルを熟知した天樹の記憶からヒントを得ることも多く、「4」の時よりもうまく使われていたように思います。
事件のカギを過去のデータから探り出す、その天樹の才能は、単に記憶力だけでない、飛び抜けた想像力や空想力で事件を再構築していく類(たぐい)まれな能力がある、ということなのかもしれない。
今回、自分なりにそういう観方が出来るようになって、天樹が人としてさらに魅力的に感じられたことも大きかったです。

拓海(白洲迅)のポジションがいいですね。若さと、警察官になりたかったという気持ち。時に 暴走するチームについていけなくなることもあるけど、彼らしい優しさが捜査に反映された時には力を発揮する。しっかりとチーム内での足場が出来ている気がします。

今回、青山(塚本高史)が裏社会に顔が効くことが分かったのも嬉しかった。情報をくれた人間にお金を渡そうとして環に止められる、そのシーンが好きで、以後 彼を注意して観ていたら、一人で行動して何か情報を掴んでくることがちょこちょこあって、目が離せなくなりました。

環(倉科カナ)は、天樹を天樹君と呼ぶところがすごく好きです。
10話は環メインだったけど、父親がらみのしっとりしたお話だったので、環を中心にチーム全体で大立ち回り、なんてのも観てみたい気がしました。

さて海老沢。
↑にも書きましたが、エビちゃん やっと少しキャラが見えるようになってきましたね。
正直、こんな くたびれた感じがいいのかどうか私にはピンと来なくて、最初 ちょっとまだ浮いてるかなぁ とも思ったけれど、そこはそれ、こういうキャラの出し方に手慣れた人でもあるので、最後の頃には すっかり みんなを脱力させて和ませるポジション獲得、最後の打ち上げ(飲み会)が楽しみになっていました。
エビちゃん一家のAマークには笑わせてもらったなぁ。
10話、拓海に家族の写真を見せて、「保身のために正義を曲げたらこいつらに怒られちまう」と言う時の顔が好きです。
家族で歩いている時に召集がかかる。奥さん(だよね?)が「どこに行くと?」というシーンがあるのですが、奥さんもしかして九州出身なの?とか、孫と自分の末っ子がほぼ同い年?とか、この家族のことをいろいろ想像するのが楽しかったです。
シーズン6で そのあたり もうちょっと明らかになってくれることを期待しています。


『刑事7人』(シーズン4)    
放送:2019年7月10日-毎週水曜 全10話 TV朝日系
脚本:吉本昌弘 吉原れい 池谷雅夫 谷口純一郎 徳永富彦 及川拓郎
監督:兼﨑涼介 及川拓郎 星野和成 長谷川康 安養寺工
音楽:奈良悠樹
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子テレビ朝日
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子テレビ朝日
プロデューサー:山川秀樹(テレビ朝日) 和佐野健一(東映) 井元隆佑(東映
制作:テレビ朝日 東映
出演:東山紀之 田辺誠一 倉科カナ 白洲迅 塚本高史
吉田鋼太郎 北大路欣也 他
公式サイト