『ボク、運命の人です。』感想

『ボク、運命の人です。』感想

肩が凝ることもなく 変な力も入らずに
久しぶりに安心してラブコメディを楽しんだ気がします。
「ラブコメってもともとそういうもんじゃないの?」
とおっしゃる方も多いかもしれませんが、
ブコメって案外作るのが難しいようで、
安心して観られるものって なかなかないような気がするので。
(まぁ、もともと私がそういうドラマをあまり観ないせいかもしれませんが)

30年後の世界からやって来た
「神」と名乗る男(山下智久)に翻弄されつつも、
やがて運命の女性(木村文乃)と結ばれる男(亀梨和也)‥
‥と書くと、安っぽいSFか!?なんて つい勘繰りたくなるし、
私なんかは実際勘繰ったわけですがw
でも、このドラマはそのあたりのおとぎ話めいた空気を
うまくファンタジーとして見せることに成功している、
それはまず第一に、山Pの不思議と軽妙な雰囲気によるところが
大きかった気がします。
飄々としていながら何だかすごく可愛くて、
10cmぐらい浮いてるような空気感が好もしく微笑ましかった。
神(山下)と誠(亀梨)のやりとりが毎回すご〜く楽しかったです。

惜しまれるのはラスト。
それまでの流れのまま淡々と終わってしまった感がありました。
もうちょっと何かしら満たされた終わり方であって欲しかった。
たとえば、誠の中にある自分の記憶を消してしまった神が、
どこかでもう一度(たとえば息子が生まれた時に)誠の前に現れる瞬間‥
というのも観てみたかった気がします。

山下くんについてひとつ気になったのは‥というか、
彼を観ていてずっと感じていることなのですが、
声が前に出て来なくて もどかしく思う時があります。
(以前の亀梨くんもそうだった)
今回は、役柄として、それでもいいかも、とも思えたのですが、
もうちょっと声の通りが良くなって台詞にメリハリがつくと、
もっと押し出しが効くようになる気がします。
(いつもながら 上から目線ですみません)とは言え、とてもチャーミングだったので、細かいことは まっいいかw

木村文乃さんのちょっと甘めな雰囲気も良かったなぁ。
ウエーブのかかった短めの髪も、
今までの木村さんのイメージとはちょっと違っていて、
新たな魅力発見、という気分になったし、
晴子という一人の女性の感情としても、素直に受け入れることが出来た。
見知らぬ男性に「僕はあなたの運命の男です」なんていきなり言われたら、
そりゃ気持ち悪いって思うのは当然なんだけど、
その最悪の出逢いから少しずつ晴子の心が溶けて行く、
そのゆるやかな変化が、すごく自然に感じられたから。
そのあたりは脚本のうまさでもあるなぁと思いました。

で、その「気持ち悪い男」という最悪のスタートから
徐々に晴子の鉄壁の心を崩していく男・正木誠が亀梨くん。
いや、ちょっとびっくりした、
彼がここまで滑らかに正木誠という役をこなしてくれるとは
思ってなかったから。
まず(いつも気になっていた)声がしっかり前に出ていることに驚いたし、
誠の表情にもリアクションにも本当に無理がなくて、
ほんのちょっとした表情がとても良くて、
(喧嘩別れした神が自分の部屋に戻っていたのを知った時の
平静を装いながらも嬉しさを隠し切れない目もと口もと とか)
久しぶりに亀梨くんを観て、おこがましいかもしれないけど
なんだかすごく成長したな、と思いました。

ワキでは菜々緒さんがすごく良かった。
こういう役を生き生きと演じている彼女を観ると、
今までのイメージ吹っ切って、
これからは もっといろんな役にチャレンジして欲しい、
制作側も、いろんな役を与えて欲しい、と思います。

そして満島真之介くん。彼のノリ具合もすごく楽しかったなぁ。
面白過ぎておいおい大丈夫かと思うこともあったけどw
決して「ボク運」のコメディとしての枠からはみ出さない、
そのサジ加減が絶妙でした。

他にも、誠の同僚役の大倉孝二さんや澤部佑さん、
晴子の会社の社長の渡辺江里子さん阿佐ヶ谷姉妹
(このキャスティングには脱帽!w)
晴子の両親、杉本哲太さんと石野真子さん、等々、
どの役も間違いない、という安定感があって、楽しかったです。
杉本さんは本当に幅広くいろんな役が出来る人なんだなぁ、
と、改めて思いました。

そうそう、晴子の会社の人たちの衣装がとっても良かったことや、
誠の部屋をはじめ、それぞれの居場所が心地良さそうな雰囲気だった
ことも付け加えておかないと。

さて、田辺誠一さん。
誠の上司で、ちょっと天然で物腰柔らかで‥というのは、
最近の田辺さんの鉄板でもあるし、
出番がそれほど多くなかったにしては、
なんだかんだで、ちゃんと誠の役に立ってたところもあって、
そのあたりは良かったかな、と思いました。
ただ、
亀梨くんと田辺さんというと
私はどうしても『神の雫』を思い出してしまうし、
あの時、二人がガッツリ組んで、
とんでもない世界にチャレンジしていたことを思うと、
今回の久しぶりの顔合わせを、ちょっと物足りなく、寂しく感じてしまった、
というのが正直な気持ちなのも確か。
もともと田辺さんのファンで、あの時から亀梨くんに興味を持ち始め、
神の雫で育まれた空気感に何度か胸震わされた人間としては、
こういう使われ方は何だかもったいないなぁ、
と思ってしまったのも事実なので。
‥でも、それはまぁ、贅沢というものなのかもしれません。(寂)

あ、そうそう、最後になりましたが、
飲み屋のマスター(村杉蝉之介)のTシャツ、
毎回なかなか味のある言葉がプリントされていて楽しかったのですが、
最終回近くから田辺画伯の作に変わっていて、
相変わらず脱力系の クスッと笑えるものになっていたのが
ご愛敬でしたw


『 ボク、運命の人です。 』     
演出:佐久間紀佳、小室直子、猪股隆一、高橋朋広  脚本:金子茂樹
音楽:林ゆうき 主題歌:亀と山P「背中越しのチャンス(ジェイ・ストーム
チーフプロデューサー:西憲彦 プロデューサー:福井雄太、下山潤(日活)
制作協力:日活 製作著作 - 日本テレビ
出演:亀梨和也 木村文乃 満島真之介 菜々緒 澤部佑
渡辺江里子阿佐ヶ谷姉妹) 岡野真也 大倉孝二 村杉蝉之介 
石野真子 田辺誠一 杉本哲太 山下智久
ゲスト:あかつ HIRO (安田大サーカス加藤諒 渡辺哲 吉井怜
公式サイト