『最後のレストラン』(第5話/マリーアントワネット)感想

最後のレストラン』(第5話/マリーアントワネット)感想 

うん、このお話が今までの中で一番好きです、私。
お笑い部分が少なかったせいか、
比較的じっくりと アントワネット(シルビア・グラブ)の孤独に
気持ちを寄せることが出来たことが大きい気がしますが。

今回は、「務めを果たす」がキーワード。
誰からも見向きされなくなった甜瓜(まくわうり)と、
処刑台に向かうアントワネットの立場を重ね、
最後に 甜瓜に かつて彼女が愛(め)でた香合に見立てた彫り物を施して、
食材としての務めを果たさせた園場。
彼を勝手にライバル視して手を貸そうとしない面津に対して、
「お客様をこれ以上待たせるわけにいかない。
すべてはお客様のため、です」
と、きっぱり言い切って、結果、彼の力を引き出したのも、
シェフとして良い裁量だったように思います。

ヘタレで性格に難あり、と言われた園場が、
「レストランとは“回復させる”という言葉が語源。
お客様がもし食べて元気になってもらえれば、
料理人として僕たちも救われます。
なので、王妃様がお召し上がりになりたいと思われるまで
僕たちは作り続けます」
とまで言うようになった。
レストランでお客様に料理を提供する意味とは何か、
料理人にとって「務めを果たす」ということは いったいどういうことなのか、
園場はすでに理解しているように思われます。

園場に勧められ、料理を口に運び、
「今は理解されず見向きされなくても明日はどうなるかわからない、
その逆も真なり。
私はフランス王妃として最後まで務めを果たします」
そう言って笑顔を取り戻すアントワネット。

彼女が本来の場所に戻った後、
記念に撮った写真を見て「穏やかな笑顔だなぁ」とつぶやく園場。
「きっとシェフをはじめみんなが王妃様を理解しようと心を寄せたことが
嬉しかったのでしょう」
と返す前田がかっこよかったです。

その前田、園場に惹かれているようにも見えるのですが‥
さて、彼女の本当の気持ちはどうなのでしょうか。
園場が少年みたいなところも持ち合わせているように見えるので、
しっかり者の前田と相性がいいような気もするのですが…

一方、ジャンヌが園場を純粋に神様として崇拝してるのもかわいいし。

そんなモテモテ(?)な園場ですが、
本人にまったくその自覚がない、そういう空気が読めないまま、
気取らず自然体のまま彼女たちに接している、
言い換えれば、男臭さが希薄(私が彼を少年っぽいと思った所以(ゆえん)
ってのも、中の人(田辺誠一)らしいな、と思いました。w


最後のレストラン     
放送日時:2016年4月26日 - 毎週火曜 23:15 - (NHKBSプレミアム)
原作:藤栄道彦最後のレストラン」 脚本:谷岡由紀 演出:鴨川哲郎 音楽:辻陽
制作統括:磯智明(NHKコンテンツ開発センター)、櫻井美恵子(国際放映
制作:NHK 国際放映
キャスト:田辺誠一 木南晴夏 鈴木浩介 石黒英雄 福田麻由子 トリンドル玲奈 大和田獏 
シルビア・グラブ(ゲスト) 他
公式サイト