『最後のレストラン』(第6話/ナポレオン)感想

最後のレストラン』(第6話/ナポレオン)感想 

きっちりと受け取るものがあった前回に比べると、
今回は少し物足りなかった‥と言うより、
ドタバタし過ぎて落ち着かなかった、と言ったほうがいいのかな。

有名グルメガイドの覆面調査員と ナポレオン、
この二組が同時に現れたのは、最後にナポレオン(武田鉄矢)が言い残す
「予のなしたることは 書物に残らずとも人の世には残っていくか」
というところに繋がって行くので、
決して無理な設定ではなかったと思うのですが、
30分でまとめるにしては 少し欲張り過ぎたような気がしました。

お笑い部分も、一部ですが、苦笑を通り越して痛々しく感じてしまった
ところもあって、私にはちょっと辛かったです。

でも、塩麹=人類の英知、という捉え方は なかなか興味深かった。
――本来 発酵と腐敗は同じもの。
命を懸けた試行錯誤の歴史を重ねた結果、
人間は、腐敗の中から「発酵」という手段を見出した、
つまり、「成功も失敗も積み重なって人類の英知となりうる」ということ――

「歴史というものは
ある日突然現れた一人の偉人が築くものではなくて、
太古の昔から試行錯誤を重ねながら命を繋いできた人間の営み、
それこそが歴史なのではないでしょうか」
と言う園場に、ナポレオンは 自分の一生を振り返って、
「人が生まれて来ただけで歴史、というわけか。
予のなしたることは書物に残らずとも人の世には残っていくか」
と得心が行った様子で、元の世界に戻って行きます。

「将来、お前の子孫は お前の名を
胸を張って誇らしげに 人に向かって名乗るであろう」
という園場に向けたナポレオンの最後の言葉は、暗に、
(だから、なんちゃら言うグルメガイドの評価なんか気にせず頑張れ)
という含みもあったのかもしれません。


前回、園場を「少年っぽい」と書きましたが、
今回のお笑い部分は、少年を通り越して ただのアホでしたねw
そこを面津がちゃんと突っ込んでくれたのが良かったです。
一方、歴史上の人物に対する時は、
口調が歴史鑑定人(@にっぽん!歴史鑑定)っぽいところもあって、
老成しているようにも感じられる‥
これらを合わせて一人の人間の人格として観る者に納得させるには、
なかなか難しいものがあると思うのですが…
でも、たぶん田辺さんは、
最後まで この調子で突っ走っちゃうんだろうなぁ。


最後のレストラン     
放送日時:2016年4月26日 - 毎週火曜 23:15 - (NHKBSプレミアム)
原作:藤栄道彦最後のレストラン」 脚本:高山直也 演出:近藤俊明 音楽:辻陽
制作統括:磯智明(NHKコンテンツ開発センター)、櫻井美恵子(国際放映
制作:NHK 国際放映
キャスト:田辺誠一 木南晴夏 鈴木浩介 石黒英雄 福田麻由子 トリンドル玲奈 大和田獏 
武田鉄矢(ゲスト) 他
公式サイト