映画『ライアーゲーム The Final Stage』感想

映画『ライアーゲーム The Final Stage』感想
この映画を観る前の、私の『ライアーゲーム』に対する認識は、
TV版の「1」と「2」それぞれ3〜4話ぐらいを軽く流して観た程度。
それほど熱心に観ていたわけではなかったけれど、
舞台となる美術装置の奇抜さとか、思い切ったキャラ作り、等々、
本当のTVゲームの中に引き込まれるような不思議な感覚があって、
今までのTVドラマというワクでは観たことのない世界だったので、
面白いなぁ・・と興味を持っていました。


で、今回の映画。
直(ナオ/戸田恵梨香)がエデンの園の扉を開けた瞬間、
私はまるで、自分がゲームのスイッチを押したような気分になって、
もうすっかり「楽しむぞ〜」ってなウエルカム態勢w。


で、そのゲーム感覚が、
目の前に広がる不可思議な空間・・思考を揺らすような音楽・・
オーバーアクションでゲームキャラに徹している
派手に色付けされた濃いキャラたち・・
さらには、このゲームそのものの「誰が何色のリンゴを入れたのか」
「誰が裏切ったのか」への興味、推理、ワクワクハラハラ感・・
等々によって、ますます増幅されて行って、
心地良い緊張感の中、息抜くことなく一気に最後まで、
ライアーゲームという文字通りの「ゲーム」を堪能出来たような気がします。


だけど、そんな「ほとんどゲーム感覚」の一方で・・・
実は、この映画が、
誰が裏切り者かを暴き、いくら儲けられるかを競う「ゲームの面白さ」
だけで組み立てられていたわけではなく、
最後のゲームでナオが全員に提案したこと、その後にXが取った行動、
ヨコヤ(鈴木一真)が手に入れたキャッシュの行方・・等々が、
これが二次元の「ゲーム」ではない、「人の物語」であることを示唆していて
エンドロールの後の、小さなエピソードとも含めて、
この「巨額の金を奪い合うゲーム」の底にある小さな希望を浮き彫りにし、
最終的に、決して後味の悪いものにはなっていなかったことが、
救いだったようにも思います。


―――さて、仙道アラタを演じた田辺誠一さんですが。
詳しいことをお話出来ないのが残念ですが・・
こういう、独特の世界観を持った空間の中でも、みごとに嵌まっていた、
というのは、間違いないことだと思います。
ビジュアルも申し分なし、で、怖いものなしw。
しかし、ファンならなおのこと、
この演じ方は、好き嫌いが分かれるかもしれないなぁ・・
なんてことも、ちょっと思いました。
ちなみに私は、いろんな意味で非常に興味深かったです。
(「いろんな意味」については、いずれ機会がありましたら)


いずれにせよ、いかにも田辺さんらしい、と言えるとも思うので・・w
役の振り幅をさらに広げた、という意味では、
仙道アラタもまた、去年〜今年の田辺誠一にふさわしい役だったな、
と思います。


あとはぜひ、ご自分の眼でお確かめ下さい。



twitterはてなハイク/一言感想≫―――――――――――
★映画『ライアーゲーム』その1/
独特の世界観を構築し、観ている人間を強引に引きずり込み、
疾走感・緊迫感があって、最後まで飽きずに楽しめた。
美術や、登場人物のキャラ設定など、視覚に訴えるものが力強く、
俳優陣も、空気感にうまく染まって、それぞれ好(怪)演。


★映画『ライアーゲーム』その2/
観ていて、萩尾望都さんの「11人いる!」を思い出した。
誰が裏切り者か、というよりも、その「異物」を排除するか、
仲間に取り込むか、が大事なところ。
ゲーム自体は思ったより複雑ではなく、
お金を奪い合う話だが、後味は悪くなかった。