『853〜刑事・加茂伸之介』(第5話)感想

『853〜刑事・加茂伸之介』(第5話)感想
噛んでも噛んでもなかなか味がしないぞ、と思ったら、
やっと、ここに来て、じわ〜っとやわらかくなって旨味が出て来始めた。
そうかぁ、武藤(田辺誠一)はスルメのような男だったんだなぁ・・w
だとしたら、加茂(寺脇康文)と同様、
彼もまた、ちょっと古臭い「昭和の男」ってことにはならないだろうか・・
・・・なんて幸せな独り言は置いといて。w


今回は、武藤以上にクールなんじゃないか、と思われる
真島(戸次重幸)がメイン。
いや〜この真島さんがね〜、何だかすごくかわいかったですわw。
人数合わせのため嫌々連れて行かれた合コンで出逢った唯(小松彩夏)に
ほのかな想いを寄せるようになる、
そのあたりの彼の気持ちが、もうちょっと自然な流れとして感じられると
もっと良かったんじゃないか、とは思うけど、
でも、そういう(女性と一緒にいる)空気に慣れない彼の、ウブな感じとか、
不器用な感じとか、が、戸次さんの硬い表情から伝わって来て、
しかも、最後まで彼女の気持ちに応えようとしない(応えられない)、
彼の生真面目過ぎる生き方が、
何だかすごく「それもアリだなぁ」と思われて。


いいじゃないか、こういう人がいたって。
加茂のように、他人に対して積極的に熱く立ち回れなくたって、
真島は真島なりに、自分らしく生きているんだから。
割に合わなくても、損をしても、
そういう役回りの自分を許して愛してあげることも大事だ、
と、私は思うよ、真島さん。


さて、事件ですが。
加茂の言う「信じることから始まる捜査だってある」というのは
一理ある とは思うものの、
今回はさすがにゴリ押しにしか感じられなかったなぁ。
好意は持ったとしても、まだ数回しか会った事のない女を
「好きなら信じろ」って言われてもねぇ・・


ちょっと分の悪い加茂に変わって、イニシアチブを取ったのが武藤。
てきぱきと推理し、てきぱきと指示を出すところが、
あいかわらず直角 」「 っぽいけどw
それでも、前回までとは違って、じんわりと自然に旨味が出て来た感じ。
(で、最初の、スルメ発言になったわけですけれどもw)


まぁ、加茂は加茂で、最後に犯人に怪我させた人を見舞わせて、
人情派なところを見せることが出来たので、
一方的に、武藤にいいところを持って行かれた、
ってだけじゃなかったのはよかったです。
いつもとは逆に、加茂が課長(金田明夫)に愚痴ってるのが笑えました。
武藤か加茂か、どっちかが、いつも課長のところに愚痴を言いに行く
パターンになるんでしょうかねw。


他のメンバー。
武藤に呼応するように、佐々木(富田靖子)が
女性らしく、やわらかでまろやかな人当たりになって来たのが嬉しかったし
(それでこそ富田さん起用の意味があると思うので)
今回の話で、真島の芯にあるものが見えたような気がするし、
酒井(林剛史)が、合コン好きで、
11月11日生まれだから「十一」って名前になったんだ、ってことも知れたしw
徐々に、それぞれひとりひとりの味も深まって、
もともと良い雰囲気に出来上がっていた加茂や浜(菅原大吉)に、
ようやく追いついて来たように感じられました。


5話まで観て思ったこと。
刑事たちそれぞれの色が立ち始めたとはいえ、
ドラマの中心になるはずの「軸」が、まだ、ちょっと不安定な感じがします。
それは、加茂と武藤という、まったく個性の違うふたりが絡むことによって
生み出されるはずの相乗効果が、
まだ、十分に機能しているとは言えないから、なんじゃないでしょうか。

でも、今回、武藤が少し「人らしさ」を出して来たこともあって、
これから徐々に、そういうところにも進展が見えて来るのかな、と。
今回で言えば、ふたりの睨み合いのシーンなど、
いい味が出て来たようにも思うので。


田辺さんが、ここまで、武藤キャラを、
一見 味気ない、ガードの硬い男として、計画的に演じて来た、
と思いたい私としては、
来週、佐々木の入院で、武藤が初めて府警から外に出る、
そこでどうスイッチを入れ替えて来るか、が、楽しみになって来ました。

で、そうなると、
あと3回で終わっちゃうのがもったいなく思えて来たりしてw。
加茂と武藤の丁々発止も、武藤班の空気も、
これから、ますます練れて、面白くなりそうなのにね。