『福家警部補の挨拶』感想

『福家警部補の挨拶』感想
2014年1月クール、一番はまったドラマ。
2話の中盤から観始めて、以後録画して観ていました。
ミステリーとしては弱いところもあるのですが、
犯人の人間性みたいなものが事件の中にうまく組み込まれていて、
その職業や設定の面白さともあいまって、
毎回魅力的な犯人像になっていたのが興味深かったです。


犯人を演じた俳優さんたちがまた、
北村有起哉さん、若村麻由美さん、板尾創路さん、林遣都くん、
八千草薫さん等々私の好きな俳優さんたちばかりで、
正直、それだけでテンションが上がったのも事実なんですけどね。w

彼らが、泥臭さのほとんど感じられない
古畑任三郎』や『ガリレオ』みたいな乾いた空気感の中で、
福家警部補(檀れい)と対峙する場面は、
警部補(探偵)と犯人、というだけでない、
俳優対俳優としての火花が散るような面白みもあって、
なかなか見応えがありました。

特に、終盤、徐々に福家の過去が明らかになって行く、
それが、最終回の犯人によって決定的に剥がれされて行くさまは、
八千草薫vs檀れい という女優同士の、
厳しく激しくも 非常に魅力的な真剣勝負を見せてもらっているようで、
(殺人事件なのに不謹慎な言い方ですが)わくわくしました。


福家や犯人が魅力的だったのに比べると、
福家の上司・石松警部(稲垣吾郎)が少し書き込み不足だったのが残念。
もうちょっと前に出るところがあっても良かったし、
彼なりの思想みたいなものが出て来ても良かったのではないか、
という気がしました。
最終回のような福家への興味が、もうちょっと前から欲しかったです。

鑑識の二岡(柄本時生)は、
柄本さんの飄々とした持ち味が出ていて、良かった。


佐藤祐市監督の特徴、と言ってもいいのかもしれませんが、
キサラギ』や『ブラック会社に勤めてるんだが、俺はもう限界かもしれない
のような、ほぼワンシチュエーションで進む展開の面白さが
特に9話あたりでは顕著で、
まるで舞台を観ているような感覚でセリフや動きを味わえて、
それもまた楽しかったです。


実は、田辺誠一さんにこのドラマに出て欲しかった。
原作(大岩崇裕さん著)をどれほど踏襲しているか分かりませんが(未読)、
犯人はどれもまるでその俳優さんにあてがきされたように
ぴったりだったので、
田辺さんが犯人なら、どんな役回りになるだろうか、と。

残念ながら、今回は夢が果たせなかったけれど、
これはぜひ続編をお願いしたいところです。
その時は ぜひ田辺さんを犯人役で。w


『福家警部補の挨拶』     
放送日時:2014年1月14日-毎週火曜 21:00-(フジテレビ系)
脚本:正岡謙一郎 麻倉圭司 丸茂周/演出:佐藤祐市 岩田和行
原作:大倉崇裕『福家警部補の挨拶』他/制作著作:共同テレビ
企画:水野綾子 清水一幸(編成企画)/プロデュース:貸川聡子
キャスト:檀れい 稲垣吾郎 柄本時生 中本賢
反町隆史 有薗芳記 小林且弥富田靖子 銀粉蝶 渡辺真起子
北村有起哉 片桐仁片平なぎさ板尾創路 ほんこん
若村麻由美古谷一行林遣都 室井滋 きたろう/
八千草薫 山本學 他  『福家警部補の挨拶』公式サイト