『神の雫』(第1話)感想

神の雫』(第1話)感想
いや〜面白かった!
まぁ、ね、ワインが大好きで しっかりしたこだわりを持ってる人とか、
原作のファンで、漫画の神咲雫や遠峰一青にベタ惚れしてる人とか、
にとっては、かなり不満もあったでしょうが、
ワインの銘柄などまったく知らず、漫画はサッと読んだだけで、
どちらにもそれほどの思い入れもなく、
あくまで、原作とドラマは別物、という見方をした私のような人間は、
非常に面白く、興味深く観ることが出来ましたし、
トントントンと畳み掛けるように進むお話が、小気味良くもありました。
展開がものすごく速かったので、
ストーリーをだいたい知っていたというのが、
有効だったかもしれませんが。


★さて、そのストーリーですが―――――
原作の基本テイストをはずさず、まずまず上手くまとめたなぁ、という印象。
以前も書きましたが、漫画を読んでいても、
神の雫」が出て来る(雫と一青の内面が本格的に描かれる)前、
というのは、あまり魅力を感じなかったんですよね、私は。
なので、そのあたりをかなり省略して登場人物の紹介ぐらいに留め、
いきなり、神咲豊多香の遺産をめぐる
実の息子・雫と義兄・遠峰一青の対決、というところに持って来たのは、
私は正解だったように思います。


父との確執からワインを受け入れなかった雫が、
初めて飲むようになる過程、というのも、
かなり速足ではあったものの、きちんと描かれていました。
そのきっかけとなる綿貫父娘(益岡徹本仮屋ユイカ)のエピソードは、
もうちょっと丁寧に描いて欲しいところでしたが、
そこにたっぷり時間を掛けてしまうと、
「雫vs一青」という このドラマの背骨になる部分を
しっかり描く時間が取れない、
(つまり、そこがこのドラマのメインである)と言う判断があって、
あっさりとしたものになってしまったのかもしれません。
(益岡・本仮屋使ってあれだけってのはもったいない!とは思ったけど)


月下の棋士』(ドラマ)を観た時に、
将棋が、格闘技のように白熱したバトルとして表現されていて
驚いたのですが、
果たしてワインもまた、バトルの素材として
ドラマを盛り上げることが出来るものなのかどうか、興味があるし、
脚本・演出・出演者が、ワインという媒体を通して、
ドラマを白熱した面白いものに出来るかどうか、というのも、
興味深いところです。


こういう現実味の薄いドラマ(特に漫画原作などの)というのは、
作り手が、いかに恥ずかしげもなく厚顔に大胆に
ドラマの世界観・空気感を作って行くか、
というのがとても大事なんじゃないか、と思う。
だけど、そういう性質のドラマだと、
すべての人に愛されたり、認められたり、というのは、なかなか難しい、
とも思うのですよね。
視聴率だとかブログの評判だとか、
そんな周りの雑音は軽い参考程度に受け流して、
何よりもまず、自分たちが面白いと思える、
そして、今回このドラマを面白いと思った視聴者が、より面白いと思える、
そういうドラマ作りをして行って欲しい、と切に願ってます。
このままの勢い、スピード感、空気感で、最後まで突っ走って行ったら、
いずれ熱狂的(いい意味でコア)なファンがつくようになる気が
するんだけどな。(すでにそうなりつつある私。笑)


気になったこと。
CGをもうちょっと効果的に使うことは出来ないだろうか。



★出演者について――――――
・神咲雫(亀梨和也
(注・以下は、あくまで妄想過多の私個人としての感覚です、あしからず)
亀梨くんって、身体内のどこかに、孤立感というか、浮遊感というか、
そういうものを抱えてる人のように私には見えるんだけど、
そう感じられるとしたら、
それは「神咲雫を演じている」からなのでしょうか。
うーん、私はどうも、亀梨くん自身が持っているものなのかなぁ、
という気がしてならないんだけれども。

で、そういう部分が、今回の雫役では、すごく効いている気がする。
自分の居場所が見出せない、というか、
本来の場所にまだ着地していない、というか。
それって、原作の神咲雫にはない部分のような気がするし、
だからこそ、雫という役が、
ドラマの中で新しい息遣いをし始めたように思えて、
私はすごくドキドキワクワクしたし、
私個人の好みで言えば、原作よりも断然魅力的に思えました。


いや〜、なんかほんとに嬉しくてしょうがない、
そういう亀梨・雫の前に立ちふさがるのが、
田辺誠一演じる遠峰一青であることが。(笑)


・紫野原みやび(仲里依紗
で、そういうフワフワ浮遊中の亀梨・雫のとなりで、
しっかりと大地に根ざしたような、ひまわりのような仲・みやびが、
これまた原作とはまったく違うんだけど、すごくいい感じで、
今のところ、恋愛には発展しなさそうな二人に見えて、
それも私好みだったりするんだけど。(笑)
雫が本来の居場所を見つけるまで、
このまま雫を引っ張って行って欲しいです。


・土肥ロベール(竹中直人
いつもの竹中風おちゃらけキャラを70%ぐらいで止めてる
ような感じ。絶妙。
豊多香や霧生との真面目なシーンもいい。


・西園寺マキ(内田有紀
うーん、この役が一番原作と替えてあるんだけど。
まだどっちに転んで行くのかまったく読めない。でも、だから興味津々。
どっちかと言ったら、戸田菜穂さんがやるのかな、と思っていたんですが。
内田さんの可愛らしさって
ローランに通じるものがあるような気もするので、
ローラン的要素も加わったら面白いんじゃないかなぁ。


・霧生涼子(戸田菜穂
神の雫」の秘密を探ろうと、一青が彼女を落としに掛かる・・
って展開にはならないよね〜(笑)
秘書だけで終わらすのもったいない気がするんだけど。


・藤枝史郎(辰巳琢郎
ソフトな語り口や佇(たたず)まいが、私のツボに入りまくり。(笑)


・神咲豊多香(古谷一行
威厳だけでない、どこかに弱さがある感じ。
その弱さは、雫にも(たぶん一青にも)繋がってるのかも。
だからこそ、豊多香は、二人に「使徒」と「神の雫」を託したのかな、と。


・会社の面々(升毅田口浩正ら)やセーラ(佐々木希)は、
今回はまだ顔見せだけ。
亀梨・雫や田辺・一青にどうからんで来るか、これからが楽しみ。


・遠峰一青(田辺誠一
まさか‘ここ’に戻って来てくれるとは思ってなかったので、
この役をやると知った時は、本当に嬉しかった反面、
大丈夫か!?って気がしたのも確か。(笑)
今や、鈴木(ハッピーフライト)が、田辺誠一に対する世間の認識。
沢木(サイコメトラーEIJI)や速水(ガラスの仮面)や
滝川(月下の棋士)の頃に還(かえ)るような役を、今さらやれるんだろうか、
漫画原作という思い切った虚構の世界に、今さら馴染めるんだろうか、と。


だけど、それはまったくの杞憂(きゆう)でした。
ビジュアルも含め、作り方として一番近いのは滝川だろうけど、
あれから10年近くも経てば、さすがに役へのアプローチも揺らぎなく、
格段に深くもなっていて、
何するにも余裕しゃくしゃくの田辺・一青の一挙手一投足に、
こっちも余裕で大受けしまくってました。(笑)


(最近この感じを味わったなぁ、と考えてて思い出した
デスノート』の松山ケンイチ
Lのビジュアル、動き、仕草、話し方等々の、あの徹底的な作り方、
というのは、今回の田辺さんの一青に似ている気がする)


原作が漫画だと、登場人物のビジュアルがはっきりしているし、
そのルックスが大好きだという熱狂的なファンも多いので、
実写化で納得してもらうのはなかなか難しいんだけど、
田辺さんは、そういうところを軽々と飛び越えて、
さらに、その性格から判断して、
動きや話し方を詳細に作り込んで来るので、
いつのまにか納得させられてしまうんですよね。
私みたいに「俳優が役を作る」のを観るのが大好きな人間としては、
もう、そういう田辺さんを観るのが
嬉しくて楽しくてしょうがないわけで。(笑)


しかも、「見た目」は限りなく漫画に近いのに、
内面はまったく違う田辺オリジナルになっちゃってたり。(笑)


今回の遠峰一青も、
おそらく漫画とは違った人物像になって行くような気がします。
滝川の時は、ライバル・氷室(森田剛)と対等、って感じだったけど、
亀梨・雫に対する田辺・一青は、
漫画以上に年齢差がある(笑)ということもあって、
完全に「胸を貸す」という感じ。
その「大人」な部分と、一青自身が持つドラマチックな「闇」とを、
ひとりの人間の中にどう共存させて行くか・・・
徐々に解かれて行く一青の過去を、どう表現して行くか・・・
興味は尽きません。


それにしても・・・
亀梨和也vs田辺誠一、というのは、神咲雫vs遠峰一青 同様、
私にとって、すご〜く心ときめく顔合わせになりそう。
初回の亀梨くんを観て、そう思った。
田辺さんって、何でこうジャニーズの子と相性がいいんだろう?(笑)