『風林火山』(第14回)感想

風林火山』(第14回)感想
12・13話とおちついた凪状態だったのですが、
今回、少しだけ、物語が動いたように感じられたのは、
ついに<風林火山>の旗がお披露目となったからでしょうか。


真田幸隆佐々木蔵之介)の進言もあり、
信濃に攻め入った上杉憲政ですが、
諏訪頼重小日向文世)と早々に和睦、
頼重は、武田を出し抜いて事を進めたことに満足し、
武田晴信市川亀治郎)を侮(あなど)るような態度を見せ始めます。


その諏訪に、即刻攻め入ろうと進言する
甘利(竜雷太)と飯富(金田明夫)。
しかし、国力の充実を第一に考える晴信は、
妹・禰々(桜井幸子)の嫁ぎ先でもある諏訪を攻めることに
躊躇(ちゅうちょ)している様子。
そこですかさず勘助(内野聖陽)が、
「戦わずして勝つ」――すなわち、諏訪と和議を結ぶ策をレクチャー。
これが、実は、晴信の深慮を見抜き、
心中を察して代弁したものであることに気づく、
板垣(千葉真一)と小山田信有(田辺誠一)。


うーん、何となく、
勘助に対する武田家臣団の色分けが出来てきたような気がします。

以後、勘助は、晴信と一緒にお風呂に入って、
「御館様の目が好き」なんてことを告って「ばーか!」なんて言われたり、
(後半に源五郎が召抱えられるというシーンがあるので、
予防線を張ったかな。笑)
かと思えば、教来石景政(高橋和也)とともに、
高遠頼継(上杉祥三)の前で、漫才まがいの仲間割れを演じたり、
とにかく明るく(笑)動き回ります。
(ちょっとしたところで笑いを取る内野さんのセンスには、
毎回脱帽させられます〜笑)


で、またも偶然(いったい何度目や!)に
平蔵(佐藤隆太)と出逢った勘助は、
彼とヒサ(水川あさみ)との間に、
ひっそりと恋が芽生えているのを知ります。
このあたり、
信虎追放の役を勘助に負わせたことで、ミツへの想いを切らせたように、
平蔵にも、新しい恋が芽生え、
ミツへの気持ちが自然に切り替えられている、という、
それぞれの「ミツへの決別」が、さりげなく描かれていたように思います。


それにしても、平蔵とヒサの、身分違いの秘めた恋、というのは、
もう、めちゃくちゃ私のツボでした。(笑)
ヒサと父・矢崎十吾郎(岡本諦)の会話を、窓の下で聞いている平蔵は、
観ていて本当に切なかった。

そうなんだよなぁ、こういう 耐え忍ぶ気持ちを内に秘めるような役、
実は、隆太くんに向いてるんだよなぁ。
この人が持つ、明るさと暗さの絶妙なバランスを、
この役は、うまく掬(すく)い取ってくれている気がする・・・
なんてことを感じたのは、荻野(@熊沢パンキース03)以来だわ。(笑)


平蔵とヒサの恋が、
やがて勘助の由布姫への秘めた恋にシンクロして行くのでしょうか。
けれど、御神渡りを見に行って
初めて由布姫(柴本幸)に出逢った勘助には、
まだ、それほど心を動かされた様子はなく、
おそらく、実際に会って、言葉をかわし、その人となりに触れたところで、
次第に魅了されて行くのかもしれません。


あれこれ根回しを済ませて甲斐に戻ってみたら、
源五郎田中幸太朗)が武田に召抱えられていて、唖然とする勘助。(笑)
俺なんて、晴信さまに取り立てられるまで何年掛かったと思ってんだよ、
なのにおまえは・・!っていうような嫉妬まじりの気持ちありあり。(笑)


この源五郎が、のちの香坂(高坂)弾正。
まぁ、やおい好きの腐女子(と言うらしい)には、大受けの存在、
なんでしょうが、
少なくとも今回、私はそういうニュアンスを感じなかったです。
だって、源五郎(を演じている田中幸太朗くん)ったら、
ほんとにかわいいし、利発そうだし、
しかもネチネチしてなくてさわやかだし、
晴信ばかりじゃなく、「こいつを召抱えたい」ってみんなが思うような、
みんなが好きになっちゃいそうなキャラなんだもん。(笑)


勘助仕官以後の、小山田信有(田辺誠一)の立ち位置も、
なんとなく見えてきた気がします。
しばらくの間は、勘助と反目しあう立場になるのかな、と思ったのですが、
わりとすんなり勘助の力量を認めてしまったので、
正直、ちょっと肩透かしをくらった気がしないでもありません。
(勘助vs信有=朝まで大激論!なんて場面も観たかったからさ。笑)


でも、よくよく考えたら、信有は、
親の代の戦で信虎に勝利していたら、
今の晴信の立場にいたかもしれないわけで、
そういう意味では、心中、ライバルとして見据えていたのは、
軍師という立場の勘助ではなく、国主としての晴信以外にいなかった、
だから、勘助の力量をいち早く見抜いた今、
晴信が彼をどう使いこなすかを冷静に見つめているところなのだ、
という感じもしました。


信有を演じている田辺さん。
評定の場に頼重出陣の報が届けられるシーン、
あいかわらずひとりだけ反応が早くて、嬉しい。(笑)
大井夫人(風吹ジュン)のところに家臣団のひとりとして押しかけた時も、
後で板垣がやって来た時、斜め後ろの板垣に対して軽く頭を下げる、
その時の背筋のピンと張った様子、頭を下げる角度、が、申し分なくて、
武士としてのキリッとした空気をうまくまとっている感じがしました。
以前だと、そのあたり、どうも弱々しい印象があったのですが、
さまざまな経験を踏んで、今、
ようやくそういうことが出来るようになったんだろうな、
という気がします。

それでもまだ、完璧というわけではなく、
どこまで行っても発展途上、と感じさせるあたり・・
これから吸収されるものが、まだまだいっぱいありそうなあたり・・が、
私がこの俳優さんを飽くことなく追い続ける
原動力にもなっているのですが。(笑)