田辺誠一さんに演じて欲しい役 武田健一/健一の義父 @『ステップ』 重松清:著
30歳で妻(朋子)を亡くした健一と、その娘・美紀が、
その後10年間(健一30歳〜40歳、美紀2歳〜12歳)に渡って
少しずつステップを重ねて行く物語。
ドラマチックな出来事は何も起こらない、
父娘の日常のさりげない会話や行動、周囲の人々との交流、等々を通し、
妻(母親)の死を、10年間の月日をかけてゆっくりと受け入れて行く様子が、
自然と優しく伝わって来るような、淡々とした穏やかな物語。
健一には、弱いところも、物足りないところも、
たくさんあるのだけれども、
美紀の成長と共に、彼自身もまた、少しずつ成長して行く・・
まぁ、何となく歯ごたえがない部分や、
素直に感情移入出来ないところも、あるにはあるけれど、
特に後半の、
美紀が大人びた一面を見せるようになってからの健一とのやりとりや、
この父娘と周囲との感情の重ね方がとても良くて、
つねづね、田辺さんに「父娘の物語」をやって欲しい、
と思っている身としては、
ぜひ観てみたい題材のように感じられました。
田辺さんが、健一の、妻を失った喪失感や、
その哀しみを受け入れながら父親らしくなって行く様子、
その時々の美紀との距離感や、
周囲の人とのハーモニーのようなもの、を、
どんなふうに演じてくれるのか、が楽しみで。
後半、健一が再婚することになるだろう相手
というのも出て来るんですが、
実はその部分は、私はあまり興味を惹かれなくて、
むしろ、朋子の両親や兄夫婦との交流の方が、ずっと心に残りました。
中でも、特に、義父(朋子の父)とのやりとりの中に、
最愛の妻と最愛の娘を失った者同士の、
同じ女性を想う 一種ライバルとも受け取れるような関係性や、
不思議な連帯感のようなものが浮び上がって来て、興味深かったです。
で、健一ももちろんなんですが、実は、この義父の方も、
田辺さんが70歳ぐらいになったら、ぜひ演じて欲しいなぁ、とw。
ん〜、どう言ったらいいだろう・・
私は、田辺さんに、
心のどこかに、いつまでも、純粋さや、一途さや、豊かな愛情を秘めた、
いくら年齢を重ねても枯れない瑞々しさを内包し続けている男性・・
を、演じて欲しいのかもしれません。(自己分析w)
- 作者: 重松清
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