地道・・(中国四川省の大地震)

地道・・
――すみません、時事については書かないようにしよう、と思っているのですが、少しだけ。

むかし『キツイ奴ら』という久世光彦さん演出のドラマがあったのですが
そこに登場する主人公・吾郎(小林薫さん)の口癖が「地道」でした。

なぜ今そんなことを思い出したかというと、
中国四川省の大地震で、一番ひどく、それこそ跡形もなく崩壊したのが、
学校等の公共施設だった、というニュースを観て、
何とも言えない苦々しい気分になったから。

公共施設というのは、本来なら、こういう災害の時に、
避難場所にならなければならないはずなのに、
「おから建築」といわれるような手抜き工事が行なわれていたために、
ほとんど崩れてしまったのだと。


役人が工事費の中から多額の賄賂を受け取り、労働者の賃金が削られる、
怒った労働者が手抜き工事をする――
どうなっているのでしょうね、この役人のモラルのなさと悲惨な悪循環は。
手っ取り早く大金を手に入れる、そのためには手段を選ばない、
他人を騙したり犠牲にすることなど平気。

役人ばかりじゃない、
現代の風潮として、全体的にそんな空気が蔓延(はびこ)ってしまっている
ような気がして仕方ありません。


中国ばかりじゃない、日本でも・・
何だか最近、地道に働いて、地道にお金をもらう、
そういう普通の、当たり前のことを、忘れている人が多過ぎると思う。


少しでも楽に、簡単に稼ぐ、
そんなふうに要領よく生きることが「勝つ人生」であるのなら、
別に勝たなくてもいいじゃないか、と思う。

地道に、汗水流して一生懸命働く、
心を配り、手を尽くし、出来る限りのことをする、
そうやって働いて汗で汚れた手の上に乗せられるお金こそ尊い
なんていうのは、もうイマドキの考えじゃないのでしょうか・・・