今さら『坂の途中の家』感想

昨年(2019)4月-6月、毎週土曜 22:00から WOWOW連続ドラマW枠で放送された全6回のドラマ。今さらながらの感想です。

WOWOWならでは、の非常に重厚で奥深いドラマ。
「彼女は‥私です」という終盤の里沙子の台詞を、私は、まるで自分がつぶやいたように感じました。

角田光代さんの原作は未読。
私が彼女の映像化作品を観たのは『紙の月』(映画)に次いで二度目ですが、どちらの作品も、逃げ場のない世界に閉じ込められた人間の息苦しさを しっかりと描き切っていて、非常に見ごたえがありました。

特にこの作品は、被告の安藤水穂(水野美紀)と境遇が似ている山咲里沙子(柴咲コウ)はもちろん、子供を授かりたいと願っているけれど不妊に悩み半ば諦めかけている女性誌編集長・芳賀六実(伊藤歩)、裕福な実家の生活が忘れられず子供にお金をかけることに夢中になる妻を止められない会社員・山田和貴(松澤匠)、共働きで子育てしながらキャリアを目指す裁判官・松下朝子(桜井ユキ)ら、裁判に関わった登場人物それぞれの日常を被告人に絡(から)めて行くことで 事件をいろいろな方向から多角的に捉えることに成功していて、本当に隙(すき)がない。
息をつめて観ていて息苦しくなったこと何度か。続けて観るのはつらいんだけど、観ないではいられない、観る者の眼を惹き付けて離さない、その吸引力(引き寄せる力)が凄かったです。

生後8ヶ月の赤ちゃんを死なせた母親。その事件の補充裁判員に選ばれた女性が、裁判を通じて、自分の中に封じ込めていた過去や今現在のさまざまな問題と向き合って行くのですが‥

はじめはすごく良い家族に見えた。子育てや家事を丁寧にこなす専業主婦の里沙子、妻を支え子供にも優しく接する夫・陽一郎(田辺誠一)、聞き分けのいい3歳の娘・文香(松本笑花)‥しかし、裁判が進むにつれ、薄皮を剥(は)ぐように、そんな「幸せな家族」が抱えている問題が 私たちの前に少しずつ暴(あば)かれるようになります。
自分の子育てと 周囲の人たちのやり方が どうしても合わない、何とか自分のやり方を通そうとするのですが、そうすればするほど、いろいろな問題が里沙子にのしかかって、やがてそれが被告人・安藤水穂の立場と被(かぶ)って見えて来る‥まるで事件に至るまでの水穂の気持ちをなぞるように 徐々に追い詰められて行く里沙子の姿を観るのは 本当に切なかった。

陽一郎は子育てにも理解を示し、姑・里子(風吹ジュン)も何くれとなく手助けしてくれる、なのに、里沙子の孤立はどんどん深まる。なぜか‥
陽一郎の言葉はいつも少しキツいんですよね。毒が潜んでいる、と言ったらいいか。
わがままを言う娘・文香をちょっとのあいだ路上に一人きりにする、確かにそれはかなり危なっかしいことではあるけれど、洋一郎が里沙子に言った「幼児虐待」というのとはちょっと違うだろう、と。
さらに、里沙子がストレスから毎日ビールを飲むようになるのを「アル中」と言ったのにも引っ掛かった。だって、陽一郎だって毎日ビール飲んでるのに、なぜ里沙子だけアル中ってことになってしまうのか、なぜ男の人は毎晩飲んでも問題ないのに、女性(母親)は同じことをしてもアル中って言われてしまうのか。‥そのあたりから、どんどん引っ掛かることが増えて行く。
思えば、過去、「仕事をしたい」と陽一郎に言っても、里子が専業主婦でなにくれと面倒を見てもらった陽一郎は、それが母親の正しい姿だと思っているので、耳を貸さないことがあった。自分がこうしたいと思っても、本当の意味で救いの手を伸ばしてくれない、それがずっと続いていたことを思い出す。
里沙子が裁判で出掛けているあいだ文香を預かってくれている里子が、イヤイヤ期ど真ん中の文香を甘やかしてやりたい放題させていることにもストレスはたまる。
何かあると、陽一郎から里子に(あるいは里子から陽一郎に)速攻で連絡が行くのもしんどい。
それでも、何とか自分の気持ちに折り合いをつけて、やっと少し落ち着いてきたかと思うと、すかさず陽一郎は同僚を家に連れて行くと言い、里沙子が自分たちの分しか料理がないと言うと、簡単なのでいいから、おふくろから10分レシピもらっただろ、1時間ぐらいで帰るから‥って、おい!
これねぇ、陽一郎のどこが悪いの?と思っている人も多いのかもしれない、里沙子に対する言葉に少しトゲがあるだけで。
でもその「少しだけ」が積もり積もって常に里沙子の心に刺さり、きつい状態が積み重なって、どんどん精神的に追い詰められて行く‥ああもう(陽一郎を演じている)田辺さんのファンなのに腹立つったらない!

そうやって、観る側にも いつのまにか里沙子と同じような鬱屈(うっくつ)や痛みが蓄積されて行く、それは、妻として女性として少なからず里沙子と同じような経験をしたことがあるから、だから共感し共鳴するんだと思う、重い息苦しさと共に。

う~ん、だけど‥
二度目に観た時には、ちょっと違った捉え方をしている自分がいたのも事実で‥
陽一郎は、里沙子への言動には問題があっても、文香に対してはとても優しいし、世話も焼くし、食べ物をこぼしたときに雑巾を持って来させて自分で片付けさせたり、ジュース買ってと言われて 飲むのは家に帰ってからな、と諭(さと)すことが出来る、いいお父さんでもあるんですよね。 もしかしたら、里沙子のように厳しくしつけなくとも、文香はイヤイヤ期をスムーズに乗り切れるのかもしれない、ひょっとしたら陽一郎が100%悪いとも言い切れないんじゃないか、と。
誰かだけが100%正しくて あとはみんなゼロ、なんじゃない、みんなそれぞれ正しいところがあり、間違っているところもある、そこが悩ましいところなんですよね。

で、ふと、里沙子たちが結婚してすぐ住んだ 坂の途中の家(アパート)で生活していた時のことを考える。そこで文香を出産し、世話をしていた里沙子は、どういう生活をしていたのか‥その時期のことを自分の内で封印してしまうほどのどんなことがあったのか‥その時 陽一郎は里沙子にどんな言葉をかけたのか‥母乳が出なくて姑にいろいろ言われた、ということぐらいで、詳しくは描かれていないんだけど、だからこそいろいろ想像し、考えさせられました。

ママ友の篠田さかえ(酒井美紀)のように、深刻に考え過ぎず、甘え上手で、物事をサラリと受け流せる人もあれば、里沙子や水穂のように、生真面目で、何でも自分の内に抱え込んで、もっとしっかりしなければ、もっと頑張らなければ、と自分に強いてしまう、そんなふうにしか生きられない人もいる。
いい母親だと思われたい、とか、順調に何の間違いもなく子育てしていると見られたい、とか、どこかでちょっとした見栄や虚勢心が働くのも、当たり前の事だし‥
妻として母親として、は もとより、人間としてどうすればいいか、ということの正解はない。だから、難しいな、と思うし、だから、悩んだり迷ったりしてしまうし、だからこそ、自分で考えることを諦(あきら)めて、誰かの言いなりになってしまったりもする‥でも、結局はそのことが自分の枷(かせ)になってしまう、ということもあるのかもしれないなぁ、と‥
「自分を否定せずに子育てするのは難しいですよね」
「自分じゃない誰かの常識にとらわれて生きるのはつらいですね」という言葉のように。

陽一郎は、里沙子が家を出るのを止めようとして「あなたはどうして私に悪意を持つの?」と言われ、はじめて自分の言動が何かしら里沙子の気持ちに圧(の)し掛かっていることを知り、さらに児童福祉司の新庄(西田尚美)からはっきりとモラハラモラルハラスメントと言われて、やっと里沙子の言葉の意味を真剣に考え始めます。
一方、家を出た里沙子は、ホテルに訪ねて来た実母・富路子(高畑淳子)に対し、私が離れて行くのが怖かったから いつまでも可愛そうな子供のままでいさせたかったの?と尋ね、富路子は答えられずにその場を去ります。

相手を支配することで自分の腕から出て行かないようにする、そういう愛し方しか出来ない人がいる‥里沙子は母親の心情を思い測ることで、ギリギリのところで自分を押さえつけていたものを吹っ切ることが出来、もう一度裁判所に向かいます。
里沙子だけでなく、六実も、和貴も、朝子も、それぞれに収束への道を見出して行くここからの展開が、ちょっと切ないながらも、それぞれの新たな一歩を踏み出すことに繋がっていて、肩に力が入ったまま画面に釘付けになっていた私は、やっと少し息をつくことが出来ました。

「子供がいる人生といない人生、お互いに想像し合えたら、もう少しだけ楽になれるのかもね」職場や公園で心痛める出来事が重なったにもかかわらず(いや、だからこそ?) 里沙子に対してそう言えるまでになった六実も‥
「君の言う不自由とか豊かさっていうのはどうしたってお金でしか測れないもんなのかな。これがあるからこの子は幸せだって言えるものを、お金じゃなくて、品物じゃなくて、俺たちが与えてやることは無理なのかな、もう一度二人で‥」と妻に電話した和貴も‥
「私仕事辞めようと思っていたんです。でも今日の青沼さんの判決を聞いてやっぱり続けたくなりました。福岡へ行きます、子供も連れて」と言ってキャリアへの道を踏み出した朝子も‥

カラッと日本晴れ、みたいな展開にはならない、だからこそ 観終わってからもあれこれ考え続けることを止めることが出来ません。
現実に起こるさまざまな幼児がらみの事件を聞くにつれ、特に今の日本は、子供の命の重さをややもすると母親だけに背負わせてしまいがちな社会になってしまっているんじゃないか‥ 父親も、周囲の家族も、社会全体も(ひょっとしたら母親自身も)、子供一人一人が開かれた社会の住人なのだということを認識していないことも多い、だから、もう少し母親と子供に対してみんなが想像力を働かせてあげられたら‥
そして、もっとも大事なことは‥

「母親はいつでも救済されるべき立場ですか。一番に救済されるべきは子供です」
という青沼裁判長(利重剛)の言葉なのだ、と改めて感じました。

「判決。懲役10年。母親として被害者を守るべき立場にありながら、被害者を生後8ヶ月という短さでこの世を去らせてしまった責任は重大であると言わざるを得ない。しかしながら、初めての育児で戸惑っている中、周囲の人の言葉、心ない言動にさらに自信をなくしてしまったこと、誰にも助けてもらうことが出来なかったことや、助けを呼ぶことも出来なかったことは、事実としては否定出来ない。
被告人の罪は被告人一人によってなされたものではあるが、その根本的な理由については、本件に関係する夫や義理の母といった家族を含めたすべての人間のさまざまな事情が重なり合い、それらが一手に被告人に対する大きな心理的圧力になってしまったと見るべきである。その意味においては被告人にとっては避けようのない行為だったとも言え、そのすべての責任を被告人一人に背負わせるのは必ずしも妥当ではない。本来であれば、関係するすべての人間がこれを分かち合うべきものであると裁判所は思慮します」
青沼裁判長の言葉を聞いて、初めて嗚咽(おえつ)を漏らす水穂。今まで法廷では一言も言葉を発しない、泣きもしない、すべての感情を殺して来た、それが彼女なりの罪の償い方であり 周囲の人たちへの抗議でもあったのかもしれない、ようやくそこから解き放たれた、という気がしました。

裁判が終わり、裁判所に向かってさよならとつぶやく里沙子。
彼女に駆け寄る文香。そして陽一郎。
この時 陽一郎は里沙子に何と言ったのか、二人はどんなことを話したのか‥
「家族の物語」はこれで終わりじゃない、これからも続いて行くんだなぁ、と、厳しい気持ちとやわらかな気持ちとその両方で二人の姿を観ている自分がいました。


重苦しい始まりから、甘いだけじゃない少し苦味を含んだ余韻の残るラストまで、少しの緩(ゆる)みもない素晴らしいドラマでした。
原作を徹底的に読み込み、そこからさらに物語の本質に踏み込んだと思われる脚本(篠﨑絵里子)にも、それを的確に映像化した演出(森ガキ侑大)にも、すごく惹かれました。
映像の美しさ。雄弁さ。これには本当に参ってしまった。
周囲の人たちのインタビューが実は水穂のことではなく里沙子の事だった、というミスリードがピリッと効いていたし(特に美千花(滝沢沙織)の言葉には 何となく悪気(わるぎ)を感じて、後に陽一郎が相談していた大学時代の友人だと知ってゾクッとした)、水穂と義母(倍賞美津子)のやり取りが水穂寄りと義母寄りの両方描かれる、どちらが実際のことなのか、とか、舅(光石研)が考えた手立ての一つが結果的に里沙子を救うことになったのは偶然だったのかどうか、とか、陽一郎の同窓会のハガキは本当に最初から冷蔵庫に貼ってあったのか、とか、坂の途中にあるアパートでの生活はどんなものだったのか、とか、観ていて読み切れない部分もいろいろあったのですが、それをあえて分かりやすく丁寧に描き込み過ぎない、けっして親切じゃないところも良かったです。
妄想過多気味で、ついあれこれ深読みしたくなる私としては、好き勝手に読み解く楽しさが思う存分味わえた、幸せなドラマでした。


出演者について。
演じる俳優さんも、みなさん、役に対して誠実に丁寧に演じていた印象が強く、どの役も、演じ過ぎず、出過ぎない、その程良い加減が心地良かったです。

柴咲コウさん(山咲里沙子)
柴咲さんが持つ 一種のほの暗さみたいなものが、里沙子にぴったりだと思いました。 魅力的でもある眼差しの強さをすんなりと封印して、どこか自信なさげで、でも突っ張らないと自分の弱さに負けてしまうから頑張っている、そんな里沙子を力まずに演じていて、観ていて何の引っ掛かりもわだかまりもなくスーッと心に入り込んで来る感じがして、里沙子が自分の性格に近かったこともあって、感情移入しまくりました。

水野美紀さん(安藤水穂)
回想で、同じ場面の夫や姑や実母とのやり取りが、姑たち目線と水穂目線の二種類演じられるのですが、それが本当に微妙なところの変化だけなのにすごく伝わるものがあって良かった。どちらが正解かではなくて、受け取る側によって同じ言葉でも正反対に感じられることってあるよなぁ、と。
水野さんは私の中で、スカッとかっこいいイメージがある(いまだに円道寺きなこ(@恋人はスナイパーの印象が抜けきらない)のですが、今回はそういう部分はまったく出て来なくて、裁判や回想の中の水穂のあまり表情を変えない顔と、終盤、海辺で里沙子と愚痴を言い合う、その清(すが)しい笑顔との対比に、水野さんの 水穂を演じる姿勢 みたいなものが透けて見えたような気がしました。

風吹ジュンさん(山咲里子)/倍賞美津子さん(安藤邦枝)/高畑淳子さん(三沢富路子)/長谷川稀世さん(安田則子)
母4人‥ですね。実は、私の年齢からすると、里沙子よりこちらの方がずっと近いw。
だからなのかどうか、「嫁はこうあるべき、母親はこうあるべき、姑はこうあるべき」という昔からのあるべき姿に囚(とら)われてしまい、自分のやり方を曲げられない彼女たちに対して、簡単に、嫌い、とは言い切れなかった。
里子の良かれと思ってつい口出ししてしまう気持ちも、富路子の子供を束縛したい気持ちも、邦枝の嫁に対する憤(いきどお)りも、すごく良くわかる。自分の長年の苦労や辛抱やそれを乗り越えて来た自負心があるから、子供世代との違いをすんなり受け入れられない。そのあたりのリアリティがガンガン響いて来て、年齢が近いからなおのこと、確かにこの人たちの言葉は苦しくてつらい気持ちしか抱くことの出来ない身勝手なものかもしれないけれど、そのすべてを否定することもまた出来ない気がしました。
風吹さんのまとわりつくような重い優しさ、倍賞さんの激しさ、高畑さんのひんやりした空気感、長谷川さんの自信なさげな雰囲気‥それぞれ絶品でした。

光石研さん(山咲和彦)
陽一郎の父(里沙子の舅(しゅうと)ですが、家のことはすべて里子に任せっきりで、な~んにもしない。いるよなぁこういう人。(苦笑)
でも、里沙子がつらい時に「頑張ってるよ」と言ってくれて。この一言で救われた、と思ったら、そこから転げ落ちるように、この人のツテで精神科に連れて行かれたり児童福祉司が訪ねて来たりして、里沙子はどん底に‥
たまに動いたと思ったら、ますます悪い方に行っちゃったじゃないか~と思ったんですが、その児童福祉司が結果的に里沙子を救うことになるんですよね。
‥で、結局どんな人なのかよく分からないw。でも、分からなくて正解なような気もします。設定は70歳前後だと思うのですが、威厳ある感じじゃないし、重みをあまり感じない、少しだけ浮いた感じが、すごく説得力があったように思います。
光石さんが田辺さんのお父さんかぁ‥とちょっと感慨深かったですが、違和感まったくなかったですね。

伊藤歩さん(芳賀六実)
六実を描くことで、この事件を違った角度から見ることが出来、事件の深さがより浮かび上がって来たように思います。仕事をバリバリこなしながら、子供が欲しい想いが募る。そういう彼女にとって、水穂のしたことは絶対に許せない。一方で、部下の心ない言葉に傷ついたり、公園で知り合った少女の母親に罵倒を浴びせられたり、つらい想いもする。伊藤さんは、その、凛とした部分とやわらかな部分のバランスがすごく良かったです。

桜井ユキさん(松下朝子)
時々心配げに里沙子を見る、この人のまなざしが好きでした。
桜井さんの名前だけは知っていたのですが、ちゃんと認識して観たのは今回が初めて。今後いろいろな役がまわって来そうで楽しみ。

西田尚美さん(児童福祉司・新庄)
この人が結果的に里沙子の封印を解いてくれたと言っていいんじゃないでしょうか。児童福祉司というのは子供の問題だけを扱うんだと思っていたのですが、考えてみれば、児童の問題は、ほぼ親の問題でもあるんだよなぁ。
西田さんは本当にいろんな役をやる人で、ひそかに女田辺と呼びたいぐらいなんですがw、今回の新庄は、仕事に全力ゆえに上司に煙たがられてる、だけど、だからこそ当事者の真の痛みに辿り着ける‥まるで少年のような純粋さで一直線に相手の心に向かって行く感じが、すごく役に合っていたように思います。

田辺誠一さん(山咲洋一郎)
『紙の月』でも思った事ですが、こういう役をやると本当に憎たらしい。でも、いかにも憎々しい、っていうんじゃなくて、うまく言葉に出来ないくらいほんの少しだけ嫌な気持ちにさせられるんですよね。それが少しずつ積み重ねられて行く。だからなおのこと観ていてイライラさせられる‥のは、制作側と田辺さんの思うツボにはまってる、ってことなんでしょうね。
本来なら、もうちょっと若い俳優さんに当てられる役だったんじゃないかと思うのですが、田辺さんでドンピシャリ。陽一郎の徐々に圧し掛かってくるような あの息苦しくなるような 自覚ない悪意は、田辺さんだからこそ出せた空気感だった気がします。
普段はノホホ~ンとした感じの人(あくまで私個人のイメージですがw)なのに、役によって本当にイメージが変わる。それは、役に対する読み込みの深さ(『由利麟太郎』の脚本の付箋の多さったら!)だったり、想像力の豊かさによるものなんじゃないか、と、だから、こんなにも幅広く、いろんなジャンルの役のオファーがあるんだろうな、と(いつもながらの甘々~なファン目線ですがw)、ドラマを観終わった後、改めてそんなことを考えました。



連続ドラマW『坂の途中の家』
放送:2019年4月27日 - 6月1日 毎週土曜22:00 - 全6回 WOWOW
原作:角田光代 脚本:篠﨑絵里子 監督:森ガキ侑大
音楽 :山口由馬 エンディング MuseK「silence」
プロデューサー:岡野真紀子 黒沢淳 金澤友也
製作:WOWOW テレパック
出演:柴咲コウ 田辺誠一 
伊藤歩 眞島秀和 桜井ユキ 松澤匠 松本笑花
西田尚美 倍賞美津子 高畑淳子 佐藤めぐみ 滝沢沙織 利重剛 酒井美紀
光石研 風吹ジュン 水野美紀 他
公式サイト