今さら『斉木楠雄のΨ難』感想

2017年10月に公開された映画。今さらながらの感想です。

ひたすらくだらなくってバカバカしい映画です…いやいや、決して けなしてるんじゃなくてですねw
何だろう、今迄こういう系統の映画やらドラマやら舞台やらをいくつか観て来たんですが、こんなにも重みのない、毒気のない、しかも無理矢理笑わせようとする痛々しさの感じられない作品は、少なくとも私が観た中にはほとんどなかったような気がする。(ずっと思い出そうとしてるんだけど記憶にない)
少年マンガ的 熱い友情とか根性とか努力とか汗・涙ともほぼ無縁。 まともに心に響くものは皆無。観る側に何かを深く考えさせるような隠れたメッセージとか、笑いの奥に潜む闇とか毒とかが まったくなくて、ただ今この一瞬を笑い倒すだけ。 だから、くだらなくってバカバカしい、ってのは、賛辞と思ってもらっていい。
そういう映画だから、観た後の(普通の映画のような)満足感とか充足感というのはほとんどなくて、すごくサラ~ッとしてる、それを物足りないと思う人もいるかもしれないけど、私は、これはこれで楽しみました。

タイトルロールの山﨑賢人さんの淡々とした揺るぎなさとか、橋本環奈さんの思い切った顔芸とか、賀来賢人さんの笑わせどころにたっぷり余裕のある感じとか、吉沢亮さんの何やっても無駄にカッコイイところとか(このキャラが一番好き)、新井浩文さん、笠原秀幸さんにしても、かなりメチャクチャなこの世界感にうまく乗っかって、体当たりで(でも いささかの恥じらいも感じさせながら)演じている、それが、観る側に、爆笑じゃなく、「は‥はは~」といった脱力感を含んだ背伸びしない笑いを生んでいる。この、全力なのに軽い笑い、というのが興味深かったし、最終的に、すべてのトンデモナイハチャメチャな出来事を、マジシャン(ムロツヨシさん)のマジックだったんじゃね? という落としどころに持って行ったところも(定番ではあるけど)面白かったです。

さて田辺誠一さん。楠雄の父親ですが、フワーンと浮いていておおらかで、映画全体の空気感を壊すことなく、内田由紀さんとの夫婦役もピッタリでした。
(この二人ってどこかで観たよなぁ‥と思ったら、『神の雫』の一青とマキだった!惚れ込んだドラマなのに忘れちゃいかん!w)
この映画絡みで福田雄一監督と賀来さんと田辺さんが『ボクらの時代』に出演してるのを観たのですが、福田監督が田辺さんを買ってくれていて、何度もオファーした(どんな役だったんだろ)のに断られて、今回やっと出てもらえた、と言っていたのが何だか嬉しかったです。


斉木楠雄のΨ難
公開:2017年10月11日
脚本・監督:福田雄一 原作:麻生周一
音楽:瀬川英史  主題歌:ゆず「恋、弾けました。」
製作:松橋真三 北島直明 製作総指揮:伊藤響
制作会社:プラスディー  製作会社:映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント アスミック・エース
出演:山﨑賢人 橋本環奈 新井浩文 吉沢亮 笠原秀幸 賀来賢人
ムロツヨシ 佐藤二朗 内田有紀 田辺誠一  他
公式サイト